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認定NPO法人カタリバ (認定特定非営利活動法人カタリバ)

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カタリバが3年の時間をかけて団体理念やコーポレートサイトを新たにした理由

vol.043Report

date

category #活動レポート

writer 青柳 望美

NPOカタリバは、2019年4月1日(月)コーポレートサイトのリニューアルを行いました。

新コーポレートサイトには、全職員で対話をしながら新たに創り上げた団体理念(ビジョン・ミッション・コアコンピタンス・クレド)やロゴ・タグライン、活動の背景や事業紹介の新たな表現、志を同じくして集まる多様な仲間の紹介など・・・私たちが実現したい未来・ありたい姿を散りばめました。

実はまだ100%完成の状態ではないので、5月いっぱいくらいは微調整を続けていきますが、是非多くのページをご覧いただき、「NPOカタリバの現在地と実現したい未来」について知っていただけたら嬉しく思っています。

このプロジェクトの始まりは、2016年頃にさかのぼります。

なぜ私たちが、3年もの時間をかけて団体理念やコーポレートサイトを新たにしたのか?
ここで少しご紹介させてください。

2016年頃から始まった、実現したい未来の再定義

カタリバは、2001年に高校生の心に火を灯す「出張授業カタリ場」から活動をスタートさせました。まだ高校の中で教員以外が教育に関わることがほとんどなかった時代。
【学校に社会を運ぶ】をテーマに、10年間、素晴らしい出会いを支えに、たくさんの失敗とチャレンジを繰り返しながら、「出張授業カタリ場」を全国の高校に届けられるようになりました。

そして、2011年3月11日。
東日本大震災を機に、カタリバの活動は大きく変化します。
誰も経験したことがない大災害。自分たちに何ができるだろうかともがいたあの時に、
大変な状況の中でも学ぶ意欲を失わず、未来を見つめる子どもたちの姿に出会いました。「震災があったから、夢をあきらめた」この子たちに、そんな風に言わせたくない。この場所に必要なのはイベントではなく、地域に根ざして子どもたちの“日常”を支える居場所をつくること。

10年間出張授業を届けてきたカタリバが、初めて子どもたちの日常に伴走する「被災地の放課後学校 コラボ・スクール」の運営を、宮城県女川町と岩手県大槌町で開始します。

取り組み自体も初めての挑戦でしたが、拠点が複数になることも初めて。ずっと全職員が東京の事務所で顔を合わせて家族のように働いてきたわけですが、社内では、お互いの顔もどんな仕事をしているのかも知らない人がいる、そんなことが起こるようになりました。

そこで3拠点を1つにつなぐ「生き抜く力を子ども若者へ」という団体理念と、カタリバの職員全員が大切にするクレドを作成。年に1回全職員が集まる全社会議も開始。旧コーポレートサイトやロゴも、この頃につくられました。2011年から2014年頃までカタリバは、出張授業カタリ場事業と東北復興支援事業を行う団体でした。

2012年頃に初めて開催した全社会議

しかし、時代の変化のスピードはすさまじく、カタリバの活動もまた加速度的に変化を迎えていきます。

2015年から、高校生が身の回りの課題解決に挑戦する「高校生マイプロジェクト」の取り組みの全国展開が本格化。東京都文京区では何にでも挑戦できる中高生の秘密基地「b-lab」、島根県雲南市ではキャリア学習と不登校支援に取り組む「おんせんキャンパス」がスタート。

2016年には、熊本地震の発生をうけて熊本県益城町で3つ目の「コラボ・スクール」を開校。また、これまでの活動で出会ってきた貧困や困難さを抱えた子どもたちに、もっとできることがあったんじゃないか?という想いをかたちにした、困難を抱えた子どもたちの居場所「アダチベース」を東京都足立区で開始します。

2015年頃から、創業以来続く「出張授業カタリ場」と東北で始めた子どもたちの日常に伴走する「コラボ・スクール」の経験を、ニーズに合わせて変化させ、活動範囲が一気に広がっていきました。

カタリバは、社会で起こったこと・気付いた課題・もっとやれることがあるのではという想いをベースに、活動を広げています。そこにあるのは明確で分かりやすい計画ではなく、出会いや気付きというストーリー。

次第に「カタリバは、何が実現したいのか?」「どこに向かっているのか?」を伝えることが、社内でも社外でも難しくなっていきました。一方で、活動範囲が広がるほどに新しく仲間になる職員も増え、寄付をしてくださるサポーターや企業の皆様も増えていきます。

伝えたいけれど、うまく伝えられない・・・

こうして2016年頃から、私たちが実現したい社会「ビジョン」、私たちの使命「ミッション」の再定義が始まります。

新たなカタリバの理念“Katariba Philosophy”

2015年まで「生き抜く力を子ども若者へ」という理念を掲げてきたカタリバですが、2016年に初めてビジョン・ミッションの設定を始めました。何度もなんども練り直され、全職員で議論し、また練り直す…ということを繰り返します。

またビジョン・ミッションの議論を続ける間に、3拠点どころか、本部事務所・子どもたちが通ってくる場所8拠点・教育行政支援2ヶ所・高校支援3ヶ所、合計14ヶ所に分かれて活動を行う組織になっていきます。職員の数も100名を超えました。

ビジョン・ミッションの再定義だけでなく、「カタリバという組織が実現したい未来の表現」「カタリバが創業以来変わらず大切にしてきた考え方」「磨き続けるカタリバ独自の強み」「職員が1,000人になっても大切にしたい行動指針」などを考え、定義し、カタリバという組織自体をUpdateするタイミングが重なります。

ビジョン・ミッションの再定義が始まった2016年頃の全社会議

新たなビジョン・ミッションは、全職員が参加し何度も対話する中でカタチとなり、「Vision/どんな環境に生まれ育っても、未来をつくりだす力を育める社会」「Mission/意欲と創造性をすべての10代へ」に決まりました。

また全ての活動で共通する私たちの提供価値とは何か?を全員で熟議し、10代の意欲と創造性を育む5Stepが作成され、10代に伴走する技術と仕組みとしてコアコンピタンスに位置づけられました。

職員の数が何人になっても大切にしたい行動指針も全職員で議論し、新しいクレドも作成しました。

こうして3年近くの時間をかけて、KataribaPhilosophyという団体理念が完成しました。

約3年かけて完成した団体理念のKataribaPhilosophy

詳しくは是非「NPOカタリバの理念」ページをご覧ください!

次のステージを目指すカタリバの新たなロゴ・タグライン

同時にロゴとタグラインの刷新も行いました。

全職員向けに「カタリバを表す言葉」のアンケートを実施し、最も大切にされている言葉として出てきた「未来は、つくれる。」をタグラインに設定。また全職員参加型の「ロゴ総選挙」も実施。20パターン近くのロゴ案を元に投票を行いました。

最終的には、カタカナから英語表記に、コーポレートカラーは薄い黄緑から濃い緑に、新たなステージを目指すカタリバの進化を表すロゴになりました。

カタリバの現在地と目指す未来を表現する新たなコーポレートサイト

Updateした「カタリバの現在地と実現したい未来」の姿の全てを表現するコーポレートサイトづくりも2018年12月頃から同時並行し、本日2019年4月1日にやっと公開することができました。

新たなコーポレートサイトの特徴は大きく3つです。

1.カタリバの活動内容が分かる多様な紹介ページ

1ページで分かるカタリバページを作成し、初めてカタリバを知る方向けの情報をまとめました。ビジョン・ミッションMovieも作成し、視覚的にもイメージが伝わるように設計しています。また多様なカタリバの活動を4つのテーマで整理し、それぞれの活動をプロジェクト形式で1つずつ詳しく紹介しました。
(活動紹介ページはこちら

2.新たな発見を届けるKatariba Magazine

カタリバの活動レポートはもちろん、10代や教育現場でリアルに起こっていること、教育に関心がない方にとっても発見ある情報をお届けする、Webマガジンを新たなコンテンツとして作成します。教育を学校や家庭に丸投げしない未来のために、社会のあらゆる構成員の関心を引き出すことも、私たちの重要な取り組みの1つだと考え、今後は10代や教育やNPOにまつわる様々な情報を発信していきます。
(カタリバmagazineページはこちら

3.カタリバに集まる仲間を紹介するKatariba People

カタリバに集まる仲間を紹介するカタリバPeopleというコンテンツを新たに作成しました。ご寄付などの支援をしてくださる方にとっても、これから仲間になることを検討される方にとっても、カタリバとの関わりを検討くださっているあらゆる方にとって、“どんな職員がどんな想いで集っているのか”は重要な情報と捉えています。まだ全員を紹介することができていませんが、今後少しづつ増やしていきたいと考えています。
(カタリバPeopleページはこちら

これまでのNPOカタリバのWebサイト

最後に、カタリバ3.0を目指して

2001年、学校に社会を運ぶ10年から、カタリバは始まりました。
2011年、学校を社会に開き、10代の日常への伴走に挑戦する10年を送っています。
2021年、新しい10年、カタリバ3.0が始まります。

学校と社会の間に存在する境界線を本当の意味で溶かし、学校と家庭に教育を丸投げしない新しい当たり前をつくる。そんな新しいステージが始まる予感がしています。

どんな環境に生まれ育った10代も、意欲と創造性を育むことができるように。

カタリバはこれからも走り続けていきますし、変わり続けていきます。
その様子を見に、是非新しいコーポレートサイトを定期的にご覧いただけると嬉しいです。

Writer

青柳 望美 パートナー

1983年生まれ。群馬県前橋市出身。大学時代は英語ができないバックパッカー。人材系企業数社で営業・営業企画・Webマーケティング・Webデザインを担当。非営利セクターで働いてみたいと考え2014年4月にカタリバに転職。全国高校生マイプロジェクトの全国展開・雲南市プロジェクト・アダチベースなどの立上げを担当。現在は新規プロジェクトの企画や団体のブランディングなどを担当。カタリバmagazine初代編集長、現在はパートナー。

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