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「子どもたち一人ひとりの明るい部分を伸ばしていきたい」アダチベース・堀井勇太より

レポートアダチベース

カタリバの新規事業であるアダチベースの開始から3カ月。アダチベースの日常について、スタッフの堀井にインタビューを行いました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA▲子どもたちに「堀井さん」と呼ばれている、スタッフの堀井。

■明るく人懐っこい中学生たち

2016年7月、子どもの貧困対策に力を入れている足立区から委託を受け、中学生のための居場所兼学習支援事業としてアダチベースがスタートしました。利用は登録制で、足立区の福祉部から紹介を受けた35名の中学生が登録しています。職員のほかパートタイムやインターンを含め約10名ほどで運営しており、週に6日、平日の夕方と休日の日中の時間帯に子どもたちを迎えています。

施設は一斉授業を行う教室、自習室、おしゃべりや食事のできるスペースの3つに分かれています。室内はまだ改装途中ですが、できるだけ明るく居心地の良い空間にしたいと、僕たちスタッフがカウンターを手作りするなどしながら少しづつ整えているところです。

実際に子どもたちが集まってみると、とてもにぎやかですね。男子も女子も、明るくて人懐っこい子が多いです。

■学習支援で「分かった」という小さな成功体験を

今、アダチベースで主に行っているのは学習支援です。学年と習熟度に合わせて英語と数学の一斉授業のクラスを行っているので、子どもたちにも「週2回、この時間には来るようにしてね」と声をかけています。それ以外の時間は、自習室で静かに勉強したり、おしゃべりできるスペースで子どもたちどうしやスタッフとのコミュニケーションを楽しんだりして過ごしています。

学習支援というのは単に学力向上のためだけではありません。「分からなかったことが、勉強すると分かるようになった」という小さな成功体験を積み重ねることが、自己肯定感を高め自信をつけていくことにつながっていくと考えています。

adachi_d▲こちらは一斉授業を行う教室。学年と習熟度に合わせて英語と数学の一斉授業のクラスを行っています。

■子どもたちの経験や出会いを増やす体験企画

また、月に何度かの「体験企画」も始めています。これまでに行ったのは、夏休みの読書感想文ワークショップ、絵本ワークショップ、ミュージカルワークショップなど。今後も様々な企画を計画中です。

体験企画では、体育系、音楽系、美術系など、子どもの特性や関心に合わせながらワークショップを行っています。子どもたち自身が好きで深めたいテーマを見つけたり、それがきっかけで新たな大人や様々な人に出会ったりできるような仕組みを作っていけたらと思ってます。

■食卓を一緒に囲むことで生まれるもの

アダチベースでは、食事の提供も始めています。キッチンには簡易コンロしかないため、本格的な料理は難しいのですが、温かいご飯と味噌汁を土日のみ用意することにしました。これからさらに準備を整えて、提供できる日数や品数を増やしていく予定です。食事提供には栄養面だけではない価値があるからです。

例えばそれまで育った環境によって、食事についてのイメージが全然違う子もいます。「鍋って本当にみんなで食べるものなんだ。ドラマとかで見たことあるけど」という言葉が聞かれたり。みんなで一緒に食卓を囲むということは、コミュニケーションや会話なども含めた経験であり、文化とも言えます。食事提供を通して子どもたちに、そうした経験や文化を育んでいきたいです。

adachi_b▲入口を入ったところが、こちらのコミュニケーションスペース。左手前が手作りのカウンター。左奥にはミニキッチンも。

■やりがいは、子どもたちの小さな変化

子どもたちの小さな変化が日々見られるというのはうれしいですね。人との関わりの中で、子どもたちは短期間でも驚くようなスピードで変わっていきます。学習面では、負の計算ができなかった子ができるようになって「俺できるんだぜ!」と自信をつけたり。

精神面でも、最初は何も話してくれない警戒心の強かった子が、自分から他の子に声をかけるようになる姿が見られたり。いろんなものに興味を持ち始めてチャレンジするようになる子、お礼が言えなかった子の「ありがとう」という言葉。子どもたちのそんな様子をみると、やりがいを感じます。

■ひとりひとりの「明るい部分」を伸ばしていきたい

僕は子どもたちに「先生」じゃなくて「堀井さん」って呼んでもらってます。カタリバでは「ナナメの関係」と呼んでいるんですが、「先生」でも「友だち」でもない「少し年上のお兄さん」ということで「さん」付けなんです。

しかし、そうした関係だけでは解決できないような、子どもたちがそれぞれ抱えている困難な状況に触れたときにどうするか。それについては、臨床心理士などの専門家のアドバイスを参考に、子どもたちの抱える背景にとらわれないということをキーワードに彼らの日常に伴走するようにしています。

子どもの困難な状況にばかりフォーカスしてしまうと、子ども自身にとってもこの場所が困難を思い出させるつらい場所になってしまうという想いからです。それよりも子どもの明るい部分を見つけて、そこを伸ばしていくことを心がけています。

■地域との連携も視野に

今はまだ毎日の運営で手一杯な状態なのですが、これからは、子どもたち一人ひとりの特性をよく知り、その子に合ったカリキュラムをつくって実行、検証していくということをやりたいです。そうした蓄積をしていくことで、この事業をより広げていくことができると思うので。

あとは、学校や区内のNPOなどいろんな活動をされているところとの連携ですね。地域全体で子どもたちの情報を共有しながら、みんなで育んでいけるような仕組みをつくっていきたいと思っています。

アダチベースを一緒に支えていく仲間を募集しています

詳しくは以下をご覧ください。

▼アダチベース インターン募集
https://www.katariba.or.jp/intern/a-base/

▼アダチベース ボランティアスタッフ募集
https://www.katariba.or.jp/news/2016/08/22/7356/