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「2024年 新年のご挨拶」代表理事 今村久美

vol.315Voice

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category #代表のつぶやき

writer 今村 久美

新たな年となりました。
認定NPO法人カタリバ代表理事の今村久美です。

物価高ほか皆様も何かとご苦労をされている中かと思いますが、変わらず私たちを信じてくださり、子どもたちへのご支援をいただいておりますこと、心より御礼申し上げます。

先日、カタリバの居場所施設を5年以上前に利用し、今は卒業した元生徒と、そのお母さまとお話しする機会がありました。

元生徒は当時不登校。今は立派な社会人として毎日働いています。

お母さまは当時を振り返って、「あの頃はこのままどうなってしまうのかと先が見えず、毎日苦しかった」とおっしゃっていました。一人親家庭で朝から晩まで働きながら、部屋に引きこもる息子と向き合う日々。自分のせいで息子がこんなふうになってしまったと自分を責めながら、毎日二人で泣いていたそうです。

最近このお母様は、カタリバに来る悩みを抱えた保護者の、相談相手をしてくれています。

あの頃はなかった2人の笑顔に、安堵するとともに、「いま苦しくて絶望しそうでも、誰かが寄り添うことができれば、その先の未来は変えていける」ということを、改めて教えてもらいました。

こうした息の長い伴走支援ができるのは、私どもの活動を信じて託してくださる皆様のおかげさまです。

子どもたちの未来を共に作っていただけること本当に心強く感じております。

子どもたち一人ひとりが安心できる居場所を持ち、未来に目を輝かせることができるように精一杯、活動をしてまいりますので、引き続き本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて昨年はコロナが5類に移行し、カタリバの施設でもにぎわいが戻ってきました。

私も子どもたちの夕食調理ができる機会が増えました。

子どもたちが1つの食卓に集まってくる。
会話をしながらご飯を食べる。

こうした「ささやかな日常」は、世界情勢やコロナ禍の3年余りを思えば、決して当たり前ではないと痛感しています。

多くの人の支えのなかで、つくることができている場です。
現場スタッフたちの日々のがんばりもあります。

カタリバは「子どもの居場所づくり」に20年以上取り組んできましたが「料理が食べられれば、子どもが集まる」ものでもなければ、「子どもが集まれば、自然と会話が弾み、そこが居場所になる」ものでもないということを学びました。

大切なことは、子ども一人ひとりの話に耳を傾ける人がいることです。

子どもたちの様子に目を凝らし、今伝えるべき言葉として、励ますこともあれば、時には耳の痛いことも言う。スタッフと子どもたちの、毎日の一つひとつの関わりの積み重ねの先にようやく、「笑い声の響く、食卓」が生まれています。

こうした地道な活動を、2024年も続けていきたいと思います。

一方で、子どもたちにまつわる悲しい報道が絶えず、焦りを感じていることも正直なところです。

もっと多くの子どもたちに、安心できる居場所を届けたい。

そのために、昨年9月から新しい試みも始めています。SNSを活用した、子どもが直接相談できる窓口を開設しました。名前を言わなくても相談できます。開設から4か月間しか経っていませんが、すでに約1500件の相談がきています。

「私の気持ちに、ちゃんと応えようとしてくれる大人がいるんだ」

そう感じられることが、“明日ももうちょっとがんばろうかな”という気持ちをつくります。

新たな年も目の前の子どもたちの未来の可能性を信じて、全国の志を共にする仲間やスタッフ、そして応援くださる支援者の皆様とともに「一緒にいまを変えていける」そんな活動を子どもたちに届けていきたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
皆様のご健康とご多幸を祈願して。

2024年元旦
認定特定非営利活動法人カタリバ
代表理事 今村久美

Writer

今村 久美 代表理事

79年生まれ。岐阜県出身。慶應義塾大学卒。NPOカタリバ代表理事。ここではゆるくつぶやいていきます。

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