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【千葉県台風15号】甚大な被害を受けた千葉県館山市、鋸南町でヒアリング調査を行いました。

vol.087Voice

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category #代表のつぶやき

writer 今村 久美

昨日、台風15号の影響で甚大な被害を受けた千葉県南部の館山市と鋸南町にヒアリング調査に行ってきました。

カタリバの仕事のひとつである、今後増えるだろう自然災害後の被災地における教育支援の取り組みの一環です。児童養護施設、教育委員会、母親の方々、子供達が居場所に使う公共施設、学校などを訪問しヒアリングを行いました。

これまでカタリバが関わってきた震災や豪雨とは違い、家族をこの被災で失うような事例はほとんどないこと。また親御さんが職場を失うような事例もまだあまり明らかになっていないことなどから、「学校再開までの居場所」が復旧復興のためのニーズだったように見受けられました。

館山三中をのぞく他は学校を段階的スタートをしているので、日中の子どもの居場所は学校となりますが、午後帰りの学校に通う子どもたちにはやはり居場所が必要。特に小さな子どもたちが、電気が通っていない家に一人で家にいるのは不安も多そうでした。

とはいえ、公共施設やイオン(のゲームセンターなど)が、ある種の居場所的役割を果たしているケースもみられてホッとしました。

心のケアについては、既存の枠組みでスクールカウンセラーの増員などで対応と言っていましたが、平時の隔週で1度巡回から、毎週1回になるほどで、それがどれくらい効果があるかはわからないところではありますが、先生たちも出来る範囲での取り組みをなさっておりました。

今日は引き続き、「壊滅的家屋損壊による経済的打撃が、子供たちの進路決定を狭める等のことがあるのかないのか」「既存の奨学金で充分なのか」そのあたりを追加調査していきます。

昨日のヒアリング結果は、即時に支援を検討しておられる方々もいらっしゃると思うので、情報シェアします。

ほぼ、内部共有メモのような内容ですが、リアリティを参考にしていただきたいので、そのままのせました。

※以下、長いので興味ある方向けです。

190918台風15号 教育支援ニーズ調査メモ

[結論]

■教育支援という観点で、民間のカタリバ規模の組織が今回できることはまだ見つかっていない。
■自宅避難している独居老人方々の屋根を張る支援や、多数届いて積み上がっている物資をニーズに合わせて高齢者に届けるなどの支援は必要。
■しかし行政だけでは配布の手が回らない。24時間体制で動いている人もいるが、twitterなどで少し批判などが始まり、心身の疲れもあるのか、メンタルに来ている様子も。

[今後につなげること]

■学校や地域がが全被災しているわけではない場合、子どもの居場所や教育支援は、学校が再開するまでの期間に高いニーズがある。家庭にとっては、学校も学童もやっていない期間、電気も通らない家に子どもを放置しておけない状況で、職場にか行かなければいけない中、家の復旧にも手が回らずなかなか大変そうだった。
■物資は10日も経つとやはり満たされてきているということは想定通り。
■津波や豪雨のように、車が水でだめになったという状況がなければ、若い人は車でそれなりに遠くまで動けるが、お年寄りが孤立する。
■家が全壊していない場合、避難所を利用するのはよっぽど事情がある人のみ。特にお年寄りの利用が目立った。近隣の繋がりや親戚の家に一次避難している事例も。
■経済力や教育力の弱い家庭の場合、子どもがどう過ごしているのか。行政も把握できず、私たちのような民間もどこにいるのか把握できず、心配が残る。
■毎回の災害で明らかになるのは、災害起因の問題よりも、個別の家の中に隠れていたそもそもの問題。それが社会的にむき出しに表出化する。
■校舎の修繕を先生がやっていて、子どもの様子を確認するのが後回しになっているケースがあった。
■被災地調査には、スリーマンセルが最適(指揮官・ドライバー/ロジ/進行管理・助手)。

[個別エピソード]

■児童養護施設(4施設)
・電気ガス水道の復旧のスピードが違うものの、3施設はステイ。1施設は4日目以降、職員が個別に連れ帰り、保護。(今日から施設に戻った)
・物資も満たされてきている。
・電気が通らないことなどによるストレスや、個別の不安をやわらげるには信頼関係がないとできないので、職員の負担増。
・既存の心のケアスタッフも配備されているので、支援要望のイメージは持てないとのこと。

■母親たちの声
□小学校1年生、4年生の母親(鋸南町)
・共働きなので発災後は、子どもたちを親戚などに父母が仕事を休んでたらいまわしに連れ歩いた。
・平時であれば、ゲームは「1日1時間」と約束しているが、生活再建の混乱期、「しょうがないか」と見逃すしかなく、子どもたちはずっとゲームをしている状態。

□小学1年生の母親(館山市役所の売店)
・すぐに電気が復旧したので大きなトラブルはない。二世帯住宅のため、学校が休校になっても親が面倒を見てくれたので問題はなかった。
・困りごとは、学校の給食センターが被災したので、お弁当作りが大変。

□1歳の乳児を育てる母親(館山市神戸地区)
・家の裏が山だったこともあり、台風と雨で山崩れの避難指示が出て、避難所へ。しかし、赤ちゃんとずっと避難所にいることもできず、帰宅。
・自宅がオール電化のため、電気が止まると何もできない。夫が仕事に行く日中はずっと車の中で生活。赤ちゃんの顔が突然赤くなるなど体調が不安定になってしまい、不安な日々を過ごした。
・自宅の使い捨てのガスコンロで日々の生活をしのいだ。
・現在は電気も復旧し、平穏を取り戻している。

□小3年・小5年・中1の母親(館山市)@イオンのゲームセンター
・明日から学校が午前午後となり、弁当を持たせなければいけないのでイオンに来た。
・ここまでみんなで家の片付けなどやってきて、子どもたちにストレスをかけたのでゲームセンターで息抜きをしている。

■子どもに居場所開放している公共施設の方々の声
□博物館の学芸員の方(館山市)
・台風があったため博物館を休館にし、休憩所(充電器やWi-fiがある場所)として開放した。普段は有料のため子どもが頻繁に来る施設ではないが、無料開放中は普段みられない子どもたちの様子をみることができた。
・一日3回遊びに来る小2の女の子がいる。夕方になっても帰ろうとしない。家に帰っても一人になってしまうから寂しいと言っていた。まだ学童が再開しないので、こういう小さい子どもたちが家で一人で過ごしているのかと思うと胸が痛い。

□図書館(館山市)
・図書館は電気は止まらなかったが、通常の開館はしておらず、スマホ等の充電場所として住民に解放。
・1日あたり最大で200名以上の住民が来館。開放を予定していた一部の施設では場所が足らなかったため、ほぼ全てのエリアを解放した。
・来館した子どもの多くは幼児、小学生、中学生。高校生の姿はあまり見られなかった。
・来館時の子どもの過ごし方は、主にスマホによるゲーム。小学生以下の子どもは絵本などを読む姿も見られた。
・現在も通常開館はできていない。これから通常開館を目指して動いていく。

■先生・教育機関
□館山市教育総務課
・給食センターが被災し、給食が再開できないため小中学校ともに半日授業となっている。

□鋸南町 教育指導主事
・生徒で避難所に避難している子どもはいない。
 (県外に避難するか、近くの親戚または知人の家を頼って避難しているため)
・要望したこと
①PTSDが心配なのでカウンセラーが来る頻度を高めてほしい
②学校の教科書や備品も被災したので欲しい
③ガラスが割れて水浸しなのでモップを欲しい
・「私たちのようなNPOがいつ来ると助かったか?」という質問に対しては
→発災後3日は学校の補修があり、通信・移動手段がないため子どもたちに構ってい れなくなるので、発災後3日で子どもたちの居場所を作ってくれたら本当に助かった
・教員の被災状況は住んでいる地域によって違う。被災しお風呂に入れないなど大変な状況の中で、子どもと向き合っている先生もいる。
・学校にいる間は子どもたちも安心。帰ってから夜が心配。(PTSD、そもそも家が被災している)
・ボランティアがたくさん来るけどさばけない。人が足りない。

□市原市 中学校教員
・昨日ほぼ電気も復旧。
・猫や犬などペットが台風で吹き飛ばされて亡くした生徒が複数人おり、メンタルダメージを受けている生徒がいる。
・生徒たちが異様なほどハイテンションで、このハイが過ぎたあとに訪れる身体的変化や心的変化が心配。
・サポート体制として緊急スクールカウンセラー増員を県に要請。
・教員の被災状況は住んでいる地域で異なる。

■社会福祉協議会(ボランティア受付)
・住民からブルーシートや瓦礫撤去の要望を受けて、集まったボランティアを各地域に派遣している。
・地域住民からは、子ども支援のニーズはあがってきていない。
・ボランティアは足りているとも、足りていないとも言えない。来てくれた人をとにかく要望のある地域に送るだけ。
*つまり、そこまで全体像を把握できていない&地域住民としては人手がなかったらなかったで個々人頑張ってやりくりするから良い、程度のニーズの模様。
・数十名規模のボランティアがきてくれても問題ないが、力仕事が求められているので、非力の女性は来てもやることがない。
(肉体労働系の需要のみある)

■子ども
・休校の知らせはメールで各家庭に届いているが、勉強の指示が無かった。
・あっけらかんと被災状況を話していた。(悲壮感が無かった)
・「水風呂入ったー!」と困難な状態を楽しそうに話していた。

■物資・復旧に対する意見(鋸南町・館山市)
・過剰なくらい届いており、余っている。
・粉ミルクなどは少ないが、人口もそもそも少ないので間に合っている。
・車がある若いお母さんはアクアラインを使って川崎まで買い物へ行っている。
・館山のイオンも空いている。
・(鋸南町は)小さな町なので大工が少なく順番待ち。

*追加調査のレポートはこちら

Writer

今村 久美 代表理事

79年生まれ。岐阜県出身。慶應義塾大学卒。NPOカタリバ代表理事。ここではゆるくつぶやいていきます。

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