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西日本豪雨から1年。岡山の高校生の感謝と決意/カタリバ代表今村、中央教育審議会委員に任命[メルマガ]

vol.064Mail Magazine

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category #メルマガ

writer 上村 彰子

こんにちは。NPOカタリバの船本彰子です。いつも温かく見守っていただき、ありがとうございます。カタリバは、貧困や被災などの困難を抱える子どもたちをはじめ、あらゆる環境にある10代に教育支援を届ける活動を行っています。今回は皆様に、カタリバの活動に関連する2つのニュースをお伝えしたいと思います。

西日本豪雨から1年。
ある高校生の感謝と決意

昨年6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に全国各地に大きな被害をもたらした西日本豪雨。カタリバは発災直後から、現地の学校や行政、団体と連携しながら、災害によって突然日常を失われた岡山県の高校生に支援を行ってきました。

中でも、とくに被害が大きかった倉敷市真備町在住の高校生が多く通う県立矢掛高校と連携した支援を実施。最初に行なったのは、被災した82名の生徒全員への個別ヒアリングでした。ヒアリング内容を元に様々な支援活動を行いました。

■主な支援活動
・被災生徒82名への個別訪問・相談による心のケア
・24名への自転車や学用品、部活動用品などの物品支援
・のべ7,666名が、避難場所からのスクールバス(2018年8月から2019年3月までの約7ヶ月間)を利用
・16名に、みなし仮設住宅など避難先から学校までの定期券代のサポート
・のべ50名が放課後の居場所スペースを利用

「西日本豪雨子どもサポート募金」や、矢掛町へのふるさと納税を通じたご寄付など、たくさんの皆様のご支援をいただいたお陰で、子どもたちの学びの環境を守ることができました。改めまして、ご支援・応援いただき、誠にありがとうございました。

今回は、皆様のご支援を受けたひとりの高校生の、現在の姿をお伝えします。紹介するのは、現在高校3年生のおおき君です。

おおき君の自宅は、被害が甚大だった岡山県倉敷市真備町。倉敷市で全半壊した住宅約5,500 棟の大半を同地区が占めています。おおき君の自宅も2階の天井まで浸水し、家財道具は水没。そのため、昨年8月から約7ヶ月間、自治体が民間住宅を借り上げた「みなし仮設住宅」での生活を余儀なくされました。

      昨年7月、発災直後の岡山県倉敷市真備町

そこは、おおき君の通う矢掛高校から遠く、自転車で往復4時間の距離。カタリバは、矢掛町・矢掛高校・矢掛高校同窓会と協働し、今年の3月まで、遠隔地に避難した高校生のためのスクールバス運行を行いました。このバスなくしては、毎日通学できなかったと、おおき君は言います。

部活のバスケ部も、中断なく続けることができました。それでも帰宅時間は以前より遅く夜9時になることもあり、疲労困憊の毎日。慣れない生活のストレスで、湿疹にも悩まされました。そんな生活の中、ある決意をしました。

「家族で、もう住めなくなった自宅の解体作業を行った時、父が自分の名前の刻まれた柱を見つけて泣いていました。自分の力で建てた思い入れのある家を、自ら壊さなくてはいけないつらさを目の当たりにしました。それでも前向きに生活を建て直そうと努力する両親の姿を見て、被災以前は気づくことのなかった、感謝の気持ちがわいてきました。卒業後は進学希望でしたが、家庭の経済的負担を少しでも減らそうと思い、就職することに決めました」

と、おおき君。両親も「自分がやりたい仕事をやれ」と応援してくれています。被災により結束力が強くなり、家族の大切さを実感した彼の夢は、将来家族を持って、子どもと仲良く遊ぶ父親になることだそう。

彼の被災生活の癒しとなったのは、カタリバがサポートしてきた、放課後の子どもたちのための「居場所」(運営:一般社団法人やかげ小中高こども連合)でした。おおき君はこう振り返ります。

「話しを聞いてくれる相手がいるというのは、不安やストレスの解消になりました。そこで学年を越えて、小さい子どもたちに勉強を教えたり何でもない会話をしたりして過ごすことも『癒し』になりました」

      子どもたちが放課後、自由に過ごせる居場所

発災から1年、子どもたちの間ではだんだんと「被災」に関して話す雰囲気もなくなってきています。何でもない顔をしていても、心に何か抱えている子どもたちもいるでしょう。倉敷市教育委員会が今年5月27日に公表した、同市真備町地区の小中高生を対象に継続的に行っている「心と体のアンケート」結果でも、イライラや不安を訴える子どもが、依然として3割を超えていました。

時間が経過し、徐々に日常が戻る中、子どもたちの不安が解消しきれてはいないこともうかがえます。被災地では緊急支援フェーズは過ぎ、日々復興は進んではいますが、カタリバは引き続き、地域団体と協働しながら、子どもたちが自由に過ごせる「居場所づくり」のサポートを行っていきます。「話したくなったらいつでもスタッフに話せる」環境で、子どもたちの継続的な心のケアを行っていきたいと考えています。

カタリバ代表今村久美、
文部科学省中央教育審議会女性最年少委員に

今年2月、代表の今村久美は、文部科学省が設置する審議会である中央教育審議会の第10期委員に任命されました。中央教育審議会は、文部科学大臣の諮問に応じて、日本の教育の重要事項を調査審議し、文部科学大臣に意見を述べることなどを目的としています。

過去に、本審議会総会の下に設置された分科会の部会等に参加したことはありましたが、総会の委員として参加することは初めてであるのと同時に、女性の最年少委員として任命いただきました。今回の本会議委員任命に関して、今村はこう語ります。

      カタリバ代表理事 今村 久美

「今回、本会議委員をお引き受けするに当たり多方面にお話をうかがい、自分は学校教育の現場に生きる子どもたちに近い立場にいることに気づきました。約20年、日本の10代に伴走し寄り添ってきた経験から、学校での学びが子どもたちに、どのような喜びや悩みをもたらすかを、リアリティをもって伝えることができます。それが私の役目ではないかと感じています」

      カタリバの若手スタッフと語る今村

「また現場のリアリティを伝えるためには、あえて空気を読まず、慣例にとらわれずに発言していくことも大切なのではないか、それも私に求められていることではないか、と感じております。おごらず、無駄にへりくだり過ぎずに、課せられたお役目を全うしていきたいと考えています」

「ただ幸せに生きていくこと」さえ難しくなることが予測される未来社会。この先20年後の子どもたちが、当たり前に享受していける学習環境をどのような形で実現していくべきかを、今村は提案していく所存です。

引き続き、あらゆる環境にある子どもたちに学びの場を届け続けられるよう、力を貸してください。毎月1,000円で継続的に寄付してくださる「サポーター」を募集しています。詳しくはこちらから。

Writer

上村 彰子 ライター

東京都出身。2006年よりフリーランスでライター・翻訳業。人物インタビューや企業マーケティング・コピーライティング、音楽・映画関連の翻訳業務に携わる。現在、カタリバ発行のメルマガや各種コンテンツライティングを担当。

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