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「この変革期の社会の中で、カタリバは何をすべきか?」142人が参加したオンライン全社会議2021

vol.203Report

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category #活動レポート

writer 編集部

カタリバでは年に一度、普段は離れた拠点で働くメンバーが一堂に集う全社会議を行っています。コロナ禍以前は年に一度一つの場所に集い、対話することを大切にしてきましたが、昨年に引き続き今年もオンラインでの開催となりました。

今年のテーマは「この変革期の社会の中で、カタリバは何をすべきか」。

本レポートでは、20周年を迎えるカタリバの現在地の確認や、様々な専門分野を持つゲストを交えた「インスパイアセッション」、自分たちの仕事をどう進化させていくかを考えるワークタイムなど、コンテンツが目白押しだった5月16・17日の全社会議の様子をレポートします。

創業20年を迎えたカタリバ。次なる10年は、教育システムを変えていく存在へ

最初に代表の今村より、全社会議の狙いや、今年で20周年を迎えるカタリバの現在地について話がありました。

今村:カタリバは「学校に社会を運ぶ」という言葉を掲げ、2001年から活動を始めた団体です。社会側にいる大学生や社会人の方々に高校で話してもらい、高校生と等身大で対話するという活動を最初の10年間行ってきました。

最初の10年は主に出張授業という形で、子どもたちに対して“非日常”を届ける活動をしてきた私たちでしたが、その次の10年間は、学校・行政・地域と協働しながら、子どもたちの“日常”を作っていく取り組みを進めていった10年でした。2011年の東日本大震災によって日常が失われてしまった東北で学校や行政と協働を始めたことが、「子どもたちの日常を作る」という契機にもなりました。また、この10年は経営管理などのコーポレート機能を担うチームを作るなど、カタリバという組織の基盤を整えていった時期でもありました。

そして今。次の10年を見据えてカタリバはどこを目指していくのか?カタリバが直営する全国の拠点それぞれで子どもたちと日々関わっていますが、カタリバが出会うことのできている子どもたちがいる一方で、同じ状況に置かれていながらカタリバが接点を持つことができていない子どもたちが、全国に何万人といるのも事実です。

その子どもたちに私たちカタリバが直接関わることが出来なくても、ナナメの関係が当たり前のように手に入れられて、すべての10代がどんな環境に生まれ育っても、未来をつくりだす意欲と創造性を育むことができる社会。そんな状況が当たり前の未来をカタリバは目指しています。

そのためにも、これからのカタリバは、引き続き現場で子どもたちと関わることを続けながらも、直営現場を「研究開発拠点」と捉え直し、現場で起きていることをもっと発信していきながら、政策に反映されたり、同じように現場を作っていく意志ある方のお手伝いをしたりと教育システム自体を変えていくことに寄与していければと考えています。

目の前の子どもたちの関わりを大切にしながら、目の前にいない子どもたちへもアプローチできる形を創っていく。それぞれのメンバーが、今行っている子どもたちとの関わりが、どんな発展をしていく余地があるかを提言し、活動の輪郭を広げていく。そんな組織でありたいという思いから、今年の全社会議を開きました。

今回の全社会議には、民間企業や行政、NPOや学校現場と様々なセクターで教育に想いを持ち関わっていらっしゃる方々にも20名ほどご参加いただいています。カタリバが取り組んでいることと、みなさんがそれぞれの持ち場で取り組まれていることは地続きだと思いますので、お互いにいい関係を築きながら、大きな動きを作っていけたらということで、お声がけさせていただきました。

大きな転換期を迎えている、いまの教育現場と社会

オープニング後に始まった「インスパイアセッション」。人材・組織開発、歴史、スポーツ、教育政策など、様々な分野の専門家をゲストとしてお迎えし、二部にわたって社会の現在地と未来についての議論が行われました。

第一部のテーマは「変革期の今、この社会をどう見ているか。識者たちに聞く」。登壇いただいたのは、文部科学省の合田哲雄さん、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授の中島岳志さん、立教大学経営学部教授でカタリバ理事の中原淳さん。そして、株式会社Deportare Partners代表の為末大さんに、このセッションの進行役を務めていただきました。

いま教育現場が大きく転換期を迎えていること、コロナウイルスが子どもたちの学びにどのような影響を与えているか、利他と利己の関係性…。私たちが現場で肌感として感じていながらも言語化できていない事柄について、ゲストそれぞれの専門的な観点から、一段二段と抽象化した視点が投げかけられ、参加したスタッフからは「現場で働きながら整理できずにいた感覚的なものが、綺麗に言語化されて脳内がすっきりした」というような声も上がりました。

インスパイアセッション第二部のテーマは「いま私達は、なにをすべきか」。登壇いただいたのは、株式会社リクシス創業者でカタリバ理事の酒井穣さん、NPO法人ETIC. (エティック)理事でカタリバ理事の山内幸治さん。

議論の中心となったのは、研究開発拠点として期待されるカタリバの現場が、今後どのようなマインドで現場づくりに取り組み、子どもたちと向き合っていくべきか?という点。まだ出会うことのできていない子どもたちに支援を届けるためには、今現場で向き合っている子どもたちに対する試行錯誤に満足せず、他の人の手を介して他の子どもたちにも届けられるように、取り組みの本質を見極める必要があること、そしてそれを発信していく必要もあることなどが言及され、私たちの仕事の取り組み方を見つめなおす時間となりました。

ゲストから様々なインプットを受けたインスパイアセッション。セッション終了後は、感じたことや考えたことをワークシートに記入する時間や、部署横断のグループ編成でのブレイクアウトルームで、スタッフや社外から参加してくださった方たちと感じたことや気づきを共有する時間が設けられ、さらに個々の学びを深めていきました。

「今ここ」を大切にしながら、全ての10代に意欲と創造性を届けていくために

最終日には、所属チームに戻り「自分やチームの仕事の目標を語り、これからの伸びしろを考える」をテーマに、1日目のインプットを日々の活動に落とし込んでいきました。全社会議の終わりには、目の前の仕事をどう自分の意思を持って進化させていくかについて、具体的に取り組みたいことを発表しました。

カタリバの拠点は全国に広がっており、リモートワークで働くメンバーも多くいます。そのため、普段は横のつながりを感じにくい状況もありますが、全社会議では全ての拠点の職員が一同に集まり、仲間の活動をより深く知る機会にもなりました。

参加者の感想アンケートより

・インスパイアセッションの内容にしびれました。現場で働きながら整理できずにいた感覚的なものが、綺麗に言語化されて脳内がすっきりしました。内部から見えるカタリバだけでなく、外部の人から見えるカタリバ、学術者から見えるカタリバ、様々な角度から自分たちの立場を確認でき、今後どのような動きが必要となるか明確になりました。

・イノベーションの種はいつも現場にあり、しっかり現場を見ることと、意味づけをしていくことが未来につながると学びました。「今ここ」を大切に、日々問いを立てながら一つひとつの業務にあたりたいです。

・普段、日々の業務を行うことで精一杯になっており、チームメンバーとそれぞれの違和感や感じていることを話す時間が取れていないことに気づきました。そのような時間をもっとつくっていきたいです。

・グループワークでは社外から参加された方から、「事業レベルでもビジョンの再定義が必要なのかもしれない」とコメントをもらい、ビジョンを見つめなおしていく必要性も感じました。

普段は現場の仕事に精一杯となっているスタッフも、さまざまなインプットを得た2日間。また、外部の方が参加くださったことにより、カタリバスタッフも自分たちの取り組みを客観的に見ることができ、様々な刺激を受けたようでした。

すべての10代がどんな環境に生まれ育っても、未来をつくりだす意欲と創造性を育むことができる社会を実現していくために、教育をよりよくしていきたいという志を持った方達をより広く巻き込んでいきながら、新たな未来に向かって進んでいきたいと思います。

Writer

編集部 編集部

KATARIBAMagazine編集部が担当した記事です。

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