NewsRelease/熊本県八代市で災害時の子どもの居場所を開設、現地からみえた課題と支援報告

認定特定非営利活動法人カタリバ(本部:東京都中野区、代表理事:今村久美、以下カタリバ)は、2025年8月10日に熊本県で発生した豪雨災害を受け、八代市千丁町において災害時の子どもの居場所を8月25日〜29日まで開設しました。現地調査・居場所運営を通じてみえてきた課題と共に現場の声を報告します。
熊本県内で約9,000棟以上が被害。学校休校と復旧作業が重なる子育て家庭も多数
2025年8月10日、熊本県内に線状降水帯が発生し、県内各地に大雨特別警報が発令されました。約9,000棟以上の家屋が被害を受け(*1)、一時は約1,500人が避難しました。(*2)
なかでも八代市は、熊本県内で被害を受けた約9,000棟のうち約4割にあたる約4,300棟(*1)が被害を受けました。八代市内の2つの小学校では、学校内に流れ込んだ土砂撤去などを理由に、始業式が延期されるなど教育活動にも影響が及びました。
2025年5月、こども家庭庁は全国の自治体に向けて「災害時のこどもの居場所づくり手引き」(*3)を発表しました。避難所などにおいて、子どもが安心して過ごせる場所を確保すること、自治体・地域・民間団体が連携した体制構築の重要性を示しました。
カタリバでは、これまでも令和2年7月九州豪雨、熱海土石流災害、能登半島地震、大船渡市山林火災などで、同手引きが掲げる理念と通じる子どもの居場所支援を実践してきました。
今回の大雨災害では、床下・床上浸水の発生を報道で確認したものの、具体的な被害状況の確認に時間を要したため、8月20日から現地調査を開始。その結果、8月25日〜29日までの間、災害時の子どもの居場所を開設しました。
【出典元】
*1 熊本県 令和7年8月10日からの大雨に関する被害情報等 2025年9月25日 危機管理防災課
https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/life/247346_732238_misc.pdf
*2 熊本県 令和7年8月10日からの大雨に関する被害情報等 2025年8月11日9:00時点 危機管理防災課
https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/life/247346_732193_misc.pdf
*3 こども家庭庁「災害時のこどもの居場所づくり手引き」
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/816b811a-0bb4-4d2a-a3b4-783445c6cca3/27fc2899/20250528_policies_ibasho_16.pdf
始業式延期「子どもをどこに預ければ」、災害時の子どもの居場所が足りない状況
現地調査を進めるなかで、浸水地域では濡れた家具や畳などを運び出したり、敷地に流れ込んだ土砂をかき出したりする作業が連日続いていることが分かりました。
子どものいる家庭の保護者は日中に仕事をしながら、夜間や休日に片付けに追われ、休む間もなく復旧に向き合う日々を過ごしていました。
一方で、復旧作業のため、八代市内の2つの小学校では始業式が延期されました。急な休校のため「子どもをどこで過ごさせたら良いかわからない」という保護者の声がありました。
そのような中、学童は運営時間を延長して対応しているものの、想定以上の子どもたちが集まっていました。
始業式が延期された児童を対象に、子どもの居場所を開設しました
こうした状況を受けて、カタリバは8月25日〜29日までの間、熊本県八代市千丁町で、始業式が延期された小学校の児童を対象に、子どもの居場所を開設しました。


■利用者の声
◎保護者
・仕事もあるので、こういう安心して預けられる環境があると私も安心
・預けられる場所があるのは安心しますし、ありがたいです
・やっと学校で(友達に)会えると思っていたけど(延期になり)友達に会えなかったのでこの場をつくってもらえて(子どもたちも)ホッとしているのかなと思います
・家が被災して片付けなどがあったので来ました。子どもがいると家の復旧作業ができないのでありがたい
◎子ども
・(休校なので)学校には行けないけど、友だちと会って遊べて嬉しい
■子どもの居場所概要
・実施期間:2025年8月25日(月)〜8月29日(金)
・実施時間:9:00~17:00
・場所:パトリア千丁(八代市公民館)
・対象:千丁小学校の児童及びその兄弟・姉妹(4歳以上)
・運営:認定NPO法人カタリバ
事業紹介

災害発生時に、子どもたちへの支援を一刻も早く届けることを目的とした緊急支援プロジェクト。これまでの被災地の子ども支援の経験から、「発災直後の子ども支援において、第三者が1秒でも早く駆けつけることが最も大事なことである」と捉え、平時から自治体・企業と事前にアライアンスを組んでおくことで、迅速な支援活動ができるような仕組みづくりに取り組んでいます。2020年は九州地方を襲った令和2年7月豪雨災害、2021年は熱海市の土砂災害時、2024年能登半島地震・奥能登豪雨にて現地での子ども支援活動を実施しました。
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https://www.katariba.or.jp/report/(担当:カタリバ広報 阿部)