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【今村レポート】この夏、東京都足立区×カタリバ協働事業がスタート

お知らせレポート

■「貧困の連鎖」を断ち切るために

今月、足立区×カタリバ協働事業をスタートします。

「どんな環境で生まれ育った子どもたちにも、本来備わっている力を引き出せる足立区でありたい。単に勉強をするだけではなく、居場所の充実をはかりたい。 」

近藤やよい足立区長の陣頭指揮の下、足立区は平成27年度を「子どもの貧困対策元年」と位置づけ、貧困対策を開始しました。

足立区子どもの貧困対策担当部作成の資料によれば、
経済的な理由で就学援助(給食費や宿泊行事・学用品などにかかる費用を援助する制度)を受給する足立区の家庭は、35.8%。これは全国平均である15.4%(平成25年文部科学省調べ)に比べても、倍以上の数字を示しています。
また、経済的要因と強いつながりがあると言われている児童虐待も、区の児童虐待相談件数・受理件数は共に年々増加傾向にあり、この5年間で倍以上に増えています。乳児検診のアンケートでも、「イライラする」と回答した3歳児を持つ母親の割合は、約5人に3人(64%)という結果が出ています。

こうした現状を重く受け止めた同区は、子どもの貧困対策を「救う、予防する、連鎖を断つ」の3つの観点から整理し、とくに「予防する、連鎖を断つ」に主眼を置いた施策を推進。経済的に困難な状態にある子どもとその家庭を社会から孤立させないための様々な事業を展開しています。

■2人の少女との出会い

私が「子どもと貧困」の問題に向き合わなければならないと考えるようになったきっかけには、2人の少女との出会いがありました。

Aさんは母親と2人で暮らす高校生。定時制高校に通いながら、働けない母親に代わって彼女がバイトして生活を支えていました。
高校卒業後、一度は正職員としてスーパーに勤務するものの長くは続かず、現在は非正規雇用の生活を転々としています。

もう1人のBさんとは東北で出会いました。仕事が続かず、1年間に20回も転職を繰り返す父親。夫から受ける暴力と経済的な不安定さから精神を病んだ母親。高校入学して間もなく中退し、定職にもつかずに家族に暴力を振るい、金を無心する兄。
Bさんの将来を案じた祖母と同じ地域に住む方の計らいで、小学校5年生の時から家族を離れてその地域の方の家で暮らしていました。その方の献身的な支えもあって、大学4年生となったいま、Bさんは前向きに将来を歩もうとしています。

社会的に弱い立場に置かれた家庭に育った2人。まだ若いので、人生はこれからどう発展するかはわかりませんが、少なくともBさんにとって、近くに理解してくれる人がいたということは励みになっていたと思います。

あるがままを受容してくれ、意識と学びを支えてくれる安全基地のような人の存在があれば、貧困の連鎖を断ち切る「力」を人は育むことができるのではないか。

困難を抱えた子どもたちの支援に向け、プロジェクトが動き始めました。

■安全基地をすべての子どもたちに

足立区と出会ったのは昨年9月のことでした。貧困対策課を訪問し、「困難を抱えた子どもたちに対する支援事業」をご提案させていただいたのが始まりです。それから幾度となく話し合いを重ね、連携事業の準備を進めてきました。

この夏、正式に契約を締結し、夏休みまでには子どもたちのための施設をオープンする予定です。私たちはそれを「アダチベース」と名付けました。

アダチベースでは、カタリバがこれまでたくさんのボランティアの方々に参画していただいて実施してきたプロジェクトや居場所支援の知見と経験に、専門性を追加した支援体制を整え、プログラムの開発および提供を行っていきたいと考えています。

東京という「無縁社会」の中で、複雑な家庭環境や貧困、孤独、発達の課題などを抱え懸命に生きる子どもたちに、安心して利用できる居場所と勉強部屋と食事を用意し、彼らの自立する力を育んでいきます。

正式にオープンいたしましたら、また詳しくご報告させていただきますが、一人でも多くの子どもたちに安全基地を届け、貧困の連鎖を断ち切れるよう精一杯取り組みたいと思っています。見守っていただけますと幸いです。

カタリバ代表理事 今村久美

東京マラソン2017チャリティ事業の寄付先団体に決定!

NPOカタリバは、東京マラソン2017チャリティ事業の寄付先団体に決定しました!

困難な状態を抱える子どもたちに安全基地を届け、貧困の連鎖を断ち切ることができるよう、東京マラソン2017チャリティ事業を通したご寄付を募っています。集まった寄付金は、「アダチベース」の運営に活用いたします。
皆様の応援をよろしくお願いいたします!

▶︎東京マラソン2017チャリティ「カタリバ」のページはこちらから