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「学校には相談しづらくて」子どもが不登校になったときに直面する壁[代表のつぶやき]

vol.230Voice

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category #代表のつぶやき

writer 今村 久美

こどもが学校に行きづらくなった時に、「養護教諭(保健室の先生)やSSW(スクールソーシャルワーカー)に相談する」というオプションを保護者が知らないということがよく起きています。

基本的なシステムとして、まず保護者が担任に相談→担任から校長に状況を共有→校長が教育委員会に報告→教委がSSWをアサイン→ケース会議などして対応スタート、というシステムになっていたり、実際はもっとフレキシブルなシステムになっていたとしても認知されていなかったりと言うことが往々にしてあります。

そうなると、担任起因の不登校や、学校と合わない場合、誰に相談したらいいのか分からず、多くの場合抱え込む母親が孤独になり、対応が遅れます。

学校のWEBや通信で「お子さんが学校に行きづらくなった時の相談窓口」をもっとわかりやすく明記しておくこと、そしてそこに担任を介さなくても相談できるタッチポイントを明確にすることで、課題が浅い段階で家庭と学校が協力して対応できることもきっとあると思います。
(そして、担任を飛び越えて相談が入っても、担任がその課題と素直に向き合えるための心理的安全性のある職員室の雰囲気もとても重要。)

先日オンラインの不登校保護者会をしていたのですが、そこでお話ししていた関西地区の保護者の方はこう話していました。

「学校の先生の子どもに対する無理解と、納得感の持てない関わりが原因で不登校になった。しかし『あなたが問題です』と文句つけに行くようなものなので、担任には相談がしずらい。モンスターペアレンツだと思われると、親子ともに地域で生きづらくなる。でも子どもが毎日苦しんでいる。だから、そっと静かに学校に行くのをやめた。きっと教育委員会も学校も、子どもの特性起因で不登校になったと情報共有されていると思うけど、本当の理由を伝達する術はない。」

学校の在り方が変われば、どんな子どもにとってもここが学びの居場所だと思える場所にすることができるはずです。憲法26条には、義務教育は「すべて国民はその能力に応じて、ひとしく教育を無償で受ける権利を持っている」(←ちょっと省略気味に書いてますので気になる方は検索してください)と明記されています。

この原理原則が実現せず、約29万人も小・中の長期欠席者がいるという異常事態を直視し、すべての子どもを学校教育から「排除しない」努力が必要です。

令和2年度不登校児童生徒の実態調査」でも、不登校の理由は様々ありますが、「最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ」(複数回答)は「先生のこと」(小学生30%、中学生28%)と、当事者たちが答えています。

(文科省さんの不登校に関する様々な調査は、調査設計含めて一度どこかでちゃんと仕切りなおした方がいいのですが、それはそれでまだ別議論。)

Writer

今村 久美 代表理事

79年生まれ。岐阜県出身。慶應義塾大学卒。NPOカタリバ代表理事。ここではゆるくつぶやいていきます。

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