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認定NPO法人カタリバ (認定特定非営利活動法人カタリバ)

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PressRelease/外国にルーツを持つ高校生のキャリア支援、NPOカタリバと群馬県が連携協定を締結

お知らせプレスリリース子ども支援

認定特定非営利活動法人カタリバ(本部:東京都杉並区、代表理事:今村久美、以下 カタリバ)が取り組む外国ルーツの高校生支援事業「Rootsプロジェクト」は、3月29日、群馬県と連携協定を締結しました。群馬県の地域企業と連携して外国ルーツの高校生たちのキャリア支援を行い、地域における多文化共生・共創の在り方を共に模索、推進することを目指します。

多様化が進む日本社会、2065年には8人に1人が外国につながりを持つ

「外国につながりを持つ」「外国ルーツの人々」とは、国籍を問わず、両親またはそのどちらか一方が外国出身者である方々のことを言います。現在日本に暮らす在留外国人の割合は人口に対して2.2%(*1)、近年の増加率は特に大きく、50年後の2065年には総人口の12%(およそ8人に1人)になるとも言われています(*2)。

実生活で外国ルーツの方と出くわす機会が過去に比べて増えているだけでなく、昨今では外国人居住者が多い地域の飲食店事情や暮らしの様子を描いた記事や番組など、メディアを通して彼らの暮らしを目にすることも増えてきました。多様な背景をもった人々が共に社会をつくっていくことが前提となる未来が、ますます近づいてきています。

(*1)総務省統計局 令和2年国勢調査:https://www.stat.go.jp/info/today/pdf/180.pdf
(*2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「留学生・高度外国人材の受け入れの 実態と課題」(2018) :https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/hoiku/20180129/180129hoiku01.pdf

中退率や非正規雇用率の高さ、支援現場から見えた外国ルーツの若者たちが直面する課題

外国ルーツを持つ若者たちの暮らしに焦点を当てると、学習や就労における課題が見えてきています。文科省の調査では、日本語指導が必要な高校生は全高校生と比べて中退率や非正規雇用での就職率が高いといったデータが示されました(*3)。

カタリバはこのような問題に直面している外国ルーツの若者、とくに高校生年代を対象として、2019年に支援事業「Rootsプロジェクト」を立ち上げ、学校の授業時間や放課後の時間を通した学びのサポートに取り組んできました。

支援をおこなう中で、前述のような学習・就労に関する課題以外にも、地域社会との繋がりを作ることのハードルが高い、自分をうまく表現できずに自信を失ってしまう、日本でのキャリアイメージが湧かず将来に不安を感じるなど、生活やキャリアに関する課題も多く見えてきています。

彼らが直面している課題をひとつひとつ解決していくにはまず日本語を習得し言語の壁を突破することが大切ですが、支援現場で高校生たちと接していると、そもそもキャリアへの不安を抱えている中で「何のために日本語を習得するのか」という目的が見出せず、学習のモチベーションを維持することが難しくなるケースも見受けられています。

(*3)文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和3年度)」:https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/09/1421569_00004.htm

「未来の自分」と出会うきっかけに。高校生と地域社会をつなぐキャリア支援プログラム、新しく群馬県と連携スタート

外国ルーツを持つ高校生たちは、国境を超えた転居や異文化での暮らしなど様々な経験からレジリエンスが高く、ひとりひとりが可能性に満ちた存在です。国籍や生い立ちに関わらずすべての高校生が自分らしい将来の選択肢と出会い、自分のキャリアについて前向きに考えていけるよう、Rootsプロジェクトは昨年度から課外インターンシップを軸とした「Rootsインターン」という新規プロジェクトをスタートさせました。

インターンシップ活動を通して未来の自分の姿を想像したり、新しい視点から地域社会を再発見したりすることで、まずは高校生自身が学びへの意欲を手にすることを目指しています。また高校生だけでなく大人たちにとっても学びや気づきがあることも、いくつかの企業とインターンを実施する中で見えてきました。

▼これまで「Rootsインターン」を実施した企業の方々の声
「彼らの姿を通して、未来の日本社会について考えなおすことができた」
「(ルーツにとらわれず)一個人として向き合うことの大切さを学んだ」
「可能性に満ちた若者たちにチャンスを作ることができてうれしかった」

この機会をより多くの高校生と地域に届けるべく、このたび群馬県と連携を結び、多文化共創担い手育成事業「Rootsインターン」を実施していくことが決定しました。

群馬県は東京などの関東大都市圏に隣接する工業地帯のひとつとして多くの外国人労働者を受け入れてきた地域で、今回インターンを受け入れてくださる「群馬県多文化協創カンパニー」の企業も、これまでも外国ルーツを持つ方々を雇用してきています。その多くは来日して1世代目にあたる方々ですが、今回の協働を通して、彼・彼女たちの子どもの世代、さらに未来の世代を生きる子どもたちが暮らす社会の在り方について、共に考えていくきっかけになればと考えています。

具体的な取り組み内容

多文化共創担い手育成事業「Rootsインターン」では下記の内容の実施を予定しています。

●群馬県内の高校、支援機関等の協力のもと、群馬県在住在学の外国ルーツの高校生対象のインターンシップ(以下「本プログラム」)の企画・運営
●本プログラムへの参加希望者募集に関する周知・広報
●参加生徒への事前・事後研修プログラムの提供
●協力企業への事前研修の提供・受入プログラムの協働開発
●効果測定や効果的な支援方法等の研究開発を目的としたアンケート・データ分析
●対象生徒の支援に関わる関係機関との情報共有・連携・協力

今後のスケジュールは下記を予定しています。

連携に寄せて、代表からのメッセージ

<群馬県地域創生部長 新井薫氏>

群馬県の外国人県民数は約6万5000人で、既に群馬県の地域経済は外国人県民の活躍なくしては成り立たないと認識しており、多文化共生・共創の推進に取り組んでいるところです。今回のNPOカタリバと連携して取り組む「Rootsインターン」を通じて、外国ルーツの高校生が社会の中で自信を持って活躍していくためのきっかけを見つけて欲しいと思っています。

<認定NPO法人カタリバ代表理事 今村久美>

外国ルーツの子どもたちが日本社会に当たり前のように仲間として迎えられ、地域社会をみんなで一緒につくっていける世界を目指していきたいと考えています。NPOカタリバのRoots事業部はまだ新しい事業で日々試行錯誤の連続ですが、包括的なスタンスの政策提言をされてきた群馬県とご一緒させていただくことで、新しい可能性を見つけていければと思います。

認定特定非営利活動法人カタリバ

どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPOです。高校への出張授業プログラムから始まり、2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。

<団体概要>
設立 : 2001年11月1日
代表 : 代表理事 今村久美
本部所在地: 東京都杉並区高円寺南3-66-3 高円寺コモンズ2F
事業内容 : 高校生へのキャリア学習・プロジェクト学習プログラム提供(全国)/被災地の放課後学校の運営(宮城県女川町・岩手県大槌町・福島県広野町)/災害緊急支援(全国)/地域に密着した教育支援(東京都文京区・島根県雲南市)/困窮世帯の子どもに対する支援(東京都足立区・全国)/外国ルーツの高校生支援(東京都)/不登校児童・生徒に対する支援(島根県雲南市・全国)/子どもの居場所立ち上げ支援(全国)
URL: https://www.katariba.or.jp/

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