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KATARIBA マガジン

放課後学校「アダチベース」が3周年を迎えました/「美容師一人ひとりの行動を大きな力に繋げたい」

vol.078Mail Magazine

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category #メルマガ

writer 編集部

こんにちは。NPOカタリバの編集部です。いつも温かく見守っていただき、ありがとうございます。

想いが生み出した「安心できる居場所」

カタリバは、家庭環境などの”自身ではどうすることもできない”課題を抱える子どもたちに向けて、居場所・学習・体験・食事を届ける取り組みをしています。

東京都内の拠点の一つであり、カタリバが足立区より委託をうけ運営しているアダチベースでは、現在中高生あわせて120名ほどの生徒が通っています。
オープンから現在まで、約260名の生徒がこの場所で過ごしてきました。

英語や数学の授業に参加したり、自習をしたり。
ときには、家族や友だちに話しづらいことを相談してみたり。
みんなで「いただきます」を言って栄養バランスのとれた食事をしたり。

先日、アダチベースが3周年を迎えたことを祝って、イベントを開催しました。今日はこの日のレポートをお伝えします。

勉強、食事、おしゃべり。毎日の積み重ねで、居場所が作られます

スタッフは、このイベントの目的の一つとして、生徒たちにどんな場所なのか改めて伝える時間にしたいと思いました。

学習できる場所、
食事ができる場所、
相談できる場所、
チャレンジができる場所。
そして、たくさんの人が関わって、応援してくれる場所。

生徒を見守ってくださる地域の自治会の方たち、
おいしい食事を作ってくださるボランティアの方たち、
応援してくださる全国の皆様、スタッフ、ここに通ってくる生徒たち自身。

3周年を迎えられたのは、一人一人の思いと行動があったからです。
スタッフは、生徒たちには何より、「あなたも、この場所を作ってくれている一員なんだよ」と伝えたいと思いました。

生徒たちが手紙を書いてくれました

もうひとつの目的は、生徒たちにとって「安心できる居場所」だということを伝えることです。昨年から通っている生徒たちは、こんな手紙を書いてくれました。

「1年前から通い始めて、楽しいです。自分の居場所になってきました。これからも頑張ります」

「自分の可能性を広げてくれる大切な居場所です」

「うれしいとき、涙が止まらないとき、どんな時も寄り添ってくれてありがとう」

「自分がやりたいこと、やってみたいことを応援してくれる場所です」

スタッフは、まだ通い始めたばかりの中学生たちにとっても、同じように安心できる居場所と感じてもらいたいと願っています。

家庭や学校でトラブルや悩みごとが生まれたときには、心の拠り所が必要です。何か問題があったときに、相談しようと思ってくれる場所でありたいのです。

アダチベースにちなんだクイズ大会で盛り上がりました

イベントは、スタッフや生徒同士が打ち解けられるよう、お楽しみのレクリエーションから始まりました。

中3の男子生徒が内容を考えてくれた、グループ対抗戦のクイズ大会。

「Q. アダチベースでの、一番最初の食事は何だったでしょう?」
「A. まだ準備が整わず、お味噌汁とごはんだけでした」

「Q. スタッフKさんの、中学時代の恥ずかしいエピソードはどれでしょう?」
「A. こっそり好きな子とハチマキを交換したこと」

などなど、みんなで盛り上がって楽しみました。

ボランティアの方が作ってくださるおいしい食事

食事は、地域のボランティアの方たちが、立食パーティー用のおいしい料理を用意してくださいました。活動を応援してくださっている宅配ピザチェーン店の計らいで、生徒たちもピザ作り体験をしてみんなに振る舞いました。

中3の女子生徒たちは、午前中から大きなバケツサイズのプリンを作って持ってきてくれました。
それぞれが準備した食事を、みんなでわいわい言いながら、おいしくいただきました。

自分たちで作ったピザは、一段とおいしく感じたようです

いつも生徒たちのことを気にかけて、クリスマスケーキや柏餅を差し入れてくださる自治会長さん、
地域の学習センターで、無料でギターや歌を教えてくださるシンガーソングライターの方など、
この場所に関わる大人たちも参加し、生徒たちへのメッセージもいただきました。

いつも食事を作ってくださる地域のボランティアの方たちからは、

「毎週ご飯を作りに来て、みんなの元気な顔を見て、それが自分の元気になっているよ」

と、温かいお言葉がありました。

食事のあとは、生徒たちが得意なことを発表する時間です。

1人の生徒が手品を、
とある生徒2人は、ギターとピアノの演奏を披露してくれました。

みんなの前で披露するのはドキドキしたけれど、頑張ってくれました

最後に、みんなでオープンからこれまでの歴史をまとめた映像を観ました。

「始めの頃は、部屋に何もないね」

「食事も今とは違うね!」

「あー、これ知ってる!なつかしいね」

みんなの力でこの場所を作ってきたことを、楽しく振り返りました。

このイベントから2日後の日曜日、以前は平日の授業の時間にしか顔を出さなかった男の子が朝から顔を出してくれました。
「特に用がないけど、遊びにきてみた」

今回のイベントを一つのきっかけに、生徒たちが「何かやってみたい」と思ったとき、相談してくれたとき、タイミングを逃さずに、いつでも彼らに伴走する場所であれたらと考えています。
特に、夏休み直後は、生活習慣が乱れたり、宿題が終わらずに学校に行きたくなくなってしまう時期でもあります。
夏休みが終わるまで残り1週間、より一層生徒たちの様子に目を配り、新学期を新たな気持ちで迎えられるよう、日々サポートしています。

美容師一人ひとりの行動を大きな力に繋げたい(ONE TENTH project様)

カタリバは、全国各地の個人・法人の皆様からの応援で成り立っています。その中のひとつ、2012年よりご支援いただいているONE TENTH Project(以下、ワンテンスプロジェクト)様をご紹介いたします。

ワンテンスプロジェクトは、静岡市を中心に社会貢献・美容業界の活性化や地域との絆づくりなどの活動している美容室の経営者の団体です。美容活動を通じて、社会貢献・美容業界の活性化や地域との絆づくりなどを行い、美容師もお客様も笑顔でわくわくする、さらに前向きな美容業界に変えていくことを目的に、活動しています。ワンテンスとは「10分の1」。例えば自分の時間が10あれば、そのうちの1を誰かのために使うことを意味しているそう。

カタリバへは「チャイルドチャリティーカット」の売り上げや、店頭やイベント時の募金活動で集めたお金を継続的に寄付くださっています。
今回は、広報担当の川越美和子様にお話を伺いました。

カタリバへの支援を始めたきっかけを教えてください。

代表の飯田は元々、震災前から老人ホームや母子支援センターなどへの出張カットやフィリピン・モンゴルの子ども達への支援を行なっており、社会貢献に関心がありました。飯田が震災直後に東北を訪れたとき、特に子ども達への支援の重要性を感じ、「美容師たちでも何かできないか?」と考え、「チャイルドチャリティーカット」を始めることにしました。

「チャイルドチャリティカット」にて

子ども達へ直接的な支援をしている団体を探しているときに、Webでカタリバを見つけました。大きな団体では何に使われているのかわからないこともありますが、カタリバは行き先が明確で、目に見える支援のため寄付を決めました。

カタリバの支援をしていてよかったと思うことはありますか?

「女川町で美容院を開き『町の人を、鮮やかな色と笑顔で染め上げたい』」と語り、現在は美容の専門学校に通っているコラボ・スクール卒業生がいることを聞きました。こういった、具体的な生徒のその先の話を聞くと、カタリバに継続して寄付して良かったと思います。

今後、どんな形での支援を考えていらっしゃいますか?

日本は災害大国なので、「日本人としてできること、今自分たちができること」を考えて具体的に動いていくのが大事だと思います。ありがたいことにワンテンスプロジェクトは県外からも加盟店になりたいと参画の手があがってきているので、今後も活動の輪を広げていきたいです。

「チャイルドチャリティーカット」は子どものカットを対象にしています。「子どもを介して被災地の子どもたちへ繋いでいく」ことに意義があると思いますし、賛同しているメンバーも多いです。カットされている子どもたちにもこれが復興支援の一環なのだと知ってほしいです。

私自身、10代の子と接する機会があり、子どもへの「動機付け」が非常に重要だと日々感じています。教育をどこまで大人があきらめないで関わっていけるか。私たち大人は本気で取り組むべきと考えています。カタリバをこれからも支援し続けていきたいです。

 

ONE TENTH project様のように、想いを持ってご支援いただいている皆様からの応援は、子どもたち、スタッフにとっても大変励みになります。
カタリバはこれからも、たくさんの皆様からの応援を力に、あらゆる環境にある子どもたち一人ひとりが、「未来はつくれる」と信じられる社会を目指し、活動していきます。

引き続き、子どもたちに学びの場を届け続けられるよう、力を貸してください。
毎月1,000円で継続的に寄付してくださる「サポーター」を募集しています。詳しくはこちらから。

Writer

編集部 編集部

KATARIBAMagazine編集部が担当した記事です。

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