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認定NPO法人カタリバ (認定特定非営利活動法人カタリバ)

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遺贈・相続コラム

遺贈とは?相続との違い、寄付の種類や手続きを解説

遺贈とは?

遺贈(いぞう)とは、遺言書によって、遺言書を遺した方(遺贈者)がご自身の遺産の全部または一部を、遺産を受ける方(受遺者)に譲ることをいいます。

通常、特に遺言書がない場合、誰が遺産を引き受けるのか、どのように遺産が分配されるのかは法律で定められています。しかし、遺言書を活用すれば、法律で定められた人や団体以外にも財産を残すことが可能になります。

例えば、夫が亡くなった場合、通常は配偶者や子どもなどの親族が相続人となります。しかし、遺言書を生前に作成しておくことで、お世話になった人や特定の団体に財産を譲ることもできます。近年では、社会貢献や節税の観点から、特にNPO法人へ遺産の一部を残す「遺贈寄付」への関心が高まっています。

遺贈と相続の違い

財産を受け取る人

遺贈と相続の大きな違いの一つは、「遺産を受け取ることができる人」 です。

相続では、法律で定められた「法定相続人」(例:配偶者や子ども)が遺産を受け取ります。たとえば、夫が亡くなった場合、遺言書がなくても法律に基づき、妻や子どもが自動的に遺産を相続します。

一方、遺贈では、遺言書を作成することで、法定相続人以外の人や団体にも財産を残すことができます。例えば、次のようなケースでは遺贈を選ぶ必要があります。

・長年お世話になった友人や知人に財産を譲りたい
・孫や兄弟姉妹に特定の財産を渡したい
・支援したいNPO法人や慈善団体へ財産を寄付したい

 

遺贈にかかる税金

遺贈と相続では、課税の仕組みも異なります。せっかく財産を残すのであれば、受遺者が余計に税金を払わずに済むよう便宜を図りたいと思うのが、遺贈者の本音ではないでしょうか。

遺贈の場合、受遺者が法定相続人でない場合、受遺者が払う相続税が二割加算されます。また、相続税を計算するうえで、まずは「基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」を算出する必要がありますが、遺贈を受ける方については、上記でいう「法定相続人」にあたらないため、基礎控除の金額に変化はありません。

さらに、相続人が亡くなった方から相続しても不動産取得税はかかりませんが、遺贈で不動産を受け取る場合には、別途不動産取得税が発生する場合があります。

遺贈と節税〜認定NPO法人への遺贈は非課税〜

遺贈による相続税の負担が大きく感じられることもありますが、特定のケースでは相続税が減税あるいは非課税となる場合があります。

例えば、認定NPO法人等公益性のある団体に遺贈する場合、相続税が課税されないというメリットがあります。そのため、認定NPO法人等への遺贈は、遺贈による節税を考えている方に注目され始めています。

内閣府のWEBサイトによると、2024年12月時点で国内のNPO法人49,580件のうち、認定NPO法人はわずか1,293件となっています。認定NPO法人として認められるには、「運営組織及び経理が適切か」「事業活動の内容が適切か」「情報公開を適切に行っているか」などの厳しい審査をクリアする必要があるため、認定NPO法人の割合が少なくなっています。

すなわち、認定NPO法人は、事業内容や情報公開、経理の適切さが厳しく審査されているため、透明性が高く、安心して遺贈しやすい団体と言えるでしょう。また、認定NPO法人は、それ以外のNPO法人と比較して継続的に運営できる基盤が整っているため、「遺言が執行されるまでに期間があっても、執行時点で事業が継続している可能性が高い」という点でも、注目が高まっています。

認定NPO法人カタリバの遺贈寄付について

遺贈の種類は?「包括遺贈」と「特定遺贈」

遺贈には、包括遺贈と特定遺贈の2種類があるのをご存知でしょうか。この2つの遺贈には、遺贈方法とその内容に大きな違いがあります。

包括遺贈

包括遺贈とは、財産全体の一定割合を指定して譲る方法です。受遺者は、相続人と同様に財産や負債の引継ぎを行います。

例えば、「全財産の4分の1をAさんに譲る」といった形で指定します。負債がある場合も、遺産の割合に応じて継承する点に注意が必要です。

特定遺贈

特定遺贈とは、不動産や預貯金など、特定の財産を指定して譲る方法です。

例えば、「自宅の土地をAさんに譲る」「保有する株式をBさんに譲る」といったように指定できます。特定遺贈の場合は包括遺贈の場合とは異なり、遺言で指定がない限り負の財産を引き継ぐことはありません。

遺産の放棄(受取拒否)

遺言によって財産を遺贈された人は、受け取りを拒否することができます。遺贈の一種である包括遺贈は、受け取る遺贈の割合に応じて借金などのマイナスの資産も引き受けることになるため注意が必要です。

包括遺贈の遺産放棄(受取拒否)の場合

包括遺贈を受けた場合、相続と同様に、遺贈があったことを知ったときから3ヶ月以内に管轄の家庭裁判所へ申し立てることで遺産の放棄をすることが可能です。

特定遺贈の遺産放棄(受取拒否)の場合

特定遺贈の場合、受遺者は特定の財産を受け取るかどうか自由に決めることができ、明示的な意思表示をすることで受取を拒否できます。なお、法的には期限はありませんが、関係者からの確認要求に応じる必要があります。

遺贈を行うときは「遺留分」に注意

遺言書を作成することにより、遺産の配分についての自分の考えを反映することができますが、配偶者や子どもなどの法定相続人は、遺産に対して一定の割合で最低限の取り分をもらう権利が法律で保障されています。その取り分を「遺留分」と言います。

「全財産を法定相続人以外の第三者に遺贈したい」という意向があったとしても、遺贈者に遺留分を持つ権利者(遺留分権利者:配偶者や子など)がいる場合には、遺留分権利者に一定の財産を取得する権利が保障されているため、遺言書を作成する際には注意する必要があります。

なお、遺留分は、被相続人の兄弟姉妹には認められておらず、また遺留分を無視した遺言書自体が無効になるわけではありません。。

遺留分の計算

  • ・相続人が配偶者のみ:相続人が配偶者のみの場合、遺留分として法定相続分(法律上認められる遺産の割合)の2分の1が保障されます。
  • ・相続人が配偶者+子ども2人:配偶者の遺留分は法定相続分の4分の1、子どもたちの遺留分はそれぞれ法定相続分の8分の1ずつになります。
  • ・相続人が配偶者+子ども4人:配偶者の遺留分は法定相続分の4分の1、子どもたちの遺留分はそれぞれ法定相続分16分の1ずつになります。
  • ・相続人が父母のみ:父母の遺留分は法定相続分の3分の1となります。

遺贈することによるメリット

遺言者の意思を最大限に反映できる

遺贈をすることで、自身の意志に基づいて財産を特定の人や団体に譲ることが可能になります。例えば、法定相続人ではないお孫様や長年お世話になったご友人に財産を残すことができます。

独身で子どもがいないなど相続人がいない場合も、長年支援している非営利団体へ遺贈するなど、財産の使い道にご自分の意思を反映することができます。

社会貢献ができる

遺贈を通じて、亡くなった後でも、社会貢献活動を行う団体や慈善事業を支援することができます。個人からの寄付を受け付けている団体は国内外問わずたくさん存在するので、自分の関心の高いジャンルで活動している団体を探すと納得できる寄付先が見つかるのではないでしょうか。

自分で寄付先を探すのが大変な場合は、税理士や司法書士、行政書士などの専門家に相談してサポートや提案を受けることもできます。

相続トラブルを回避できる

相続人が複数いる場合、相続に関するトラブルが起こることも珍しくありません。そこで、遺贈によってトラブルを未然に防ぐことができます。相続人同士のトラブルを防ぐためにも、遺言書で具体的な財産の配分を明記する準備を始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

遺贈は、ご自身の想いを大切にしながら、大切な方々や社会へ貢献する方法のひとつです。相続との違いを理解し、遺言書を適切に準備することで、ご自身の意思をしっかりと反映させることができます。特に、認定NPO法人への遺贈は、相続税の非課税措置が適用されるため、社会貢献と節税の両方のメリットを享受できます。

認定NPO法人カタリバでは、未来を担う子どもたちへの支援を目的とした遺贈寄付を受け付けております。大切な財産を社会の未来に活かす選択肢として、ご検討いただければ幸いです。

カタリバの遺贈寄付について詳しく見る

 

監修者

小林 暁(こばやし さとる) 司法書士・行政書士・承継寄付診断士
司法書士法人あかつき総合法務事務所 代表

司法書士開業当初から相続の専門家として100件以上の相続手続きを支援。遺贈寄付の相談にも積極的に対応し、20件以上の寄付を通じた想いの承継をサポートしてきた。

2008年 立教大学法学部法学科卒業
2011年 行政書士試験合格
2012年 宅地建物取引士試験合格
2016年 司法書士試験合格
2018年 都内司法書士事務所に就職
2019年 独立・開業