ファンドレイザーの想い

寄付金を募る「ファンドレイジング」を担当するスタッフが、草創期のカタリバで大学生のボランティア(キャスト)として感じた矛盾、会社を辞めてカタリバに戻ってくることを決めた理由、「お金がないから授業を届けられない」としないための決意などつづりました。どうぞご覧ください。

はじめまして。NPOカタリバの山内と申します。私は今は職員として勤めていますが、カタリバとの出会いは8年前。大学生のボランティア(キャスト)としての参加に溯ります。卒業した後は、サポーターとして支援しながらも、7年半、民間企業でサラリーマンをしていました。そんな安定した生活を急変、会社を辞めて、カタリバに戻ってきたのは2011年の夏。学生時代に創業者から聞いた、あるエピソードが忘れられなかったからでした。カタリ場の「先輩の話」として、学生たちに話した形式で、それまでの道のりをお話しします。

NPO=ボランティア?への疑問

「この人たちは、普段は何をしているんだろう?」
2005年冬、NPOカタリバが事務所を間借りしていたのは、六本木にあった中学校跡、教室の狭い一角。その場にボランティアで集まった、たくさんの大学生たちと一緒に授業を創り上げていくのが楽しくて仕方なかったその頃、大学生の活動を支えてくれている、2人の社会人がいました。創業メンバーの、今村久美と三箇山優花です。
「NPO」=「ボランティア」?そんな単純な図式しか頭になかった私に浮かんだのが、冒頭の疑問でした。思い切って尋ねてみることに。返ってきたのが、「バイトをしている日も、あるんだ・・」という答えでした。

アルバイトをしながら生計を立てていた、創業者2人

今でこそ事業収入や寄付、行政委託などで専任の職員を雇用できるようになりましたが、当時は無料でも授業を行うケースも。寄付を集めるのも、まだ難しい状況でした。カタリバの仕事だけでは十分な収入を得ることは難しく、アルバイトをして生計を立てていた、というのです。
「こんなに『良いこと』をやってるのに、なんで活動に専念できないんだろう!?おかしい!」世間を何も知らないながらに、義憤を感じたものの、その状況を変えられる力を持っている訳ではない・・・
「いつか社会で力をつけて、カタリバのために何かしたい・・!」そんなことを思いながらも卒業して、まわりと同じように就職をしていきました。

新卒で入社した大手メーカーで知った、お金の「現実」

新卒で入ったのは、ある大手電機メーカーでした。入社する前はきちんと知らなかったけど、すごくいいものを創ってる会社だったんです!たとえば“充電池”といって、使い捨てせずにくり返し使えるので環境に良い電池。私の仕事は、広報やCSR(社会貢献)として、小学校を訪問して電池や環境について教えることでした。会社全体でも、「地球環境に良いものをつくろう!」というビジョンを掲げて、頑張っていました。
ところが、会社は儲かっていなかった・・・入社した年に、なんと約2300億円の赤字!経営陣の交代、事業の売却、雇用の調整・・「会社が赤字のときに、社会貢献なんて・・」そんな冷たい視線を痛いように感じながら働くなかで、気づいたことがありました。「どんなにいいことをしても、良いモノをつくっても、お金がしっかり回っていく仕組みがないと、ダメなんだ」

「マーケティングのプロになる」と決意

開発や製造の現場の人たちは、高い技術をもって、真面目にコツコツと頑張っていました。でも、せっかく良いものを作っても、売れない。売れている商品も、事業としては儲かっていない・・・そんな現状を見ながら、でも何もできない自分に、大きな無力感を抱いたのです・・・
「じゃあ、お金を稼げるようになるためには、どうすればいいんだろう?」たとえば「営業」や「金融」。いろいろと浮かぶなかで、私が惹かれたのは「マーケティング」、つまり“売れる仕組み”をつくること。
ビジネスの世界で、このマーケティングを究めて、「教育」や「NPO」の世界に戻ってこようと決めたんです。「そうしたら、いつかカタリバに恩返しできるかもしれない!」という思いを胸にしまいながら。

「いつか教育に、NPOに戻る!」という想いを抱えながら

そんなこんなで、社会人3年目。転職をしました。ベンチャーの広告代理店です。そこでは、むちゃくちゃ働きました!会社から歩いて2分にアパートを借りて、朝から夜中まで。会社の売上も、3年間で2倍近くにアップ!ベンチャーだから出世も早くて、給料もだんだん上がっていきました。自由に働かせてもらって、仕事はとても楽しかった。
社員も若い人が多くて、みんな仲良くて、一緒にテニスしたり、ラフティングに遊びに行ったり。そうしたら居心地が良くて、いつの間にか忘れてたんです。「いつか教育に、NPOに戻るんだ!」ということを。
「もう少し力を着けてから」「まだ学べることはある」とか自分に言い訳しながら、でも心はモヤモヤ・・・「僕は、いつまで“修行中”を続けるんだ・・?」

東日本大震災、津波の映像を見て、突きつけられた質問

そんなときに訪れたのが、2011年3月11日。東日本大震災でした。
「被災地のために、自分も何かしなければ!」と思ったのもあったけど、一番の衝撃は、津波の映像を見てしまったこと。
もし同じことが東京に起こったら、明日にも死んでしまうかもしれない・・・
「何が起こるかわからない人生で、やりたいことを先延ばしにするのはイヤだ!」と強烈に感じたんです。
ちょうど思い出したのは、スティーブ・ジョブズ氏が、あるコーラ会社の役員をスカウトしたとき、放った言葉でした。
「おまえは一生このまま、砂糖水を売り続けたいのか?それとも、世界を変えるチャンスをつかみたいのか?」

会社を辞めて、カタリバに戻ることに

そんな2011年の春、カタリバはコラボ・スクールを立ち上げようとしていました。5月。寄付者向けの報告会で、「広報・ファンドレイジングの担当者を探している」と、声をかけてもらいます。
大好きだったカタリバが、飛躍しようと今転機にあること。これまで修行した専門性を生かして、貢献できる場所があること。お世話になった方に声をかけてもらい、慕っていた方に恩返しできる。学生時代に一緒にやって、社会に出てまた戻ってきた仲間もいる。会社を辞めてNPOで働くことに不安もたくさんあったけど、「このタイミングしかない!」と思いこみました。
えいや!と飛びこんでしまえば、意外となんとかなるものでした(笑)今は、前の会社で学んだ「マーケティング」を使って、たくさんの人にカタリバのことを知ってもらい、共感してもらって、志をともにする方から寄付を募る仕事をしています。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。もしご共感いただけたなら、お願いしたいことがあります。どうかサポーター(賛助会員)として、ご支援いただけないでしょうか?
今から10年以上前。東京の片隅、創業者2人で始めたささやかなチャレンジでしたが、一緒に活動する仲間や、応援してくれる人がだんだんと増えました。このカタリバの活動がサステナブルに行われる仕組み、子ども・若者に、授業が安定的に届けられる体制を、皆さまと一緒に、創っていきたいと思っております!ご支援を、心よりお願い申し上げます。

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