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「何も行動せずに悩んでいるだけの自分が嫌だった。新しい自分になるための、1年間の挑戦。」実践型インターンinterview 

vol.027Interview
Profile

起塚 拓志 Okizuka Takushi NPOカタリバ 実践型インターン

教員または教育の研究者になることを志し、広島大学教育学部に通っていた起塚。大学3年の時に、教員が本当に自分に合っているのか・教育とは何なのか、迷いが出たことをきっかけに、教育改革に取り組む広島県の離島に1ヶ月のインターンシップへ。地域と繋がった教育というテーマと出会い、より実践経験を深めようと参加したカタリバの実践型インターンシッププログラム(実践型教育インターンシップ:日本が抱える様々な社会課題に対して、「教育」という角度から1年間本気でコミットする、学生向けのプログラム)。起塚が1年間で得たものとは?

教育理論を学ぶだけでは得られない、
圧倒的な原体験を求めて大学の外へ。
 

実践型インターンシップに取り組もうと思った理由について教えてください。 

一言でいうと、「実践の場が欲しかったから」です。 

家庭の事情を背景に、人が育つために必要な環境や、他者との関わりとはどういうものかを突きつめて考えたいと思うようになり、将来は教員になるつもりで大学の教育学部に入りました。でも大学で教育にかかわる様々な理論や価値観にふれるにつれ、教育ってなんだろう?自分は教員に向いているのだろうか?と分からなくなったです。 

大学の授業で特に記憶に残っているのは、1年生のときに受けた学校論の演習です。「学校制度の是非を問う」をテーマに、文献を読んでディスカッションを行うものでしたが、そこで学校の存在はかえって社会全体を不幸にすると唱える論者たちの思想に数多くふれて。高校まで、学校や教育は無条件に「よい」ものだと疑ったことがなかったし、当然学校は必要だと思って生きてきたので、今まで信じていたものをゆさぶられるような体験でした。 

他にも様々な教育理論や社会理論を知るうちに、教育って何なのか、だんだん分からなくなっていきました。研究者の道も考えましたが、心から納得できる感覚もなくて。それでも「教育」というテーマは手放す気になれず、進路選択の時期になって考え込んでしまったです。 

でも、そうやって悩んでも、理論上でしか学んできていないので、自分の経験を元に納得解を出すこともできない。ずっとモヤモヤしていた時期に、大崎上島という島の高校魅力化の取り組みを紹介してもらい、1ヶ月のインターンシップに行きました。そこで見たものは、地域の未来と高校の未来を重ねながら、多様なスキルや専門性を持った人がコレクティブに学校改革に関わる現場でした。自分の全く知らない教育の現場に衝撃を受け、「これだ!」と。もっとこの領域で実践経験を積みたいと思いました。 

そして島根県がそうした教育改革の先進地だということを知り、カタリバの実践型インターンシッププログラムなら雲南市で活動できることも知って、応募を決めました。  

自分の人生の選択の原体験となる実践経験を積みたくて参加したですね。 1年間休学してプログラムに参加することに、不安はありませんでしたか? 

休学への抵抗感はありませんでした。大崎上島で住み込みのインターンをしていたとき、島のIターン者の方々の多様な生き方にふれたことがきっかけです。他人との比較でなく、自分が幸せと思える人生を追求している人たちと交流するうちに、同級生と学年が変わってしまうとか、そういうことを気にする感覚が薄れてゆきました。島をきっかけに新しくできた大学の友人も、「1年の休学くらいたいしたことないじゃん」という感じで。挑戦を応援してくれる仲間がいてくれたことは支えになりました。 

唯一不安だったのは、行くまでは実際に自分が何をするのか分からなかったことです。もちろん雲南市の教育魅力化に関われることは決まっていたのですが、その中で自分が何を担当して毎日何をするのか、具体的には分からなかったので、友だちにも話せなくて。休学して何するの?と聞かれても、自分でもまだ分からないけど、こういうこと(魅力化)に関わるよ、としか言えませんでした笑。 

そんな中飛び込んでみて、活動が始まっていかがでしたか? 

インターンが始まったばかりの時期、カタリバチームの中で、自分がどう貢献できるかを探るのが大変でした。バイト以外働いた経験のない、何のバックグラウンドもない学生ができることって何なのだろうと。他の職員はみんな前職の経験があり、それぞれの強みを生かして活躍していたので、武器がないままだと何もできない、と焦りました。 

生まれて初めてビジネス書を読んでみたり、日報にフィードバックをもらったり、1on1の面談で他者から見た強みを教えてもらったりしながら、自分なりに貢献できるポイントを見つけていきました。例えば議論をまとめるのが上手だと言われたので、ファシリテーション・グラフィックを勉強して、議論をホワイトボードに整理して喜ばれたり。そういうことを積み重ねながら、できることや関われる範囲を増やして、仕事の楽しさを自分から高めようとしていました。 

同期と支え合い「リアルな課題」と向き合う
中で見えた、本当に自分がやりたいこと。
  

活動する中で、何か大きな失敗や難しかったことはありましたか? 

一番心に引っかかっているのは… 高校の中に常駐して、生徒たちの探究的な学びをサポートするコーディネーターのミッションを持っていた時に、家庭的に難しいところがある生徒が、マイプロジェクト(高校生が自らプロジェクトを立ち上げ実行するPBL)のイベントに行くかどうか悩んでいると相談してきたことがありました。プレッシャーがかかるような場所に送り出すのがいいのか悩んでしまうような、不安定さのある子でした。話し込んだ末に、僕は「無理する必要はない」と伝えたです。その子も結局行かなかった。

そのことを担任の先生へ報告に行ったら、「私は送り出して挑戦させたほうがよかったように思う」と言われて。自分ひとりで判断したことをすごく後悔しました。関わりの深かった生徒で、本音を話してくれる関係になっていたので、その子のことをわかったような気になっていた。自分の慢心によって、チャレンジの機会をひとつ奪ってしまったかもしれないと… 

失敗や後悔、大変なことがあった時はどのように気持ちを消化していたんですか?

全国に散らばり、別々の拠点で活動する同期インターン生の存在が大きかったです。オンラインで2週間に1回、近況や学んだことを語り合うミーティングを開いて、互いの成長を確認しながら1年間活動してきました。何でも話し合える存在でありながら高め合える、いい距離感の関係です。別々の拠点で活動していると、日々違う現場を見ているので、自分の活動範囲だけだと分からないことを気づかせてくれました。 

例えば自分が悩んでいることや、ちょっとした愚痴を出したとき、他のみんなが「こういう風に考えられるじゃないか」と見方を変えてくれるです。そうやって辛い経験が次に繋がるものになり、建設的に傷が癒えることがたくさんありました。大変なことも、仲間の存在のおかげで乗り越えられたと思います。 

インターンプログラムが終了した今もずっと繋がっていますよ。Facebookグループがあるので、今もたまに誰かが日報を上げたりして、互いに近況を発信しています。文科省で働いていたり学生だったり、それぞれ立場が全然違うので、それもおもしろい。この前も同期の母校がコミュニティ・スクールの先進事例だったので、視察に行った帰りに、実家に泊めてもらいました笑。 

起塚さんにとって実践型インターンシッププログラムのやりがいや、 参加した価値は何だったと思いますか?

「地域連携を核とした学校づくり」という、自分が本気で取り組みたいと思うテーマに出会えたことが一番大きなやりがいというか、収穫になりました。しかも、ただテーマが見つかっただけでなく、1年間現場に飛び込んだことで、テーマの中にある取り組むべき課題が具体的に見えた。魅力化の取り組みも、外から見ると先進的でキラキラしたものに映るけど、中に入ると教育委員会と学校のバランスや、県立高校を基礎自治体が関わる難しさなど、大変なことがたくさんあります。 

課題を知ったことで、よりリアリティを持ってこのテーマに関わっていきたいと思うようになりました。この課題を解決すれば、あの生徒がもっといきいきして、一緒にいるあの子もきっとこうなっていく。そうやって、顔が見える誰かの何かを変えられるかもしれないと思うと、この課題と向き合い、突き詰めていけば何かが起こるだろうという希望を感じています。 

あとは、大きな制度の枠組の中でよりよい仕組みをどう作るかを考えている行政職員、カタリバのように民間の立場で行政とディスカッションしながら枠組のあり方から検討していくディレクター、ダイレクトに生徒と関わる先生。教育を取り巻く多様な立場の人と関われたことで、自分が教育のどの部分に関わりたいのかがよく分かりました。 

今後は大学院に進学して、教育行政や学校経営について研究したいと思っています。今カタリバが取り組んでいる事業は、これから起こる教育改革の流れをつくる側にあると思うので、そこに学問的な裏付けを与える仕事をしたいです。 

こうやって自分のやりたいと思うことを、実体験を元に語れるようになりたいと思っていたので、カタリバの実践型インターンシッププログラムに参加して、モヤモヤが晴れる実践経験を積むことができました。 

多様な人がこの1年を過ごして社会に出ることで、
日本の教育環境が豊かになる。

実践型インターンシッププログラムを後輩に薦めるとしたら、どんなところがポイントになりますか?

 実践型インターンシッププログラムに参加した理由の一つに、「成長したい」という気持ちがありました。このプログラムは成長を後押ししてくれる環境とサポートがあると思っています。 

例えば職員の皆さんは、自分の成長を心から喜んでくれる存在でした。本当にやりたいことをやれているか?と、自分の「わがままさ」をいい意味で認めて、伸ばしてくれました。中でも指導してくれた生田さんは、課題解決マインドがすごい人。自分は評論家的になってしまう部分があって、具体的な解決策を検討しきれずに終わらせてしまうことがある。でもそこで思考を停止させずに、どうしたら変わるだ?と何度も問いかけられて、どんなに難しい状況でも次の1歩を考える習慣がつきました。 

一方で、担当していたコーディネーターというミッションは、何をするにも絶対的な答えがありません。上司であっても、誰も答えをもっていない。でも逆に答えがないからこそ、職員みんなで一緒に頭を使って、課題に向かっていける楽しさがありました。僕が学生だからという理由で意見が言えなかったり、提案させてもらえなかったり、そういうことはありません。企業の短期インターンシップのように、学生向けにつくられたプログラムで経験するようなものとは全く違った経験ができたと思います。 

総合的な学習の時間で取り組む新しいプログラムの教員研修を担当したことも。

 どんな人に挑戦してほしいと思いますか? 

 「教育」や「人が育つ」ということに関して、自分の中にある思いをクリアにしてくれるだけでなく、自分自身への理解も深まる1年になると思います。教育学部や教員志望の学生にはもちろん合っていると思いますが、そうでない人にとっても経験する価値があると思います。教育は誰にとっても関わりのあるテーマなので、多様な人がこの1年を経験して社会に出ることで、日本全体の教育環境が豊かになるじゃないか、と期待しています。将来教育を仕事にしようと思っていない人も、ぜひ挑戦してほしいです。 

自分の場合は、この1年が新しい人生の幕開けになりました。カタリバの実践型インターンに参加したことで、人生の「第二章」が始まったような感覚を持っています。第一章は、誰かに与えられたフィールドで頑張ってきた。第二章は、自分自身で選んだフィールドで勝負するようになった。初めて自分が選んだ場所で実践の場をもらった1年でした。 

きっとこれからこのプログラムに参加する人にとってもそんな1年になるはずです。 

起塚が経験した実践型インターンシップの概要

[活動期間]
2017年4月〜2018年3月

[活動場所]
島根県雲南市 高校魅力化プロジェクト

[担当ミッション]
1/雲南市主催の社会教育プログラム企画・運営
中高生対象のフリーペーパー製作プロジェクト

2/高校現場の探究学習支援
総合学習の授業設計と実施、2018年度総合学習のカリキュラム設計、「マイプロジェクト」に挑戦する生徒のサポート

3/実践型インターンシップ採用活動
オンライン説明会実施担当、イベント等の広報活動

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Writer

青柳 望美 編集部

1983年生まれ。群馬県前橋市出身。大学時代は英語ができないバックパッカー。人材系企業数社で営業・営業企画・Webマーケティング・Webデザインを担当。非営利セクターで働いてみたいと考え2014年4月にカタリバに転職。全国高校生マイプロジェクトの全国展開・雲南市プロジェクト・アダチベースなどの立上げを担当。現在は新規プロジェクトの企画や団体のブランディングなどを担当。カタリバmagazine編集長。

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