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140人の「問い」が、未来を動かす。カタリバ設立25年、節目の全社会議で考えたこと

vol.444Report

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category #活動レポート

writer 赤池 悠

カタリバでは年に一度、全国各地の拠点で子どもや若者と向き合い続けているメンバーが一堂に会する「全社会議」を開催しています。14回目となった今回は、5月中旬に2泊3日の日程で実施し、約140人のスタッフが参加。事前にNPOの歴史や対話を通じて思考を深める意義についての勉強会を行った上で、会議に臨みました。

今年はカタリバが活動を始めてから25年という節目の年でもあります。今回は「その『モヤモヤ』を、未来をつくる『問い』へ」というテーマで、メンバー同士で対話し、四半世紀で大きく変化した社会に、カタリバのこれまでの取り組みとスタッフ自身の想いを重ねながら、次の5年に向けた「挑戦」を模索する契機となりました。

本記事では、日々の現場で一人ひとりが感じる「モヤモヤ」を、社会を変えるための「問い」へと育てることを試みた3日間の様子をレポートします。

衝動や違和感を日常のアクションに―
社会の仕組みに働きかけていける組織へ

カタリバには現在約20の事業があり、さまざまな「現場」で日々子どもや若者と向き合うメンバーたちがいます。経営管理・広報といったバックオフィスでカタリバを支えている部署もあり、全社会議はそうした立場の違いを超えて、組織全体の在り方や共通して大事にすべき想いについて、対話しながら考えを深める機会となっています。

今回の全社会議は、こうした意味合いに加えて、メンバーが日々の活動で抱いている衝動や違和感を、10代を取り巻く環境をよりよくするための「問い」へと育てていくことを目指しました。オープニングセッションで全社会議実行委員の横山からは、個人の衝動や違和感を「問い」へと昇華して日常のアクションにつなげていく、というコンセプト説明がなされました。

実行委員の横山

代表の今村からは、これからのカタリバについての説明がありました。

25年目の今年を、これまで積み重ねてきた実践から見えたことを基盤に、社会の仕組みに働きかけられる組織へと進化する節目にしていくという組織としての決意と、同時にそこに向けての新たな経営方針についても示されました。

デジタル化の急激な進展、激甚化する災害の頻発、感染症の流行と混乱・・・・・・。教育現場も含めた社会の構造や環境は、この25年で目まぐるしく変化してきました。そうした中で、次の5年に向けた一歩目として何ができるのでしょうか。横山は今回の全社会議の位置づけについて、こう語ります。

「一人ひとりが大切だと思える『問い』を見つけ、自分の現場に戻ってアクションを重ねていくため、そしてカタリバのこれからの方針に向けた最初の一歩を踏み出せるような場にしていきたい」

内省と対話を繰り返し、「モヤモヤ」を「問い」に育てた3日間

まず全社会議における対話の場の約束事として、「『ことば未満』こそ、大切にしてみる」「ちがいやズレを、歓迎する」「みんなでつくる全社会議!」という三つのコンセプトが共有されました。全社会議では、事業部も勤続年数も異なるメンバーで構成された5人1組の「ホームグループ」を中心に対話を進めます。三つの約束は、少しでも全員が話しやすい雰囲気をつくるための仕掛けです。


1日目は「過去を振り返り、自分を知る」時間からスタート。カタリバの25年の歩みを踏まえながら、自分自身がこれまで何を経験して、なぜ今ここにいるのかを「人生グラフ」を使ってホームグループ内で共有しました。

内省を深めるためのツールとして、1人1冊の「ジャーナリング」ノートも配布されました。3日間を通じて思考をとにかく書き留め続けることで、頭の中にある「ことば未満」の感覚を言語化していく試みです。

2日目は、「モヤモヤを問いに育てる」メインワークの日。ホームグループを起点に、それぞれが日々の現場で抱いている違和感を語り合いました。

それぞれの仕事や生活の中で心に残った引っかかりを、まずはそのまま言葉にしてみました。「うまく言えないけど・・・・・・」。そんな前置きをしながら、一人ひとりが丁寧に自分の感覚と向き合い、グループで共有する時間から始まりました。

初めは「どうすれば人に伝わるの?」「社会に自己責任論が強いのはどうして?」「つなぐとはどういうこと?」という抽象的な疑問だった「モヤモヤ」。メンバー同士で、丸1日かけて「いつ、どんな場面でそれが生まれたのか」を深掘りする中で、問題意識の根源にあるものが少しずつ見えてきました。

情報発信の在り方、子どもを取り巻く環境、関わる大人の姿勢―。初めは漠然としていたそれぞれの違和感の対象がどこにあるのか、対話によって洗練され、確かな「問い」へと育っていくプロセスを体感しました。

最終日は、現場に戻ってからの具体的な行動へとつなげるための時間に。集まった「問い」を分類して、似たテーマのメンバー同士でグループを組み、全社会議後に取り組むアクションについて考える時間も設けました。全社会議で得た気づきや学びを一過性のもので終わらせないため、まずは8月までを目途にアクションしてみることにしました。


最後は、一人ひとりがこれからに向けて大切にするスタンスや想いを書き込んだ「約束カード」についてお互いに耳を傾け、3日間にわたった会議が終了しました。


なお後日、全社会議に参加できなかったメンバーへ、フォローアッププログラムを中野事務所で実施。こちらでも25年の歩みを振り返るとともに、「モヤモヤ」を「問い」にしていく時間となりました。

次の5年へ―
前向きに挑戦し続け、社会に還元していくために

3日間でそれぞれが考えた「問い」は、各現場に近いものもあれば、組織や社会全体を見通したものもあり、個々人が大事にしている価値観を反映した内容へと昇華されていきました。

全社会議で生まれた「問い」の一部を紹介します。

「『学びを選べる』新しい高校教育を実現するために、行政や現場の挑戦する勇気にどう伴走するか」
「異なる立場・目的をもつ他者と、同じベクトルで取り組む社会貢献のあり方をみつけるにはなにが必要か」
「多様な大人がユースセンターに参画、応援者になるためのデザインには、何が必要か」

3日間の締めくくりとなるクロージングトークで、代表・今村はこのようなメッセージを伝えました。

「みんな現場でいろんなドラマと立ち合っているから、たくさんの(変化の)兆しを目にしている。そこにヒントがある。前向きな組織であり続けて、そのヒントから生まれた挑戦を社会に還元していこう」

設立から25年という節目に、スタッフ一人ひとりが自分の「問い」と向き合い、言葉にした3日間。会議終了後の1か月間で、すでにチームや個人でアクションを始めているメンバーもいます。現場や日々の営みの中での葛藤や違和感から「問い」を育て、アクションとの間を何度も往復しながら、私たちは次の5年へと歩みを進めていきます。

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Writer

赤池 悠 カタリバマガジン編集担当

1991年生まれ。大学、大学院で教育学を専攻して、児童養護施設と学校教育について研究。院修了後、地方新聞社記者として、警察や地域取材を主に担当。教育と福祉という関心軸に加え、歴史・文化や格差、多様性など幅広いテーマで記事を執筆。より現場に近い事業に参画しようと、2026年2月にカタリバへ転職し、広報部でオウンドメディアの運営を担当している。

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