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生徒たちの可能性を、最後まで信じるということ

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こんにちは、NPOカタリバ山内です。

コラボ・スクールでは、半年間や1年間など期間限定で
子どもたちへの指導に向き合うスタッフもいます。

この3月で女川向学館を「卒業」したスタッフが、
職員全員に宛てた挨拶メールで、とても嬉しいエピソードを
つづっていましたので、皆様にも紹介させていただきます。

向学館生活を振り返って、強く思い出に残っていること。
3つ目のエピソードです。

―――――――――――――――――――――――――――――

 みっつめはやはり中3生の受験であります。

 後期出願直前に基礎・応用クラスの生徒数人が、自分の実力よりも
 相当上のレベルの高校を受けると言い出しました。

 あの時は、本当に悩みました。

 僕に相談してきた彼らが、僕のせいで人生が変わるかもしれない、と。

 でも、でも、でも、周りの大人たちが彼らの受験に
 不安を感じているという話を聞いたとき、
 久美さんが「応援したいね」とおっしゃったとき、腹が決まりました。

 ここは、向学館だ。

 僕らは最後まで彼らの可能性を信じて、彼らの背中を押してやろう、
 そして、最後まで彼らにできることを全てやろう、と思いました。

 結果的に”幻の補習”に参加してくれた生徒全員が合格しました。

 報告を受けて思わず涙が出てしまいました。
 それぐらい、ほっとしました。

 自分の中の座標軸を変える、大きな大きな出来事でした。

 「こんなに楽しい受験勉強でいいのかと思いながら勉強した」
 という生徒たちの言葉は忘れることができません。

 なによりもの思い出はこの彼らとともに走り続けた日々、
 それ自体だったのだろうと思います。

―――――――――――――――――――――――――――――

カタリバで大切にしている価値観が、「可能性を信じる」です。

(参考:クレド「カタリバの約束」

相手の可能性を心から信じること。
対話から生まれる創発を信じて、目の前の一人ひとりに向き合うこと。
そのために、きっかけを届け、主体性を育むこと。

このように、「相手のために何かができるか?」を本気で考え
全力で行動することによって、今度は自らがも学びや気づきを
得ることも少なからずあります。

上記で紹介したスタッフが、同じメール内で
「向学館で学んだこと」などつづっているので、最後に引用します。

少し長く、また社内向けなので読みづらい箇所も多少あると思いますが、
お時間あるときに、ぜひご覧になってください。

 僕自身、向学館で多くのことを学ばせていただきました。

 はじめは向学館、あるいはカタリバというものが
 一体なんなのかよく分からず、毎日が戸惑いでした。

 向学館は塾なのか学校なのか。ナナメの関係ってなんなのか。

 誰もはっきりとは答えられないのに、
 僕の生徒との接し方は間違っていると言われたとき、
 僕はこの場所にいるべきではないのだと思いました。

 しかし、そのあと、直接久美さんに話をしに行き、
 「自分がやれることをやろう」と思ってからは
 自分なりに、圧倒的当事者意識と粘り強い対話を両輪に
 少しずつでも前に進めれたのではないかと思っています。

 対話―。それこそが僕が向学館で大切にした
 唯一のものだったのかもしれません。

 いつからか「学校でも塾でもない場所」の定義に、
 「対話」と「納得感」を据えました。

 それは僕自身の学生時代を振り返って大切だと思ったことであり、
 そして向学館に来てから、先の久美さんとの話し合いや
 自分が怒られたときの鶴賀さんから、自らが学んだことでした。

 「ダメなことはダメなんだ」という指導をする場所は他にもたくさんある、
 向学館は常に生徒に納得感を持たせる努力をしよう、
 それだけはブレずに持っていよう、と思いました。

 「生徒に納得感を持たせるためにはまず自分が」
 そう考えてからは自問自答の日々でした。

 なぜ勉強しなければならないのか。
 なぜいじめをしてはならないのか。
 なぜ未成年はタバコを吸ってはならないのか。
 なぜ嘘をついてはいけないのか。

 毎日毎日、そんなことを考えていました。
 それはなんだかとても楽しい日々でもありました。

 ”寄り添う”とか”居場所機能”とかは結局よく分かりませんでした。

 でも対話と納得感はこちらの努力と根気で得られ、
 それらが生徒たちの居場所を作ることに
 大きな力を発揮した気がします。

 単に相手を黙らせる指導なら簡単です。

 正直に言うと僕も使い分けることがありました。
 でも有無を言わさない指導だけではダメだと思いました。

 大人の世界に少し足を踏み入れている彼らには効力がないし、
 なにより、日々の多くの時間を共有する生徒と
 ナナメの関係が”維持”できないのです。

 日々の指導の中で、決して同じフィールドに立つ訳ではなく、
 しかし、できうる限り同じ目線で考えることで
 自分なりのナナメの関係を築いていこうとも思っていました。

 生徒の視点は鋭く、ハッとさせられることが多々ありました。

 それらをしっかりと真正面から受け止め、生徒とともに悩むことで、
 こちらも成長させてもらっていたのだろうと思います。

 そして、これは希望的観測に過ぎないのですが、
 きっと彼らも、そんな僕らの姿勢から
 何かを感じてくれていたのだと思っています。(引用終)

女川向学館では、4月から中学生の授業がスタートしました
GW明けには、小学生が通い始めます。

今年度も、生徒たちの成長を、そしてスタッフの奮闘を
温かくお見守りいただければ幸いです。

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