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【千葉県台風15号】追加調査の結果、被災した子どもたちの情報支援と継続調査を続けることに

vol.087Voice

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category #代表のつぶやき

writer 今村 久美

昨日今日も引き続き、高校・学習塾・保護者・行政などにお話を伺い、子どもたちの教育環境調査を行いました。
*初回の調査レポートはこちら

ここまでのヒアリング調査結果と、国が激甚災害指定をする準備に入ったということも踏まえ、カタリバが組織として行う【教育支援】については、今回は大きな支援活動を直接的に始めることはしないと判断しました。

ただし、被災したご家庭や対象となる子どもたち、または学校の先生方など向けに、「被災した子どもたちはどんな支援や制度が使えるのか」という情報提供を行う活動をすることとしました。
※何かしら、被災児童生徒を対象にした支援策をお持ちの方は、情報をお寄せ下さい。

下記、追加のヒアリング調査内容を公開します。あくまで社内検討用のメモにすぎませんが、リアリティを受け取っていただくため、そのまま公開します。

190919-20 台風15号 教育支援ニーズ調査メモ

[ヒアリング対象]
1.学校
・高校(房総半島南部エリア:5校)
・中学校(館山三中)
2.学習塾(房総半島南部エリア:5塾)
3.保護者/地域の方(千葉県内:4名)
4.行政(富津市/八街市/館山市)

[9月20日のまとめ]
■房総半島南部エリアの高校は停電が回復。校舎の修繕も一次処置しながら通常通りの授業を開始している。
■ライフラインが回復しつつあり、フェーズが応急対応から復旧・復興へと移りつつある。今後、長期化する家屋や事業の再建が具体的に始まる中で、今見えていない子どもたちの課題が明らかになってくる可能性はある。
■農家を営む家庭が多い地域は、作物の大きな打撃により社会保障の申請を検討している家庭の声を多く聞くという話も。
■進路変更を余儀なくされた生徒の情報はまだ入ってきていないが、既存の奨学金などでマッチングできる数なのかもしれない。
■館山市、鋸南町の学童は全て通常運営再開。学校の授業再開と共に、通常運営に戻る。学童が再開したということは、小さな子どもたちの放課後の居場所はいったん確保できていると言える。

[館山市]
■保護者
□4歳の子どもを持つ母親(館山市)
・家屋が倒壊し、家の片付けから離れられず、子どもをしばらく放置してしまっている。
・子どもは台風当日の恐怖と、復旧活動に伴い親自身の心身が疲れてしまったことで口調が強くなるなどの子どもへの接し方が影響してか、親から離れられなくなってしまった。

□未就学(年齢不明)の子どもを持つ母親(館山市)
・怒りっぽい特性を持つ発達障害傾向(親自身の表現)の子どもが、災害前は情緒の安定につとめていて、穏やかにすごせるようになってきていた。しかし台風以降、再び怒りっぽい性格に戻ってしまった。

■行政
□職員(館山市)
・学校の安全が確保され、授業が再開すると同時に学童も再開。
・市内全ての公設学童が通常運営を再開した。
・館山市は、被害が軽微だった人と、甚大だった人の差が激しかった。
・被害が軽微だった人は、館山市が甚大な被害を受けているとの報道に対して後ろめたさを感じ始めており、支援物資をあえて受け取らない人も多数いる。

■学習塾
□館山市A塾
・通塾人数中高8名 / 被災エリアの生徒はおらず半壊・全壊という生徒はいなかった。
・台風の影響で、子どもたちの進路変更や高校中退リスクは今の所みられない。塾の通学を断念したり進路を変更した生徒は今のところいない。
・塾長はかなり被災された。家が大きく壊れ、農業をやっているが蕎麦が壊滅状態。

□館山市B塾
・小中合わせて80名ほどが通っている。塾自体は大丈夫だったが周囲が停電をしていたので自習室を開放した。
・子どもたちの気持ちがソワソワしているので、まずは落ち着いて勉強できる環境を提供できたと考えている。
・1人、まだ避難中のため塾に通えていない生徒がいる。

■学校
□南房地区B中学校(館山市)
・地面の陥没、野球グラウンドのネットの破損、プールのフェンスが壊れる等はあったが、校舎の損傷は軽微だった。
・部活動は休止中。来週からやっと再開できそう。
・簡易給食の提供が9月27日から始まる予定となった。
・簡易給食の内容は、ご飯+牛乳+ちょっとしたおかず。
・被害にあった館山の給食センターの建物は古かった。新しい給食センターを建てる予定があったが、その前に今回の被害が起きてしまった。
・ブルーシートで屋根を覆っている家庭が多く、子どもたちの勉強環境が心配。
・雨が降るたびに不安になる生徒もいる。
・被災を自虐的に話す子どももおり、見ていて心が痛む。

□南房地区B高等学校(館山市)
・校舎を部分修繕しながら、学校は再開している。
・遠方に避難しており、学校に通えてないない生徒もいる。
・子どもたちの進路や学習環境に影響するほどの経済的打撃は今のところ確認していない。
・ガラスが割れたところもあるが教室は危険がない状態。
・グラウンドのネットが傾いており、修繕しなければならないと思っているができていない。
・停電で魚が大量に死んでしまった。

□南房地区D高等学校(館山市)
・9月18日より学校再開。
・窓ガラスが割れたり、倉庫や通路の屋根が飛んでしまった。
・大半の子どもが元気に通っているが、寝不足が見受けられる子や避難していて疲れている子どももいる。
・家庭に経済的な影響は多少なりともありそうだが現在は分からない。

[成田市]
■保護者
□小学生の子どもを持つ主婦(成田市)
・先週行われた運動会は、午前のみの開催に短縮開催で残念だった。
・給食も再開したが、牛乳だけはいまだに提供されない。
・実家がある山武市は電気や水の復旧があまり進んでいない。お風呂に入れず、小さい子どもの肌がかぶれるなどのかわいそうな話を聞く。先日やっと自衛隊が仮設風呂を作ってくださり、入れるようになった。地域によっては9月末まで仮設風呂が続くことが決定しているらしい。

[八街市]
■行政
□職員 (八街市)
・農業に影響が出ており、深刻なダメージを受けている農家も多い様子。
・これから生活保護を受給する家庭が増え、子どもの進路選択に影響を及ぼしそう。
・断水の影響で水筒も洗えないなど様々な理由で親御さんがイライラしており、子どもに影響が出て来そう。親も含めた家庭支援の必要性を感じる。

■学習塾
□八街市C塾
・塾の再開後は、長引く停電の生活の中で疲れている様子の子どもも見受けられた。
・まだ停電が続いており、塾に通えていない子がいる。
・先生方がバタバタされているので学校の授業が遅れ、塾の進度とずれてきている。(いつも合わせていた)
・受験生の中には、勉強したいが家が停電しているので勉強できていない生徒がいる。

■学校
□南房地区A中学校(八街市)
・17日から再開、久しぶりに子どもたちが会えてハイになっている様子が見受けられた。

[南房総市]
■学校

□南房地区C高等学校(南房総市)
・発災後1週間は休校だったが、今週は通常通り学校再開。
・農業系の学校であり、農業に関する建物の屋根やシャッターに大きな被害があった。
・各学年に聞いたところ、精神的に不安定な子どもが学年に2~3人いる。
・自宅が大幅に被災し、家屋の取り壊しをしなければいけない状態の生徒も何人かいるので、家計の心配はある。
・学用品に影響がないかアンケートを取ったがそこは大丈夫だった。

[富津市]
■行政
□職員(富津市)
・鋸南町寄りの地域は停電・断水等復旧ができていない。
・山間部には限界集落があり、土砂崩れや倒木により隔離されてしまったエリアもある。
・市民はかなり疲弊していると認識している。
・り災証明書の発行も始まり、見舞金等の限度額も住民に伝達している。

■学校
□南房地区A高等学校(富津市)
・学校より、その近辺の方が被害が激しい。
・今のところ、進学を諦めてしまった子や中退した子はいない。
・災害からまだ時間が経っていないので全容を把握しきれていない。問題が出るのはこれからではないか。後日連絡してくれればもう少し状況が分かるかもしれない。

[鋸南町]
■行政
□職員(鋸南町)
・学童は全て再開し、通常運営に戻った。
・就学前の子どもたちが遊べて保護者同士も交流できる「子育て広場(公民館内)」には、今朝も何人もの親子が訪れていた。

[君津市]
■市民の方々
□スーパー銭湯を営む女性(君津市)
・山間部を中心に、高齢者の断水問題がある。
・営んでいるスーパー銭湯を、停電でお風呂に入れない方に無料で開放している。
・館山市や鋸南町では仕事を失った方もいるという話をきいた。

電話による追加ヒアリング調査の様子

Writer

今村 久美 代表理事

79年生まれ。岐阜県出身。慶應義塾大学卒。NPOカタリバ代表理事。ここではゆるくつぶやいていきます。

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