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困難を抱える子どもたちが力を発揮できる場所を~放課後学校での子どもたちのチャレンジ~

vol.051Mail Magazine

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category #メルマガ

writer 編集部

こんにちは。NPOカタリバの編集部です。いつも温かく見守っていただき、ありがとうございます。

カタリバは、家庭環境などの”自身ではどうすることもできない”困難さを抱える子どもたちに向けて、居場所・学習・体験・食事を届ける取り組みをしています。

この活動の拠点である放課後学校は、いわば子どもたちの”安全基地”です。こうした拠点のひとつで、3月末に、中学や高校を卒業した生徒をお祝いするイベントを開催しました。

そのなかで、中学校を卒業した生徒2名・高校を卒業した生徒1名が「自分の経験とそこから得た学び、伝えたいメッセージを後輩に向けて発表する」という初めての試みに挑戦しました。今回は彼らの挑戦の様子と、彼らの一歩に寄り添うスタッフの思いをお伝えします。

 

190516_01.JPG (みんなで飾りつけをするのも楽しみのひとつです)

 

一人の生徒が部屋いっぱいの声で話してくれました。

「中2の冬頃、受験の不安やプレッシャー、当時の悩みなどを誰にも相談できませんでした。スタッフのAさんがそのことに気づいて声をかけてくれました。話を聞いて相談に乗ってくれました。わたしの夢を応援してくれて、ひとりじゃないと思わせてくれました。そのことがなかったら今ここで話してもいないし、笑顔でここにいられなかったと思います」

私たちにとっても、心動かされる瞬間でした。

このイベントでは、下記のことを話してもらうことにしました。

◎放課後学校での過ごしかた

◎高校受験や高校生活で経験したこと

◎後輩の中学生に伝えたいこと

カタリバの放課後学校で過ごした時間については、こんな声が聞かれました。

「スタッフの方や他の学校の生徒など、いろいろな人と知り合って話ができたのがよかったです。尊敬できるなと思う大人の方と話していると、『わたしもこんなふうになりたい』と将来のビジョンがふくらみました」

「自習するのにも、居心地がよかったです。わからないことをすぐに聞けたし、まわりのみんなも集中して勉強していたので集中しやすかったです

 

mailmagazin183_1.jpg(居心地よく勉強できる環境を提供しています)

 

「中学生に伝えたいこと」というテーマでメッセージの内容を考えはじめたとき、3人とも「受験」が話題にのぼりました。

不安を抱えていた受験を、この放課後学校で安心できる居場所をみつけたことで乗り越えられたこと。そこから得られた自信や達成感を、後輩たちに話したいと思ったようです。

高校受験や高校生活については、話を聞く側の中学生たちにとっても気になる話題です。

「勉強したくなる場所を見つけるのが大事だと気づきました。わたしにとってはこの放課後学校が落ち着いて集中できる快適な場所でした」

「ここのスタッフの方たちなど話を聞いてくれる人に、受験の不安や心のモヤモヤを打ちあけて気持ちを外に吐き出すと、前向きな気持ちが芽生えてきました」

「スタッフの方が、受験勉強の計画を一緒に考えて作ってくれました。どうやって勉強を進めればよいのか悩んでいたから、ホッとしました」

受験を終えて堂々とメッセージを発表する先輩たちの話に、中学生たちも興味深く耳を傾けていました。

 

190516_05.JPG(先輩たちの話に聞き入る中学生)

 

最後に、後輩の中学生たちへのメッセージを伝えました。

「好きなことには全力で取り組むといいです。自信につながるから。自分がやるべきことが見えてくるし、周りに流されなくなります」

「何事にも挑戦してみたら、自分のできることや好きなことがわかる。将来の目標も見えてくると思います」

「受験は大変そうなイメージがあるかもしれないけれど、今日話したことは、わたしが受験を通して得られた考えです。こんなにいろいろな気づきがあるなんて、わくわくしませんか? 受験だけでなく、『大変そうだな』と思うことにも、自分を成長させるいい機会と思ってチャレンジしてみてほしいなと思います」

 

190516_08.JPG(発表会をサポートした放課後学校のスタッフ)

 

3人の生徒たちの挑戦をサポートしたスタッフは、「生徒たちと一緒に、この場をつくる」ことを大切にしています。

ただ与えられるのではなく、場をつくる参加者の一人になることで、その場所が子どもたちにとってより楽しく魅力的なものになっていくという思いからです。

たとえばイベントを開催するときも、自分に何か役割があれば、挑戦できる機会が生まれます。何かに挑戦すれば周りの生徒やスタッフとの交流も生まれ、その経験から学びも得られ、自信につながっていきます。

今回の卒業を祝うイベントでも、生徒たちに「伝える側」を経験してほしいという思いから、卒業生によるメッセージ発表会を企画しました。

 

190516_04.JPG(スケジュール表も生徒たちが作りました)

 

「大変だったのは、『チャレンジが大事だ』ということを伝えることでした。学校生活の中で、あらかじめ用意された正解を見つけることに慣れている子どもたちに、『正解は誰にもわからないけれど、挑戦してみよう』と思ってもらうのは始めは難しかったです」

そこで、イベントでやりたいことを紙に書いて掲示板に貼ってもらうなど、「自分の意見を出す」ことに慣れてもらうことから始めました。

すると、「自分たちでやりたいと言ったのだから、できることは自分たちでやろう」とすすんで役割を引き受けてくれるようになりました。

発表会の準備に寄り添うなかで、「それを聞いた相手がどう変わるかを考えてほしい」と生徒たちに伝えました。

「発表のときに使うスライドや資料はただのツールで、主役はあなたなんだよ。まとまってなくてもいいから、台本を見ないで自分の言葉で話してみたらどう?」と話しました。

「失敗してもいい。チャレンジするのに意味がある」という思いが伝わったのでしょうか。当日、台本を見ずに自分の言葉で話をした生徒がいました。

 

mailmagazine183_3.png(放課後学校で生徒に寄り添うスタッフ)

 

日々、困難な環境にある生徒たちの成長を見守るスタッフの一人はこう話します。

「大きな困難を抱えているということは、それだけ心や体に負荷がかかっている状態です。でもその分、ふとしたきっかけで、ものすごい力を発揮することができると思うんです。一人ひとりにとっての”きっかけ”を見つけてあげたいなと思いながら、日々生徒たちに接しています」

どんな環境に生まれ育っても、自分の力を発揮できるように。カタリバはこれからも、あらゆる環境の子どもたちに寄り添い続けます。

あらゆる環境にある子どもたちに学びの場を届け続けられるよう、あなたの力を貸してください。毎月1,000円で継続的に寄付してくださる「サポーター」を募集しています。「1日33円で子どもたちにチャンスを」。

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編集部 編集部

KATARIBAMagazine編集部が担当した記事です。

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