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【調査レポート】給食がないと「お腹を空かせる親」がいる。約5人に2人の保護者が「子どものために自分の食事を減らした」と回答

vol.399Report

カタリバは、経済的困難を抱える子育て家庭の夏休みの実態を把握するため、カタリバのプログラム(アダチベース、room-K、キッカケプログラム)を利用する家庭の保護者252名を対象にアンケート調査を実施しました。

この調査結果を受け、給食がない夏休みに、経済的困難を抱える家庭の子どもに向けて、冷凍弁当を届ける宅食支援「カタリバおうち給食」プロジェクトを開始しました。
この記事では、その調査結果についてお伝えします。

「食費・光熱費などの出費増加」
「自分の食事を減らした」

今回の調査では、次のような経済的困難を抱える子育て家庭の夏休みの課題が明らかになりました。

(1)夏休みの不安・困っていること「昼食の準備」「食費・光熱費などの出費増加」
(2)給食がある期間とない期間を比べて、約4割が「1日の食事回数が減った」と回答
(3)夏休み中、子どもの食事を優先するために「自分の食事を減らした」と約5人に2人の保護者が回答

■夏休みの不安・困っていることは「昼食の準備」「食費・光熱費などの出費増加」

子どもの夏休み中に保護者が不安や負担を感じていることは「昼食の準備」「食費・光熱費などの出費増加」「生活リズムの乱れ」が多く挙げられました。(複数回答可)

▼不安・困っていることを聞いた自由記述より抜粋

・子供は、一人でいる時に、加工食品(カップ麺、ソーセージなど)を食べてばかりです。お菓子で空腹を満たしている時も多くあるため、体に悪いと思います。

・エアコンをつけないと、熱中症などが心配なので光熱費も普段よりかなりかかりますし、3食用意せねばならないので、食費が家計を圧迫して余裕がないことが多いです。思い出を作ってあげたい気持ちも充分あるのですが、なかなか特別なことができなくて歯痒いです。

毎日の食事の用意が一番大変です。食費もかかるし、自分も働いているのでお昼ご飯が特に困ります。

・まったく家事ができない子どもではありませんが、やはり自宅で1人留守番中にガスの使用はさせたくない、かつメニューも偏りがちです。食べ盛りな中学生に存分に食べてほしいのですが、食糧品の価格高騰もあり普段以上に家事の負担や工夫の必要性を感じてしまいます

■給食がある期間とない期間を比べて、約4割が1日の食事回数が「減った」と回答

「給食がない夏休み期間中、学校(給食)がある時期と比べて、1日の子どもの食事回数に変化はありましたか」という設問に対し、約4割が「減った」と回答しました。
(※本調査は2025年6月に実施されており、回答は過去の夏休み状況についてされたもの)

なかでも、「昼食」が減ったと回答したのは全体の約3割(27.3%)にあたります。また「昼食が減った」と回答した人にその理由をたずねると、過半数(51.7%)が「経済的な理由で食材やお弁当を十分に用意できなかった」と回答しました。

■夏休み中、子どもの食事を優先するために「自分の食事を減らした」と約5人に2人の保護者が回答

「夏休み中、子どもの食事を優先するために、ご自身の食事にどのような変化がありましたか。最もあてはまるものを教えてください」という設問に対し、約4割が、子どもの食事を優先するために「自分の食事を減らした」ことが分かりました。(内訳:「子どもに譲って、自分は食べないことがあった(17.5%)」「食事の量を減らした(12.7%)」「食事の回数を減らした(10.7%)」)

また、約5人に1人は「子どもに譲って、自分は食べないことがあった」と回答しています。

■調査概要

・調査期間:2025年6月10日〜2025年6月23日
・調査方法:質問紙調査(オンライン)
・調査対象:認定NPO法人カタリバの支援プログラム(アダチベース、room-K、キッカケプログラム)を利用する保護者
・有効回答数:252名

新たな支援「カタリバおうち給食」プロジェクトを開始

学校給食は栄養バランスの取れた食事であり、一日で子どもが確実に一食を採れるため、子どもの食事のインフラのひとつとも捉えられます。

しかし、夏休みになるとその一食が失われ、保護者はその分の食事を家庭で用意する必要があります。近年の物価高騰の影響も受けて、経済的困難を抱える家庭への負担は増加しています。

加えて、学校が休みに入ることで、先生や支援者との接点が絶たれ、夏休み中の困窮や孤立という課題が見えにくいという問題もあります。

こうした状況の多くは、一般的に家庭の責任とされやすく支援が行き届かないことも少なくありません。

カタリバでは、行政と連携し経済的困難を抱える家庭に向け、リアル・オンラインの両方を活用しながら、子どもの居場所支援や多様な学びの機会提供に取り組んできました。

日常的に子どもや家庭とつながっている私たちが、その接点を活かして家庭への支援を行う必要があると考えました。

この夏、新たに立ち上げる「カタリバおうち給食」は、家庭に冷凍弁当を届けることで、給食に代わる”確実な一食”を子どもに届ける支援です。

またこの支援は、株式会社ニチレイフーズ、味の素株式会社による冷凍弁当の割引提供と、セイノーホールディングス株式会社による配送の協力により、全国の利用家庭のもとに届けられます。

■「カタリバおうち給食」プロジェクト概要

・対象:カタリバの支援プログラム(アダチベース、room-K、キッカケプログラム)を利用し、経済的に困難を抱える家庭(事前登録制)
・提供内容:子ども1人あたりに冷凍弁当を定期配送
・提供期間:2025年7月21日〜8月31日(6週間)
・支援家庭:2025年夏は273世帯471人に提供予定
・提供エリア:全国
・協力:株式会社ニチレイフーズ、味の素株式会社、セイノーホールディングス株式会社

あなたのご支援が「カタリバおうち給食」を支えます

この取り組みは、すべてご寄付によって届けられています。

夏休みの間、給食がないことで食事の回数が減ってしまったり、栄養バランスが不安定になってしまう子どもたちがいます。「給食がない日も、栄養バランスのとれた食事をお腹いっぱい食べてほしい。」そんな思いから、家庭に継続的にお弁当を届ける「カタリバおうち給食」を立ち上げました。

支援を必要としている家庭に食事と安心を届けるために、この夏、500人の寄付者(カタリバサポーター)を募集しております。

寄付で応援する

■代表コメント(NPOカタリバ代表理事・今村久美)

「お弁当が届いて、”食べるものがある”と思えると、気持ちが楽になった」

ーーこれは、過去に私たちが実施した食事支援に寄せられた保護者の声です。
給食のない夏休みは、誰かにとってはワクワクする日々かもしれませんが、他の誰かにとっては「今日どうやって食べさせようか」と悩み続ける日々でもあります。

「カタリバおうち給食」が、子どもにも大人にも、安心して過ごせる日常の一助になることを願っています。

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編集部 編集部

KATARIBAMagazine編集部が担当した記事です。

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