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KATARIBA マガジン

子どもの無視や暴言にどう向き合う?心が折れそうなとき、私を支えた“気づき”と“実践”

vol.413

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writer 編集部

家庭でも学校でもない第3の居場所「サードプレイス」。子どもたちが安心して自分らしくいられる居場所をつくるには、そこに空間があるだけではなく、関わるスタッフの存在も重要です。

カタリバでは2011年の東日本大震災をきっかけに子どもの居場所を運営してきました。
日々子どもたちと向き合うカタリバのスタッフたちはどんな経験をし、子どもたちとの関わりの中からどんな気づきや学びがあったのか。

初回となる今回は、子どもの居場所のスタッフとして働くトモミさん(仮名)のお話を紹介します。居場所に来た子どもに話しかけても反応がなかったり、暴言を吐かれたりしたとき、トモミさんはどう関わっていったのでしょうか?

「おはよう」を無視されて。
“ゆらぎがあるのは当たり前”と思えた転換点

ある日のこと。居場所に来た子に対して、「おはよう!」と声をかけましたが、無視されてしまいました。

最初の頃は対応に困りましたし、「聞こえてないのかな?」と言い聞かせ、その場をやり過ごすことしかできませんでした。

無視されるパターンだけではなく、挨拶しただけなのに「うざい」「きもい」などと言われることも。私も人間なので、もちろん傷つきます。

子どもの居場所のスタッフとして活動し始めたばかりの頃は、無視をされて心が折れたことも何度もありましたが、今は「そういうものだ」と思えるようになりました。

それはなぜか——。私の心の持ちようを変えてくれたのは、同じように働くスタッフたちでした。

「心折れるよね、わかるよ」と声をかけてもらったこと、「声をかけること自体に意味がある」と意味づけしてもらえたことで、無駄なことをやっているわけではないんだと思えました。実際に、声をかけることには主に3つの意味があると感じています。

  1. 歓迎の気持ち:「よく来たね、会えて嬉しいよ」というように、相手を歓迎する気持ちを伝える
  2. コミュニケーションのきっかけづくり:「あなたと話したい」という意思表示として、会話を始めるきっかけになる
  3. 挨拶の心地よさを共有するマナー:「お互いに挨拶するのは気持ちいいよね」という、社会的なマナーや心地よさを示す

 

ゆらぎがあるのが当たり前の思春期時代。

斜に構えていて当たり前だし、大人になりたくて大人っぽくすることや、子どもになりたくて子どもっぽくすることもある。徐々にそう思えるようになりました。

子どもたちと互いに気持ちよく接するうえで
意識している2つのこと

ここからは、心の持ちようを変えたうえで、具体的にどのように子どもたちと接するようにしたのかご紹介します。

私の場合は、時と場合によって反応に変化をつけるということを意識しました。

例えば、笑って返答しても問題ない場面では、少し冗談っぽく「いやいや、その態度はないでしょう〜」と伝えることもあります。

一方で、挨拶に対して子どもが「うざい」「きもい」と返すなど、人に対してする態度ではないと感じた場合はトーンを変えて、「今のは間違っている、こちらは傷ついている」というメッセージを伝えます。ただ、ずっと怒っていてもしょうがないので、事象が起こった直後に想いを伝えることもセットで行っています。

もうひとつ、私が意識しているのは「距離を詰めすぎない」ということです。
人と人とのコミュニケーションなので、自分が気持ちの良いコミュニケーションが相手にとっても良いかはわからないですよね。

こちらがすごく関わりたいと思っていても、向こうはそうではないかもしれない。

とはいえ、距離を詰めすぎて関係構築に時間がかかった子もいますし、今でもうまくいかないことはあります。失敗を恐れず、目の前の子どもに対して一歩踏み込んだコミュニケーションをとったときに、相手が距離を詰めたいタイミングかどうかを判断するのが大事なのかなと思います。

やらないのではなく“できない”のかもしれない
その子の背景に目を向けることの大切さ

日々子どもたちと向き合う中で、私にとって大きな学びがありました。
それは、子どもたちが声をかけられても反応しなかったり、攻撃的な態度をとったりする背景には、上手くコミュニケーションをとりたくても“できない”場合もあるということ。

一例をあげると、「学校へ行っていない」「家庭で会話がほとんどない」など、コミュニケーション能力を身に着ける機会が極端に少ない子もいます。

そういった背景を知らずに、「この子は礼儀がなってない」「攻撃的な子だ」と決めつけるのはとても危険です。

そんな子たちに私ができること——。それは“打席をつくる”ことだと思います。

少しでも反応をしてくれたら、喜ぶ・褒める・驚くなど、何かしらのリアクションを必ずする。そうすれば、「挨拶すると喜ばれるんだ」「反応・返事をすると何かが進むんだ」と思ってくれるかもしれない。そう信じています。


 

トモミさんはいつも居場所に来る子どもたちの変化を急がず、長期的な目で見て関わり続けているとのこと。

理由を尋ねると、「スタッフ自身が一喜一憂していたら疲れてしまうし、『昨日できていても今日できないのは当たり前。むしろ昨日できたのかすごい!』というスタンスでいるのが大事」だと話してくれました。

カタリバでは、子どもたちが意欲と創造性を育めるようになるための「5つのSTEP」という考え方があるのですが、STEP5(オーナーシップを持って行動できるようになる)まで至ったと思ってもまた1から始めることもあるので、ここまでできるようになった、ということを前提にするのではなく、「できたこと」が積み重なっているという点に目を向けるのも大事なことのひとつかもしれません。

※子どものプライバシーに配慮し、スタッフの名前を仮名としています。

Writer

編集部 編集部

KATARIBAMagazine編集部が担当した記事です。

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