CLOSE

認定NPO法人カタリバ (認定特定非営利活動法人カタリバ)

〒166-0003 東京都杉並区高円寺南3-66-3
高円寺コモンズ2F

お問い合わせ

※「KATARIBA」は 認定NPO法人カタリバの登録商標です(登録5293617)

Copyright © KATARIBA All Rights Reserved.

KATARIBA マガジン

「お腹いっぱいのご飯で、心も体も元気に成長してほしい」プロ野球読売ジャイアンツ・丸佳浩/カタリバ応援者インタビュー#02

vol.244Interview
Profile

丸 佳浩 Yoshihiro Maru プロ野球選手

1989年生まれ。千葉経済大学附属高等学校を卒業後、2007年高校生ドラフトにて広島東洋カープに入団。2019年より読売ジャイアンツで外野手としてプレーする。背番号は8。
タイトル:最多盗塁者賞(2013年)、最多安打者賞(2017年)、最高出塁率者賞(2018年)
表彰:最優秀選手賞(2017〜2018年)、ベストナイン賞(2014、2016〜2020年)、ゴールデングラブ賞(2013〜2019年)

カタリバでは、さまざまな方に寄付という形でのサポートをいただきながら、子どもたちを支援しています。プロ野球・読売ジャイアンツの丸佳浩選手が2021年シーズンより開始された「丸メシプロジェクト」においては、カタリバが都内で行う経済的事情を抱えた子どもたちへの食事支援に対して寄付をいただいています。

このプロジェクトでは、丸選手が公式戦で記録した成績に応じた金額を、シーズン終了後にカタリバへご寄付いただいています。また2022年シーズン開始直前の2月には、丸選手が食事支援を行う子どもたちとのオンライン交流会も実現することができました。

プロ野球選手として活躍されている丸選手が、社会問題と向き合うことにしたきっかけは何だったのでしょうか。そして、「丸メシプロジェクト」を通じて実現したい未来とは。丸選手にお話を伺いました。

満足に食事ができない子どもたちがいる事実から
目を背けてはいけない

ーカタリバを「丸メシプロジェクト」の支援先に選んでいただき、ありがとうございます。そもそも、なぜ「丸メシプロジェクト」を始めようと思ったのでしょうか。

きっかけは、自分がプロ野球選手として一軍で出場し続けられるようになったことです。「自分の成績はもちろん大事だけど、もっと社会の役にも立ちたい」という気持ちが芽生えました。以前所属していた広島東洋カープ時代も災害支援や募金活動などに取り組んでいましたが、より自分主体で継続的に関わっていけるようなことをしたいとぼんやりと考えていました。

取材はキャンプ地より、練習の合間をぬってオンラインで受けていただきました

どういったことに取り組むべきか色々調べていると、世の中には経済的な事情で満足に食事ができない子どもたちがいることを知りました。僕自身は、子どもの頃から食べることが好きで、食べたいものをたくさん食べさせてもらってきたので、今でも食事の時間が大好き。「彼らのために何かできることはないか」と考え、食事支援を行なっていくことに決めました。子どもが誕生したことも、「子どもに対する支援」に意識が向いた理由の一つだったのかもしれません。

ーなぜカタリバを支援先に選んでくださったのでしょうか?

「子どもへの食事支援をやりたい」という気持ちを球団に伝えた際に、支援先の団体をいくつか候補として探してきてくれたうちのひとつでした。シーズン中で僕が動けなかったため、球団職員にカタリバのスタッフへのヒアリングを重ね、支援の現場にも足を運んでもらいました。経済的に困難な状況にある子どもたちの現状を深く知る中で、彼(球団職員)も衝撃を受けたみたいで……。話を伝え聞いて自分は恵まれていたのだなと改めて思いましたし、ここに支援をすべきだと感じたのを覚えています。

ー食事支援を始められるにあたっては、ご家族にも相談をされたと伺いました。奥様は何とおっしゃっていましたか?

大賛成でしたね。「それはすごくいいことだと思う」と背中を押してくれました。彼女も僕と同じで食べることが大好きで、食事への興味・関心も高いので、僕の思いに共感してもらえたのではないでしょうか。

「一打席、一打席を大切に」
子どもたちへの支援から感じる好循環

ー2021年の「丸メシプロジェクト」最初のシーズンを終えて、いかがですか?

昨年末に1年分の寄付をしたのですが、改めて反響の大きさを感じています。

シーズン中に球団が「丸メシどんぶり」というグッズを受注生産で製作したところ、想定を大幅に超える申し込みがありました。申し込んでくださったファンの皆さんに感謝の気持ちを伝えたいですし、僕が発信したことでひとりでも多くの方に、食事支援を必要としている子どもたちの存在を知るきっかけにしてもらえたら嬉しいです。

ー2022年以降の「丸メシプロジェクト」の目標は?

実際のところ、食事に困っている子どもをゼロにしていくのは難しいことだと思います。

でも、だからこそ目を背けてはいけないし、たったひとりだとしてもちゃんと向き合い、救っていかなければいけない。プロ野球界には同じように支援活動に取り組む選手もいますが、まだまだ少ない状況。僕の活動を通じて、ひとりでも多くの選手が社会問題に目を向けられるようになったら嬉しいですね。

そしていつか「あのとき食事支援を受けた者です。あのとき食べた料理が大好物です」と再会できたら、これ以上の幸せはないかもしれませんね。

ー「丸メシプロジェクト」を通じて、丸選手ご自身に変化はありましたか?

「一打席も無駄にできない」という気持ちはより強くなりました。

公式戦が始まると1シーズン143試合、フル出場していると600回ぐらいバッターボックスに立つ機会があるわけです。これまでは連戦の疲れでどうしても集中力を保ちづらい打席もありましたが、気持ちの入り方が変わってきたと感じています。そういう意味でも、「丸メシプロジェクト」を始めてよかったかもしれません(笑)。

ー2022年2月の後半には子どもたちとのオンライン交流会も予定しています。子どもたちとはどのような話をしたいと思っていますか?

やはり食事の楽しさを伝えていきたいですね。食事によって会話が弾んだり、元気になったりすることで、生活もきっと充実していくはずですから。

「かけ離れた存在だと思っていたけれど……」
ついに叶ったオンライン交流会

 

2月下旬、2022年のプロ野球シーズン開幕を前に、読売ジャイアンツのキャンプ地である沖縄と都内のカタリバの施設をオンラインでつなぎ、丸選手と中学生の交流会を開催しました。

交流会のテーマは、「プロフェッショナルが見ている世界に触れる」。参加した中学生5人は事前に丸選手への質問を用意し、この場に臨みました。

緊張した面持ちで集まった子どもたちでしたが、好きな給食のメニューや、今はまっているアニメやゲームといった話題に丸選手とのたくさんの共通点を見つけて大盛り上がり。

アイスブレイクで行った「肉料理といえば?」の一コマ。子どもたちも丸選手も大好きな食事の話題で、あっという間に距離が縮まりました

参加した子どもたちからは、「丸選手みたいに、たくさん食べてたくさん運動したいと思った」という声や、一人ひとりに対して質問やコメントを返してくださる丸選手の親しみやすさに「かけ離れた存在だと思っていたけれど、共通の話題があってとても話しやすかった」といった声も聞かれ、テレビのなかで活躍するスターを近くに感じた交流会となったようでした。

カタリバは、2022年シーズンも引き続き「丸メシプロジェクト」のご支援をいただけることとなりました。「お腹いっぱいご飯を食べることで、心も体も元気に成長してほしい」という丸選手の強い思いをしっかりと受け止め、子どもたちの食事支援に取り組んで行きます。

ー写真:読売ジャイアンツ提供(1〜5枚目、プロフィール写真)
ー取材・文:田中嘉人
ー文:本田詩織(交流会レポート)

 

関連記事
カタリバ応援者インタビュー#01/「夢中になれるものが見つかれば、仲間はできる」スポーツクライミング五輪日本代表・原田海

Writer

田中 嘉人 ライター

ライター/作家 1983年生まれ。静岡県出身。静岡文化芸術大学大学院修了後、2008年にエン・ジャパンへ入社。求人広告のコピーライター、Webメディア編集などを経て、2017年5月1日独立。キャリアハック、ジモコロ、SPOT、TVブロス、ケトルなどを担当しながら、ラジオドラマ脚本も執筆。

このライターが書いた記事をもっと読む