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認定NPO法人カタリバ (認定特定非営利活動法人カタリバ)

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足立区の「子どもの健康・生活実態調査」結果/「認定NPO法人」認定更新報告

vol.054Mail Magazine

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writer 上村 彰子

こんにちは。NPOカタリバの船本 彰子です。いつも温かく見守っていただき、ありがとうございます。

今回は皆様に、カタリバの活動に関連する2つのニュースをお伝えしたいと思います。

 

1.足立区の平成30年度「子どもの健康・生活実態調査」結果について

カタリバは、東京都足立区より委託を受け、家庭環境などに困難さを抱える子どもたちに居場所・学習・体験・食事を届ける2つの放課後学校を運営しています。この度、足立区が行った「子どもの健康・生活実態調査」の結果が発表されました。カタリバがサポートする子どもたちの実態にもつながる部分があるため、一部を抜粋してご紹介いたします。

足立区は、全ての子どもたちが生まれ育った環境に左右されることなく、自分の将来に夢や希望が持てる地域社会の実現を目指しています。その第一歩として、子どもの健康と生活の実態をできる限り正確に把握した上で、健康格差対策を講ずることが重要と考え、「子どもの健康・生活実態調査」を毎年実施しています。

調査対象は、足立区立小学校に在籍する 4 年生全員と6 年生の一部、そして同区立中学校に在籍する 2 年生の一部の子どもたち、計6,605人。回答者の9割はその母親です。

この調査では、子どもの貧困状態を経済的な困窮だけでなく、子どもがおかれた家庭環境全体で把握すべきであると考え、次のいずれか一つでも該当する場合を「生活困難」世帯と定義し、子どもの健康・生活に生活困難がどの程度関連があるかを調べました。

【生活困難とは】

① 世帯年収300万円未満の世帯

② 生活必需品の非所有世帯(子どもの生活において必要と思われる物品や急な出費に備えた5万円以上の貯金がないなど)

③ 水道・ガスなどのライフライン等の支払い困難経験世帯

すると今回の調査で「生活困難」世帯の条件に該当した数は、1,198 世帯(22.2%)になりました。ここでカタリバが注目したのは、生活困難世帯の子どもたちの回答です。例えば身のまわりに「気軽に相談できる人がいない」という回答率を見ると、生活困難世帯の中学2年生は非困難世帯に比べて9.3%多くなっています。また「将来の目標になる人がいない」という回答率は76%、こちらも非困難世帯より6.7%多くなっています。これらの結果より生活困難世帯の子どもたちは、社会とのつながりが比較的希薄なのではないか、と考えが及びます。

 

2019.6.4-2.jpg (平成30年度足立区「子どもの健康・生活実態調査」結果より)

 

また小学4年生の「逆境を乗り越える力」の平均得点は、非生活困難世帯では約70 点であるのに対し、生活困難世帯では約 65 点となり、約5点低いことがわかりました。

 

2019.6.4-3.jpg

(平成30年度足立区「子どもの健康・生活実態調査」結果より)

 

生活環境に関係なく、子どもたちが社会とのつながりを育み、自己肯定感や自己制御能力という逆境を乗り越える力を身につけていくにはどうしたらいいのかという、問題提起をはらんだこの調査。この結果を踏まえ足立区では、子どもに好ましい生活習慣が身につくよう支援するとともに、保護者支援や子どもが地域につながり、経験や体験を積む機会を増やす施策などを充実していくと発表しています。

カタリバは、あらゆる環境にある子どもたちに「安心できる居場所」を届けています。子どもたちが親や先生以外にも、相談相手や目標となる人物に出会えること、地域の大人や大学生などのボランティアスタッフと共に、安心して本音を語ったり、ありのままの自分でいられること、そして、心地よい関係を築けるような環境を整えることを目指しています。

東京都足立区から委託を受け、カタリバが運営している2つの放課後学校には、現在、100名を超える子どもたちが通ってきています。引き続き、ひとりでも多くの子どもたちが「逆境を乗り越える力」を身につけるサポートを行なっていきます。

 

 

2.「認定NPO法人」の認定更新について

カタリバは、2013年6月25日に東京都から「認定NPO法人」の認定を受け活動してきました。このたび初めての認定更新を行いました。

認定特定非営利活動法人制度(認定NPO法人制度)は、寄附を促すことでNPO法人の活動を支援するために、税制上の優遇措置として設けられた制度です。

以前は国税庁長官が認定を行う制度でしたが、2011年の法改正により2012年4月1日から、所轄庁が認定を行う新たな認定制度として創設されました。「認定NPO法人」は、日本に1,106件(2019年3月31日現在)であり、約5万件あるNPO法人のうち「一定の基準を満たしている」と所轄庁(都道府県・政令市)が認めた法人のことです。認定の有効期間(5年)の更新を受けようとする認定NPO法人は、有効期間の満了の前に更新の申請をし、有効期間の更新を受けることとなります。

【認定の基準】(一部)

1.パブリック・サポート・テストに適合すること
2.事業活動において、共益的な活動の占める割合が、50%未満であること
3.運営組織及び経理が適切であること
4.事業活動の内容が適切であること
5.情報公開を適切に行っていること
6.事業報告書等を所轄庁に提出していること
7.法令違反、不正の行為、公益に反する事実がないこと

今回、カタリバの初めての認定更新を担当した、経営管理本部の田中健次はこう語ります。

「認定更新では、会計・運営の観点で改めてジャッジされるため、申請書を揃えるのがとても大変でした。2018年3月22日に書類を提出し、調査は7月に行われました。行政や寄付者の皆様からの、『カタリバはしっかり運営してくれている』という信頼に応えたい一心で、更新業務にあたりました」

今回の認定更新を通し、「いただいたご寄付の管理や、日々の経費管理などのひとつひとつの積み重ねの大切さ」を実感しています。
引き続き、皆様からのあたたかいご支援の気持ちに応えられるよう、毎日丁寧に、確実に業務を遂行し、ひとりでも多くの子どもたちが未来を思い描けるよう、邁進していきます。

あらゆる環境にある子どもたちに学びの場を届け続けられるよう、あなたの力を貸してください。毎月1,000円で継続的に寄付してくださる「サポーター」を募集しています。「1日33円で子どもたちにチャンスを」。

詳しくはこちらからご覧ください。

Writer

上村 彰子 ライター

東京都出身。2006年よりフリーランスでライター・翻訳業。人物インタビューや企業マーケティング・コピーライティング、音楽・映画関連の翻訳業務に携わる。現在、カタリバ発行のメルマガや各種コンテンツライティングを担当。

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