高校生が多様性と出会う「マイプロジェクト」の在り方を問い直す[代表のつぶやき]

こどもの意見表明権が(あくまで政策検討上は)重視される社会に進化しつつあるからこそ、その権利保障と両輪で、学校を人とぶつかることから学べる場所にしていく必要性を感じています。
学校も家庭も、ある意味安心でいられる無菌な世界に向かっていますが、安全にたくさんの葛藤を抱える経験こそ学びになる。学校は支えてくれる(はずの)大人が配置されている。だからこそたくさん失敗できる場所でなければもったいないと思います。
意見が違う人とぶつかると、その違いから学ぶ機会を得られます。理解しあえなくて悩んだり、伝え方で人を傷つけて反省したり、孤独を感じることで自分の価値観を確認したり・・。昨日の中教審テーマの一つは、「子どもの権利の保障(意見表明 及び社会参画の機会の確保など)」だったのですが、あらためて、権利を与えるなら、その能力をつける学びの環境も重要です。
いまのこの世の中は、大人も子どもも、時間のほぼすべてを同質性の高い世界で情報を交わすことができる。この日常は、思った以上に私たちの想像力の欠如を生んでいるように思います。(自分も。)
子どもたちが学校で学ぶこの期間は、家庭のリソースによらず、多様性と出会う最後の期間になるかもしれない。大人になればなるほど、同じような価値観の人としか出会わないから、多様な人と集団生活を経験する学校は、社会づくりにとってとても大切だと思います。
私たちカタリバが全国で同じ想いを持つ皆さんと2013年より続けてきた、高校生が自ら立てた問いをプロジェクトにし、実際にやってみたことから学ぶ「マイプロジェクト」は、たくさんの異なる他者とのハレーションと対話を経験する、そんな学びの機会だと思ってやってきました。様々な探究系コンテストがありますが、それぞれに役割が違うと思っていて、私たちのポジションは、イノベーター育成という立場ではなく、市民性を育てる、かかわる子どもと大人のすそ野の広さにこだわってつくってきました。
すごいことをやった子を表彰する場ではなく、誰でも小さくでもチャレンジしたら、そのチャレンジから必ず学べる。それを一人でも多く学校以外の場所で発表する機会を持てるように、その機会を地域ごとに開催するサミットで、多様な大人が生徒たちのリフレクションサポートをする、そしてそのかかわった大人たちのコミュニティが継続的に高校生を応援をしつづけるコミュニティとして育ち、卒業生もまた、そこに参加して後輩を励ます。そんな場です。現在、全国18の地域コミュニティで、行政主導の場所もあれば、大学・市民団体・企業、さまざまな主体の方々を中心にはぐくまれてきました。
多様な人たちとつくる場だからこそ、なにを評価するのか、しないのか。どうあると多くの学校がこれに賛同してくれ、多くの子どもたちに機会が届くのか。
その在り方を問い直すために、毎年の1月~3月のアワードシーズンから数か月後の今ごろの時期に、多様な方々と再検討をかける合宿的会議を開いています。先週土曜はそんな【マイプロジェクト在り方検討会議】でした。
社会も変わっていく中で、基準も伝え方も良さも、変わっていっていい。自分たちが全国の学校や高校生たちに発信する立場ならば、その内容を問い直しつづけることを謙虚に続けたい。そしてよりたくさんの高校生たちのチャレンジからの学びを応援し続けたいと、思っています。
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