【こども支援】日本のこども支援

日本の「こども支援」ってどんなものがあるの?

こども支援」と聞いてあなたはどんなことを思い浮かべますか?虐待されるこども、障害を持つこども、貧困世帯で暮らすこども、被災したこども、いじめや不登校で悩むこども、進路に悩むこどもなど、こどもの置かれている環境は多様でその問題点や解決策が掴みにくくなっています。

例えば厚生労働省が平成28年に発表した「平成27年度 児童相談所での児童虐待相談件数(速報値)」によると、こどのも虐待に関する相談数は全国で100,000件を超え、年々増加傾向にあります。こども虐待に関するニュースは、テレビをはじめとする多くのメディアで取り上げられ、世間の関心を集めた結果、各自治体による「子育て支援制度の拡充」やNPO法人などが支援する「里親制度」などさまざまなこども支援の取り組みが注目されています。

また障害をもつこどもの数は、「平成27年度版障害者白書」によると身体障害の場合で約73,000人、精神障害の場合で約152,000人おり、この子達に対する支援として「学習支援」や「遊びのボランティア」などの活動が広がりつつあります。

そして「貧困世帯で暮らすこども」を表す調査結果として、経済的理由により就学援助を受けている小・中学生が約155万人いることが分かっています。(「平成27年版 子ども・若者白書」調べ)

そんな中、政府をはじめ各自治体や地域住民によって様々な「こども支援」について熱い議論が交わされ、新しい支援の輪が広がっています。今回は、「貧困世帯で暮らすこども達」にフォーカスを当てたこども支援の方法や、その成果などについてご紹介します。

国が進めるこども支援

国は貧困家庭を救う支援として「すくすくサポートプロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトは、特にひとり親家庭・多子世帯等の自立支援策として効果が期待されています。

すくすくサポートプロジェクトがひとり親家庭・多子世帯等の自立支援策に注力している背景に、経済難に陥るひとり親家庭や多子家庭が増加の一途をたどっていることが挙げられます。実際に、働くシングルマザーのうち正規雇用で就業している割合は約4割にとどまり、平均就労年収は約180万円、約半数は預貯金額が「50万円未満」であることが分かっています。(厚生労働省の「全国母子家庭世帯等調査(平成23年度)」調べ)この調査結果からも、ひとり親世帯の経済状況がいかに厳しいものか見て取れます。

このような家庭で育つこどもたちは、ひとりで過ごす時間が多く、学習支援を筆頭に総合的な支援が必要なことが分かっています。そこで国は、こども達への具体的な支援策として下記の項目を掲げいます。

こどもの居場所づくり

放課後児童クラブ等が終わった後に生活習慣・学習支援を行う居場所づくりの実施

こどもの学習支援の充実

高等学校卒業認定試験合格事業の拡充、地域未来塾の拡充、官民協働学習支援プラットフォームの構築

こどもやその家庭が抱える問題への対応

ソーシャルワーカーの配置拡充、訪問型家庭教育支援の推進

国が掲げる「こども支援」の目標数値

これらのこども支援が絵に描いた餅にならないよう、国は具体的な目標数値を公表しています。ここでは、特に貧困世帯に育つこどもの支援策を抜粋してご紹介します。

(1)こどもの居場所づくり部門

・ひとり親家庭のこどもの生活・学習支援を年間述べ50万人分提供することを目標にしています。

(2)こどもの学習支援の拡充部門

・高等学校卒業程度認定試験合格支援事業として豪快のための講座受講費用の6割(上限15万円)の支給を、ひとり親家庭の親だけでなくこどもも対象にすることを掲げています。

・こどもの学習支援の拡充として高校中退防止の取り組み強化・家庭訪問の強化を平成31年度までに年間3万人に提供することを掲げています。

・中学生等に対する原則無料の学習支援(地域未来塾)を早期に5,000中学校区に拡充し、さらに対象を高校生まで広げることを目標にしています。

(3)こどもやその家庭が抱える問題への対応部門

・平成31年度までにスクールソーシャルワーカーの配置を全中学校区に1人(1万人)の配置拡充を掲げています。

・スクールソーシャルワーカーだけでなく、スクールカウンセラーの配置を平成31年までに全公立小中学校にあたる27,500校に配置するとしています。

・幅広い相談が可能な訪問型家庭教育支援ができる家庭教育支援チームを平成31年度までに増加させると公表しています。

このように貧困家庭に育つこども支援策は広がりを見せています。しかし、貧困の背景や各々が持つ問題点は一筋縄にはいかないため、その恩恵に与れる人が限られているのも事実です。そんな中、目の前にいるこども達のために立ち上がった自治体があります。

今すぐ受けられる「こども支援」

「文房具やノート、制服や体操着を買うお金がない」「進学したいけど受験勉強の仕方がわからない」「放課後、いつもひとりぼっち」「家に食べるものがない」

こんな問題に直面しているこども達は全国に約155万人います。そんなこども達のために、さまざまな支援の輪が広がっているのをご存知でしょうか。そんなこども支援を行っている団体や自治体についてご紹介します。

授業料免除、奨学金制度によるこども支援

全国で最も広がっているこども支援として「授業料免除、奨学金制度」があります。

<東京都が行っている6つのこども支援>

  1. 高校生等奨学給付金
  2. 私立高等学校等授業料軽減助成金事業
  3. 高等学校等就学支援金制度
  4. 都立高等学校入学料減免制度
  5. 高校生等奨学給付金による授業料以外の負担軽減
  6. 就学支援金による授業料負担の軽減

さらに東京都内の市区町村(世田谷区、小平市、文京区、新宿区、品川区、練馬区、日野市、中央区、羽村市、目黒区、板橋区、狛江市、武蔵村山市)でも15の授業料免除・奨学金制度を行っています。

このようなこども支援は都内だけの話ではなく、宮城県(5施策)や鹿児島県(4施策)など地方でも見つけることができます。

学習サポートによるこども支援

学習サポートをメインにしたこども支援事業を行う自治体は全国に多数存在します。対象は小・中学生をメインとする事業から、高校生を対象にするものまで様々です。東京都内の市区町村だけでも約50の支援策が実施されており、そのほとんどは地域ボランティアに協力を得て宿題や授業内容を確認しながら自主学習習慣を身につけることを目的にしています。中には、高校受験などを想定したものまであります。

立川市では、中学校に「立川市学習支援員」、小学校に「学力ステップアップ外部指導員」を派遣し、土曜日や放課後・長期休業を利用した学習支援にも力を入れています。江戸川区では、ひとり親世帯の中学生を対象に塾型学習支援だけでなく、派遣型学習支援も行っています。

このように各自治体によって様々な学習支援の方法があり、その目的や内容は千差万別であるのが現状です。そのため、各自治体の取り組みの強化具合により、学習支援のありかたに格差が生じてしまっているという側面があります。

放課後の居場所作りによるこども支援

「こどもの居場所作り」に着目して活動している自治体もあります。例えば高知県の地域福祉部福祉指導課では「子どもの居場所づくり支援事業」として、生活保護世帯、生活困窮世帯の小・中学生を対象に夏休みなどの長期休暇中に体験学習やレクレーションを通したこどもの居場所作りを行っています。

子ども食堂による支援

全国に200箇所以上ある「子ども食堂」とは、「家に食べるものがない」といった生活困窮家庭に育つこどもから「いつもひとりでご飯を食べている」というこどもまで、様々な環境下にあるこども達に食を通して行われているこども支援のあり方です。その多くは地域のNPO団体や自治体、支援者によって支えられています。

この活動は、近年メディアで多く取り上げられたこともあり全国に広がりを見せています。特に関東エリアでの活動が顕著です。

全国に広がりを見せている子ども食堂ですが、その運営は容易ではなく、場所代・材料費・人件費を寄付やボランティアスタッフが支えています。この支援の和が一つでも途切れてしまった影響で子ども食堂をやめてしまう人が少なくないのが現状です。

カタリバが行う6つのこども支援とその実績

カタリバは、こども達のために6つの支援を行っています。

  • 高校生を対象にしたキャリア学習プログラム「カタリ場
  • 被災地(東北熊本)で学習支援の場「コラボ・スクール
  • 高校生が自ら課題を見つけ解決へのチャレンジに取り組む「マイプロジェクト
  • 文京区の中高生を対象にスポーツ音楽学習支援などを提供している「b-lab(ビーラボ)
  • 島根県雲南市で中高生のキャリア教育を届けている「おんせんキャンパス
  • 東京都足立区からの委託で貧困などの困難を抱える子どもたちのための居場所兼学習支援をおこなっている「アダチベース

これら6つのこども支援の実績をご紹介します。

カタリ場」のこども支援実績

まず高校生を対象にしたキャリア学習プログラムを行うこども支援カタリ場」は、のべ274校の高校で33,477人の高校生に実施しています。その中の一つである、進路・将来のミスマッチ選択を防ぐ「キャリアリテラシープログラム」は、35校の高校で8,058人の高校生に届けてきました。

コラボ・スクール」のこども支援実績

次に被災地(東北・熊本)で行っている学習支援「コラボ・スクール」の実績は、東北では852人の幼児〜高校生を対象に学習支援を行いました。また熊本では970人のこども達に学習支援を実施してきました。

マイプロジェクト」のこども支援実績

高校生が自ら課題を見つけ解決までやり遂げるこども支援マイプロジェクト」は、全国から204人の高校生が参加しました。もともと東日本大震災で被災した高校生が「恩返ししたい・町の復興のために自分たちでできることをしたい」という思いからスタートした事業です。(1)プランニング(2)アクション(3)プロジェクトの発表・振り返りの3つのステップを経て、単なる問題解決能力の向上だけでなく、課題を見抜き、問題を自分ごとに捉え直して解決していくことの重要性を体感をもって学ぶことができます。

b-lab(ビーラボ)」のこども支援実績

文京区の中高生を対象にスポーツ・音楽・学習支援などを提供しているこども支援b-lab(ビーラボ)」では、2015年の1年間で27,393人の中高生が来館しています。b-lab(ビーラボ)に来館した高校生の中には映画プロジェクトを自ら立ち上げ文京映画祭への出品を目標に活動している学生もいます。

おんせんキャンパス」のこども支援実績

島根県雲南市で中高生のキャリア教育を届けているこども支援おんせんキャンパス」では、不登校に悩む小・中学生27人に一人ひとりにあった教科指導とキャリア教育を取り入れた支援だけでなく、家庭訪問を行って学校復帰に向けたコーディネートを行っています。また、おんせんキャンパスでは、土曜日を利用して市外の大学生や社会人と協力してのべ1,232人の中高生にキャリア教育を届けてきました。

アダチベース」のこども支援実績

最後に紹介する東京都足立区の委託で、貧困など困難を抱える子どもたちのための居場所兼学習支援をおこなっているこども支援アダチベース」では、30人の中学生に学習支援や体験学習を通して安心して過ごせる居場所を提供してきました。

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