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150人のメンバーで「私たちのスタンス」を言葉にした3日間。カタリバ全社会議2025レポート

vol.387Report

カタリバでは、年に一度、全国各地で活動するスタッフが一堂に会する「全社会議」を開催しています。2012年に初めて実施してから毎年続いており、今年で13回目。各拠点で日々子どもたちと向き合う現場スタッフや、活動基盤を支えるコーポレート部門スタッフなど、全国から約150人が集まり、語り合いました。

本記事では、「10年後も大切にしたい私たちのスタンスを考える」をテーマに、カタリバが大切にしたい価値観について対話を重ねた3日間の様子をレポートします。

離れていても働ける時代に
同じ場所に集まる意味とは?

カタリバでは年1回の全社会議とは別に、毎月「オルミ(katariba all meeting)」と呼ばれる全社のオンラインミーティングを実施しています。オルミでは、各事業の近況を共有する回もあれば、社外のゲストをお招きし、日々の持ち場から少し視点を移して目指したい未来について議論をすることも。

そのような場が月に1回あるうえで、なぜ対面集合型の全社会議を行うのか。このことについて、全社会議の冒頭で、全社会議実行委員の米田と、代表・今村から以下のような話がありました。

「今回の全社会議の参加者のうち、約半数が初参加となるメンバーです。オンライン環境での業務が日常になった今だからこそ、こうしたリアルな“共通体験”ができる機会はとても貴重。この場で考えた『私たち(カタリバ)らしいスタンスとは何か』を、それぞれの現場に持ち帰ってもらいたいと思います」(米田)

全社会議実行委員の米田

「目の前にいる子どもたち、関わる先生・地域の方、応援してくださる寄付者の方、そしてカタリバの仲間……すべてのステークホルダーと向き合ううえで、私たちの判断や行動の土台となる価値観を、3日間かけて一緒に考えたい。こうした全社会議を実施するのは、共通する価値観を持つことが、組織の価値につながると信じているからです」(今村)

こうした思いのもとに、今回の全社会議は2泊3日で実施されました。

3つのステップで
私たちのスタンスを紡いだ3日間

今回の全社会議は、異なる事業に携わるメンバー同士で構成された5人1組の「ホームグループ」で対話を重ねました。職種や事業を越えて交わることで、多様な視点に触れながら、自分たちが大切にしたいスタンスについて言葉にしていきました。

3日間のプログラムは、「お互いを理解する」「スタンスを言葉にしてみる」「納得解を見出す」という流れ

1日目は「お互いを理解する」というテーマのもと、アイスブレイクや自己紹介ワークを通じて、メンバー同士の背景や思いに触れる時間からスタート。この日のゴールは、お互いを知ると同時に、「これからも考え続けたい問い=もやもや」と出合うこと。事前課題で考えてきた、仕事や日々の生活の中で解決できそうだけど難しい、もどかしい、心に引っかかっていることを共有しました。

2日目は、「スタンスを言葉にしてみる」ための時間として、各ホームグループで自分たちの考えを深め、議論を重ねながら言語化に取り組みました。

最終日となる3日目は、複数のホームグループが集まった混合グループで発表し合う時間が設けられました。この時間では、自分たちのグループと近い視点を見つける一方で、自分たちのホームグループでは出てこなかった新たな観点に触れる機会にもなりました。

また、それぞれの立場での葛藤が具体的なエピソードとともに共有される場面もあり、それぞれのグループから出てきたスタンスに込められた背景にも、しっかりと耳を傾ける時間になりました。

最後は、今回の全社会議を踏まえて「自分との約束」を一人ひとりがカードに書き、3日間を一緒に過ごしたメンバーと共有しました。

10年後も大切にしたい、
私たちのスタンスとは?

3日間のホームグループでの議論を経て、各グループから発表された「10年後も大切にしたい私たちのスタンス」の一部を紹介します。

子どもたちの声に、絶対に向き合う
・相手に寄り添い、可能性を信じる
・対話で難しさを越えていく
・相手の立場を理解し、声に耳を傾け、共に考える
・ジレンマと向き合い、一歩を踏み出す
・自分たちの正しさを常に問い直す
・小さな変化を称賛し合う
・困難な場面に直面しても簡単にやめない、あきらめの悪さ

後日、全社会議への参加が叶わなかったメンバー向けの半日間のプログラムも開催され、こちらでも10年後も大切にしたい私たちのスタンスについて議論を交わしました。

今回の全社会議で議論された内容は、日常的に見返せるよう「スタンスカード(仮称)」にまとめていきます。今後、スタッフが誰でも参加できるレビュー会を経て完成する予定です。

さて、次に全員が対面で集合するのは1年後。どんな環境に生まれ育っても未来をつくりだす力を育める社会の実現に向けて、次の1年もそれぞれの現場で力を尽くしていきます。

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Writer

本田 詩織 カタリバマガジン編集担当

1990年生まれ。 地方で育った経験から、学生時代より地域の魅力や課題を教育に繋げる取り組みに関心を持つ。民間企業2社を経て、2018年よりカタリバに参画。福島県立ふたば未来学園高等学校併設の「コラボスクール・双葉みらいラボ」で学校支援コーディネーターとして勤務したのち、現在は広報部でオウンドメディアの運営を担当する。

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