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認定NPO法人カタリバ (認定特定非営利活動法人カタリバ)

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PressRelease/NPOカタリバ、茨城県とヤングケアラー支援に関する連携協定を締結。本プログラムで自治体との連携は初。

プレスリリース

認定特定非営利活動法人カタリバ(本部:東京都杉並区、代表理事:今村久美、以下カタリバ)は、2022年10月27日(木)、茨城県と、ヤングケアラーとその家庭へのオンライン支援を行うための連携協定を締結しました。この連携により茨城県内のヤングケアラーとその家庭に対し、家庭へのサポートおよび専門家によるオンライン相談窓口やヤングケアラー向け対話プログラムなどの提供を行い、「ヤングケアラーの子どもたちが未来に希望と豊かな選択肢を持ち、自分自身の可能性を拓いていける社会」を実現していくことを目指します。

ヤングケアラーの実態が明らかに。支援が届きにくい要因に当事者発見の難しさも

本来大人が担うべき家事や家族のケアを日常的に行っている「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもたち。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2021年に行ったヤングケアラーの実態調査(※1)によって中学生の17人に1人が家族のケアを担っていることが明らかになりましたが、2022年に株式会社日本総合研究所によって小学生を対象に行われた調査(※2)で、15人に1人の小学生もまた家族のケアを担っていることが分かりました。

ヤングケアラーの中には、子どもらしい生活を送るために必要な時間をケアに使っており、健康状態や学校生活に支障をきたす、自由に使える時間がないなどの問題を抱えている子どもも多く存在しています。しかし支援を届ける難しさの要因として、日常的なケアを「お手伝い」だと認識している、精神的なサポートなどを行っている場合そもそも「ケア」を担っている認識すら持てないなどの理由から、子どもたちは支援が必要である自覚がない場合も多く、当事者の発見が難しいこと、また困っていると感じても相談先が分からない、家族への配慮から周囲への相談を控えるなど、子どもたちが自分からSOSを発せないことがあげられます。

ヤングケアラー支援を届けていくためには、彼らとその家庭の問題を理解し、周囲にいる大人が子どもたちの置かれた状況を把握して、必要な支援を受け取れるように能動的に働きかけていくことが重要です。

※1:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」(令和3年、3月)
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2021/04/koukai_210412_7.pdf

※2:株式会社日本総合研究所「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」(令和4年、3月)
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/detail/2021_13332.pdf

カタリバでは、2021年からヤングケアラーとその家族向けのオンライン支援をスタート

カタリバは2021年12月から、「キッカケプログラム forヤングケアラー」プログラムを開始し、ヤングケアラーとその家族向けのオンライン伴走型支援に取り組んでいます。ヤングケアラーのいる家庭では、保護者もケアの方法に悩んでいたり、子どもたちがケアを担っている状況に葛藤を抱えていたりします。そのため子どもたちへの支援はもちろん、保護者や家庭全体を支援することが重要です。カタリバは家庭を丸ごと支援していくために子どもと保護者双方へのオンライン定期面談のほか、専門家によるオンライン相談窓口の設置、ヤングケアラー同士がお互いに語り合ったり相談しあったりする「ピアサポート」の場の企画などをおこなってきました。

<プログラムに参加した子どもたちの声>
・辛い時に誰かに相談することで気分が落ち着いた
・週に一度メンターとお話する時間が本当に楽しかった
・学んだことを自分の将来に活かし、自分らしい生き方で楽しく生きていきたい

<プログラムに参加した保護者の声>
・参加することで、親である自分が苦しくなるのではないかと思ったがそうではなかった。自分たちの家庭についてじっくり振り返ることができた
・ヤングケアラーの親であっても、子どものために何かしたいと感じる。同じように感じている人は他にもいると知れてよかった

同年代のヤングケアラーとの情報交換や、ケアラーの先輩と対話して将来のロールモデルを発見すること、辛い時に誰かにその状況について話すことで、子どもたちが前向きになる様子も見られています。保護者の方々にとっても、家庭のことを第三者に話すことで、状況を肯定的に捉えられるようになり、プログラムを通して家族全体の心理的負担を軽減することにつながるというケースも出てきました。

また心理的負担軽減の施策に加え、ヤングケアラー家庭の物理的負担を軽減することを目的に、2022年6月から実験的に約2か月間食事宅配プロジェクトを実施(※3)。このように、カタリバではさまざまな取り組みを通して、ヤングケアラーに対し学ぶ機会の提供や進路選択をあきらめずにいられる環境を築くための包括的な支援を試みています。

※3:食事準備の負担を減らし自分たちの時間に。NPOカタリバ、ヤングケアラーの家庭向け食事宅配プロジェクトをスタート
https://www.katariba.or.jp/news/2022/06/28/37818/

茨城県がヤングケアラー支援への取り組みを本格化。カタリバと連携協定を結び支援を拡大。

茨城県はヤングケアラーの問題を世代を超えた社会問題として捉え、ヤングケアラーをはじめとする多様なケアラーを社会全体で支えていくために2021年12月に「ケアラー・ヤングケアラーを支援し、共に生きやすい社会を実現するための条例」を制定しました。

ヤングケアラーの実態調査を実施するなど、支援に本格的に取り組み始めた茨城県とこれまで主にオンラインでの伴走型支援を行ってきたカタリバは連携協定を締結。10月27日(木)に連携協定締結式を執り行いました。この連携によって茨城県内の市町村教育委員会や学校、支援機関の協力を得て、当事者と近い立場にある大人が支援を必要としている家庭を発見できるように協働し、より多くのヤングケアラーとその家庭に支援を届けていくことを目指します。

具体的な取り組み内容

 

協定に基づき、下記の内容について連携・協力を進めます。

(1)茨城県内の各市町村教育委員会や学校、支援機関等の協力のもと、本プログラムへの参加希望者募集に関する周知・広報
(2)プログラムを提供する家庭の選定
(3)メンターの派遣等によるヤングケアラー家庭の支援
(4)ヤングケアラー家庭の効果的な支援方法等の研究開発を目的として、本プログラムにおいて取得した各種データの分析
(5)対象家庭の支援に関わる関係機関との情報共有・連携・協力
 ※ その他、本取り組みを円滑に実施するため、実施時期、実施方法、その他の具体的な事項については、双方が協議して定めます。

代表コメント

【協定締結式における茨城県 大井川知事の発言要旨】
カタリバが自治体と連携して新たに開始するヤングケアラー支援に、茨城県が初の連携先として一緒に取り組めることを非常にうれしく思っています。茨城県でヤングケアラーについての実態調査を行った結果、一定数のヤングケアラーが存在し、毎日長時間のケアを担う子どもがいることが確認されました。健康状態に支障をきたしたり、進学や就職の断念につながるヤングケアラーの課題を解決すべく協働していきたいと思っています。以前から協働関係にあったカタリバと、より一層素晴らしい成果を出せることを期待しています。

【協定締結式におけるカタリバ代表 今村の発言要旨】
カタリバはコロナ禍以降オンラインを活用しながら子どもたちの課題解決に取り組んできました。ヤングケアラー事業においては、保護者の方に対して全国の専門家と協力し心のケアを、子どもたちに対して同じ境遇にあるヤングケアラー達とピアサポートの場を設けるなどやり方を模索しながら支援を実施しています。ヤングケアラーの一番の課題は当事者に支援が必要であるという自覚がないことです。茨城県と連携することで現地地域で関わる方々からの働きかけとオンラインで支援を行うカタリバのベストな協力のかたちを模索し、ヤングケアラーの子どもたちとつながって自分の未来にリーダーシップを持てるように尽力します。加えて今回の連携は、急激に進む人口減少社会のさらなる加速に向けた教育・福祉ソリューションの新しい可能性の模索になるのではと考えています。

認定特定非営利活動法人カタリバ

どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPOです。高校への出張授業プログラムから始まり、2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。

<団体概要>
設立 : 2001年11月1日
代表 : 代表理事 今村久美
本部所在地: 東京都杉並区高円寺南3-66-3 高円寺コモンズ2F
事業内容 : 高校生へのキャリア学習・プロジェクト学習プログラム提供(全国)/被災地の放課後学校の運営(宮城県女川町・岩手県大槌町・福島県広野町)/災害緊急支援(全国)/地域に密着した教育支援(東京都文京区・島根県雲南市)/困窮世帯の子どもに対する支援(東京都足立区・全国)/外国ルーツの高校生支援(東京都)/不登校児童・生徒に対する支援(島根県雲南市・全国)/子どもの居場所立ち上げ支援(全国)
URL: https://www.katariba.or.jp/

問い合わせ

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https://www.katariba.or.jp/report/ (担当:カタリバ広報 山本)

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(担当:カタリバ キッカケプログラムforヤングケアラー 和田・藤井)