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子どもたちの笑顔のサクラサク!カタリバが寄り添う高校受験[メルマガ]

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writer 船本 彰子

カタリバの全国の拠点では今年度、合計187人の子どもたちが推薦合格・一般合格を果たし、喜びの春を迎えました。

カタリバは全国8拠点で、東日本大震災や熊本地震の被災、家庭環境や貧困が原因で、勉強の機会を持つことが難しい子どもたちへの、放課後支援を行っています。現在、6万人以上の子どもたちのための居場所作りや学習支援を実施し、「学ぶ意欲」を育てています。

子どもたちが高校合格をつかむまでの道のりは、もちろん平坦なものばかりではありませんでした。中学生は思春期真っ盛り。加えて生活環境や家族関係の不安定さなど、様々な事情を抱えながら高校受験に挑戦する子どもたち。彼らには、学習面だけでない、精神的な「伴走」が必要となります。今回は、そんな子どもたちに、カタリバがどう寄り添ったか。2人の中学3年生の様子を例にご紹介します。

カタリバの運営するある拠点では、中学3年生71人全員が、高校受験に挑戦しました。この拠点は家庭環境、貧困、孤独、発達の課題など、様々な課題を抱えた子どもたちが、安心して学び集える「安全基地」です。目指しているのは、子どもたちにとっての「もうひとつの家」。学校帰りに安心して利用できる居場所と勉強部屋、食事を用意することで、彼らの自立する力を育んでいます。

 

2019.3.28-2.jpg(様々な課題を抱えた子どもたちが、安心して学び集うために必要な「安全基地」)
 

中学3年生のある男子生徒は、元々は学力は中程度、学習には大きな問題はありませんでした。けれどもふたり暮しの母親との関係に問題を抱えており、思春期に入り家を空けることが多くなりました。必然と、母親と一緒に食事をする機会も少なくなり、コミュニケーションの時間も減少。家庭を「居場所」とは思っていない様子がうかがえました。

加えて中学は不登校になり、勉強や家庭の困りごとを相談する場所もなくなっていきました。中学3年生になったものの、この先の進路を考える余裕も、何か成し遂げる自信も持てない状態になっていたのです。

スタッフは、彼にはまず「自分がどこかにつながっていること」「気にかけてくれる人がいること」を実感してもらうことが必要だと感じました。そこで母親と連携し、定期的に拠点に来るように促していきました。彼が訪れるたびに必ず面談をし、行動でも言葉でも何度も「ここが君の居場所だよ」と伝え続けました。家庭では落ち着かず、まったく学習する気もなかった彼が、受験直前には週2回のペースで自習室に来るように。その結果、精神的にも安定を見せ学習に打ち込むことができ、見事高校に合格しました。

素直に喜びの笑顔を見せた彼は受験後も、勉強や話をしに来ています。不登校でなかなか学校になじめなかった彼にとって、自分を認めて受け容れてくれたカタリバの拠点は、すっかり「居場所」と感じられるようになりました。

 

2019.3.28-3.jpg(拠点の自習室。子どもたちはここで、学習習慣を身につけていきます)
 

また、数学が苦手なある女子生徒。学習の苦手意識に加え、「自分の意見を述べること」「自分で決めること」が不得意でもありました。それでも、拠点スタッフの励ましを受け、高レベルの高校の受験に挑むことに。良きライバルである友達と一緒に得意科目の教え合いなどをして、せっせと学習を重ねました。

けれども、レベルアップしていく勉強内容についていけなくなったことをきっかけに、「もうここに通うのも嫌」と言い出しました。スタッフは、元々自分に自信がない彼女がここに来なくなったら、せっかく目指してきた高校受験を断念しかねないと懸念しました。

そこで一緒に、数学の勉強法を見直すことにしました。ここでは子どもたちに担当のスタッフがつくため、一人ひとりの「つまずき」を見つけ、取り除いていくことができます。受験が近づく11月末でしたが、計算のやり方や、文章問題の説き方の癖を分析し、非効率的な部分は本人が納得するよう正していきました。

すると、できなかったことができるという手応えを感じた彼女はやる気を取り戻し、自信をつけていきました。最初は50点もとれなかったのに、7割以上得点できるまでになり、「数学は得意科目」と言えるまでになりました。

 

2019.3.28-4.jpg(受験勉強支援でも一人ひとりとの対話を通して、成功に導きます)

 

これで志望校合格は確実かと思われました。けれども入試本番で緊張してしまった彼女は、1回目の受験では、思った通りの結果を出せませんでした。すっかり落ち込む彼女に、スタッフは向き合い、この失敗を「いい経験」として次に活かすにはどうしたらいいか、とことん話し合いをしました。その結果、「自分の意見を述べること」「自分で決めること」が苦手だったはずの彼女が、

「これまで、1対1で本当に支えてもらってきた。自分ひとりではくじけそうだったけど、今も支えてもらっている、思い切ってジャンプすればいい」

と覚悟を決め、自ら別高校を選択。再度、受験にチャレンジしました。どんな状況でも向き合ってくれるスタッフとの対話を通して、「自分ならできる」という、自分を信じる気持ちと勇気を得ることができたのです。最終的には、見事に合格をつかみとりました。

「高校でも得意の英語をどんどん学んでいく。成績トップになる!

と張り切る彼女。スタッフと一緒に頑張った受験勉強を通して、学力もさることながら精神的に大きな成長を見せました。今後は、大学進学や将来の夢の実現を目標に、頑張っていくことでしょう。

カタリバの拠点では、通ってくる子どもに「ここが居場所なんだ」「ひとりじゃないんだ」「何かあっても支えてもらえる」という信頼感をもってもらうことを何よりも大切にしています。それがカタリバの「学習支援」。子どもたちの自己肯定感を高めた上で、受験勉強だけでなく将来的にも役に立つ、自らチャレンジしていく力を育んでいきます。

受験勉強や高校合格はひとつの過程や入り口に過ぎません。けれども「誰かが見ていてくれた」「応援してくれた」「やればできるようになった」、そして結果的に「合格を勝ち取った」という嬉しい体験は、子どもたちの将来の糧になります。カタリバはこれからも、居場所作りや学習支援で、子どもたちが未来へ進む力を身につけるサポートをしていきます。

あらゆる環境にある子どもたちに学びの場を届け続けられるよう、あなたの力を貸してください。毎月1,000円で継続的に寄付してくださる「サポーター」を募集しています。「1日33円で子どもたちにチャンスを」。

詳しくはこちらからご覧ください。

Writer

船本 彰子 広報・ファンドレイジング部

東京都出身。2006年よりフリーランスでライター・翻訳業。人物インタビューや企業マーケティング・コピーライティング、音楽・映画関連の翻訳業務に携わる。現在、カタリバ発行のメルマガや各種コンテンツライティングを担当。

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