CLOSE

※「KATARIBA」は 認定NPO法人カタリバの登録商標です(登録5293617)

Copyright © KATARIBA All Rights Reserved.

News

NewsRelease/地域とともに考え、まちをまるごと学びの場に。カタリバが伴走する広島県三次市で、学びの多様化学校が2027年4月に開校

お知らせプレスリリース

認定特定非営利活動法人カタリバ(本部:東京都中野区、代表理事:今村久美、以下カタリバ)は、日本財団と協働し、不登校の子どもを学びや支援につなぐ官民連携の実証事業「不登校政策ラボ」に取り組んでいます。
連携自治体のひとつである広島県三次市では、2027年4月に「三次市立学びの多様化学校」が開校します。
どんな学校にしていくのか、カタリバは同市の担当者や地域の方々とともに議論を重ね、開校準備を進めてきました。

学びの受け皿は広がる一方、まだつながれていない不登校児童生徒は約4割

文部科学省の調査によると、小・中学校で不登校とされる児童生徒は約35万4千人にのぼり、12年連続で過去最多を更新しました。このうち、学校の内外で専門的な相談や指導を受けていない児童生徒の割合は38.3%と、依然として4割近くを占めています(*1)。教育支援センターの機能強化、校内教育支援センターの設置、フリースクールの増加。子どもたちが学びに向かうための場は、この数年で確実に増えてきました。それでも、支援を受けていない子どもの割合はほとんど変わっていません。
場が足りないのではなく、場と子どもの間に距離がある。受け皿を整えることと、子どもがそこにたどり着けることは、別の課題として残されています。

カタリバは2015年より島根県雲南市からの委託を受けて教育支援センターを運営し、2022年からは石川県加賀市で包括的な不登校政策の提案や施策の実施に取り組むなど、自治体と連携して不登校支援を行ってきました。
そうした知見をもとに、日本財団と協働してスタートしたのが「不登校政策ラボ」です。不登校支援の施設や機関を整備するだけではなく、不登校の子どもたちをどう学びに“つなぐ”かを官民連携で実証する事業として、2025年10月、青森県三沢市、東京都国分寺市、広島県三次市、鹿児島県大崎町の4自治体と連携協定を締結しました。複数の自治体と不登校に関わる政策を実証する枠組みは、全国的にも新しい試みです。

(*1)文部科学省 令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_jidou02-100002753_1_3.pdf

家庭以外で誰ともつながっていない児童生徒ゼロを目指して―三次市とカタリバが連携

三次市は中国地方のほぼ中央に位置し、面積は約778平方キロメートル、人口は約4万7000人です。市は「みよし学びの共創プラン」を策定し、多様な居場所や学びの場の創出に取り組み、「家庭以外で誰ともつながっていない児童生徒の数をゼロにする」ことを目標に掲げてきました。

2024年度に年間30日以上欠席した児童生徒は、小学校95人、中学校116人でした。このうち「不登校」として集計されているのは小学校38人、中学校66人です。残りの子どもたちは病気やその他の事情として整理され、不登校支援の対象としては見えにくくなります。誰が、どこで、何に困っているのか。それを把握するところから始めなければならない、というのが三次市の出発点でした。

誰一人取り残されない学びの環境づくりを目指す三次市と、自治体とともに不登校政策をつくってきたカタリバ。それぞれが積み重ねてきたものを持ち寄る形で、2025年10月、日本財団を含む三者で連携協定を締結しました。協定に基づき、カタリバは不登校政策ラボの一環として、三次市への伴走を始めています。

学びの多様化学校を起点に、市内全体の不登校支援を広げる──地域とともに、まちをまるごと学びの場に

三次市が学びの多様化学校の設置を決めた背景には、早期に支援や対応を充実させる必要があるという思いがありました。
三次市は今後、この学びの多様化学校を核として、各学校への支援体制や、児童生徒・保護者の教育相談体制の充実を図っていくことを構想しています。学校をつくることは、市内全体の不登校支援の体制をより充実させていくための出発点として位置づけられています。

【三次市がつくる学びの多様化学校の特徴】

①通い方も、学ぶペースも、自分に合わせて選べる
登校は朝9時30分からで、時間割にはゆとりを持たせます。「毎日登校する、週に数日登校する、家からオンラインで参加する」など、状況に合わせて登校のスタイルを選べます。一人ひとりのペースに合わせ、自分で選んだ内容にじっくり取り組む「個別学習」の時間を確保します。苦手なところは丁寧に学び直し、得意なところはより深く学ぶことができきます。

② 安心できる環境で、一人ひとりの「好き・得意」を伸ばす
担任は、生徒が選べる「個別担任制」を計画しています。校則はあらかじめ設けず、必要なルールやマナーは、生徒と教職員が一緒に話し合ってつくります。通知表も、評定つきのものから面談のみまで、受け取り方を選べるようにする予定です。
授業では、好きなことや気になることをとことん考えて挑戦する探究の時間「CORE(コア)」、自分のアイデアや思いを描く・作るなど様々な形で表現する「創造」、自分や社会のことを話し合ったり振り返ったりする「結(ゆい)タイム」など、特色ある時間を計画しています。

③ みよしまるごとキャンパス
学校のある君田地区での体験や探究を中心にしながら、市内各所の公共施設などを巡回教室として使い、三次のまち全体をキャンパスにする構想です。学校の中だけで終わらない、人との出会いや体験から自分の世界を広げていける学びをつくります。

④ 地域のみなさんと一緒につくり、プロセスを公開する
2026年6月と7月には、校舎となる旧君田中学校がある君田地区で、住民のみなさんとの説明会と対話の場を開きました。地域の自治連合会のみなさんとともに島根県雲南市のおんせんキャンパスや大分県、山口県の学びの多様化学校を訪ね、「多様な学びの場」についてともに考えてきました。ワークショップには20名以上の方が参加をし、地域の強みや開校後に一緒にできることを話し合っています。

▽三次市立学びの多様化学校等の設置に係る検討会議についてはこちら
https://www.city.miyoshi.hiroshima.jp/site/education-report/36896.html

<三次市立学びの多様化学校の概要>
開校日:2027年4月1日(予定)
場所:三次市君田町東入君10361番地2(旧三次市立君田中学校)
定員:1学年10名程度、計30名程度
対象:三次市内に居住し、在籍校への登校が困難な状況にある生徒
学校名・校歌・校章:開校後に生徒の意見を参考に決定

【三次市教育委員会コメント】
本市がめざす「すべての児童生徒にとって魅力的な学校づくり」の実現に向けて、不登校支援は最優先で取り組むべき課題です。
カタリバによる大所高所に立った伴走支援により、学びの多様化学校開校準備はもとより、市内学校の不登校支援が力強く進み始めています。
今後、三次市立学びの多様化学校の開校により、子ども達の居場所の選択肢を増やすとともに、市内全体の不登校支援体制を包括的にスケールアップしていきたいと考えています。


カタリバは連携協定に基づき、開校後も三次市への伴走を続けます。
学校ができることがゴールではなく、この学校を拠点に、市内のすべての子どもたちが学びや居場所につながっている状態をどうつくるか。三次市とともに考え、実践を重ねていきます。

▽三次市立学びの多様化学校の詳細は、三次市のウェブサイトをご覧ください。
https://www.city.miyoshi.hiroshima.jp/site/education-report/39689.html

▽不登校支援の政策づくりや体制整備についてご相談を検討されている自治体のみなさまは、こちらからお問い合わせください。
https://www.katariba.or.jp/administration/