【メディア掲載】『生徒指導』に掲載 ~高校生のリアル × 役割~
2016年7月1日発行の教育情報雑誌『生徒指導』7月号(学事出版)に、カタリバ共同創設者・三箇山優花(みかやまゆか)執筆のコラムが掲載されました。12回シリーズでカタリバが担当している連載コラム「高校生のリアル×○○」の4回目、今回のテーマは高校生の「リアル×役割」です。
先日実施された、ある多部制(二部制及び三部制)の定時制高等学校の校外学習で、カタリバは各班の引率およびファシリテーターを担当しました。このプログラムは「昼間部と夜間部の生徒同士の交流・親睦を図りたい」という先生の思いから生まれたものです。
その先生のお話によると、昼間部は控えめでひとを警戒する生徒が多く、夜間部の生徒はひとをいじったり茶化したり、やんちゃに動き回るような様子が目立つとのこと。普段の生活ではなかなか一緒にならないこの両者を交流させるにはどうしたらいいか、ということが課題でした。
そこでカタリバが企画したプログラムのキーワードは「役割」。
交流・コミュニケーション自体を目標とするのではなく、生徒一人ひとりが「役割」をもつことを重要視すること。また、「役割」を進めていく中で自然と会話が生まれていくような、雰囲気づくりや働きかけをファシリテーターとして心がけました。
具体的には「昼間部と夜間部の合同班を作り、班ごとに調べて目的地まで行き、カレーをつくって食べる」という流れで行われました。
事前に学校で組んでもらった班に分かれて集まってみると(中略)、当然ですが班内の雰囲気はバラバラでした。ただ、このあと「目的地まで行く」という具体的なミッションがあったため、班のメンバーはそれぞれが、道順を調べる、交通手段を選択する、どこで休憩を取るかを決める、などの「役割」をもちました。そして交流はしないが協力はする、という形でまずは移動が進んでいきました。
会場に到着し、次は班ごとでカレーの準備です。材料を取りに行く、野菜を洗う、肉を切る、炒める、混ぜる、味付けする等々、ここでもたくさんの具体的な「役割」がありました。
「この切り方、大きい?」
「うちのカレーの具はもっと大きい(から、気にならない)よ」
生徒同士でこのような会話が交わされるシーンも、少しずつ見受けられるようになりました。
(記事より抜粋)
このような時間を過ごした後、プログラムの最後に設けられた自由時間では、生徒たちからこんな言葉が出るようになりました。
「中学時代、自分は学校に行ってなかった。2年間ほぼ行ってなかった」(中略)
「え、その気持ち、自分もわかる」(中略)「自分も中学時代、学校にあまり行けてなくて、そういうの経験したことあるから…。その気持ちすごくわかる」と。
その後、班内でお互いの印象について聞いてみると、「意外といいやつだった」「意外と優しかった」「意外と協力してくれた」など〝意外と”という表現がたくさん挙がりました。
(記事より抜粋)
お互いどう関わっていけばいいか分からない生徒同士でも、「役割」があればコミュニケーションのきっかけになります。こうした仕掛けをつくり、ファシリテーターとして大人がサポートしていくことで、生徒たちが自信をつけてさらなるコミュニケーションにつながっていくことが期待できます。
これからもカタリバは、生徒たちのコミュニケーションのきっかけづくりを応援していきます。