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台風19号支援「復旧復興してからも子どもたちの人生を彩るつながりを地域につくれたら」長野県長野市での取り組み

vol.101Report

date

category #活動レポート

writer 青柳 望美

台風19号支援活動の始まり

2019年10月12日(土)から13日(日)にかけて東日本を直撃した台風19号。大雨特別警報は13都県におよび、河川の決壊は7県で71河川128ヶ所、土砂災害は20都県の365ヶ所に上ったと言います。未曽有の豪雨によって広範囲に渡って甚大な被害が広がりました。

カタリバでは、13日にまずオンラインミーティングを行い、調査活動を行うことを決定。翌14日(月・祝)には検討メンバーがオンライン参加含めて集まり、被害状況の情報収集と、どこに調査に向かうか検討会議を実施しました。そこで、長野県長野市にはカタリバ代表の今村をリーダーに東京のメンバーで組成したチームが、宮城県丸森町には宮城県のメンバーが災害時子ども支援チームを組み、調査に行くことが決定。15日(火)から状況確認とニーズ調査が始まりました。

14日(月・祝)に行った検討会議

長野県長野市、宮城県丸森町、それぞれで教育委員会や学校等を訪問するも、道路の冠水・校舎や住宅には泥が堆積し、まちは混乱の中、復旧に向けて被災した方々が懸命に動いている状況でした。まずは私たちにできることをしようと、泥かきのお手伝いや片付けを手伝いながら、被害状況を把握していきました。

道路にも建物にも泥が堆積している

道路に堆積した泥は長靴が沈み込むほどに深い

教室の中も一面の泥に

同時に、これから起こるであろう、学校再開に向けた準備に追われ多忙を極める先生方、生活再建に奔走する中で子どもの居場所がないことで困る保護者、避難所生活で思うように遊べない子どもたちのストレスと心が不安定になりはじめることなど、これまでの災害支援の経験から、予測できる状況を想定しながら、私たちができる支援の方法を模索していきました。

被災地では、時期や状況や対象によって必要な支援が刻一刻と変化します。支援側に求められるのは、柔軟かつスピーディであること。少し先のことを想定しながら準備を進めなければ、必要な支援を必要な段階で届けることができないためです。

現地調査2日目、16日(水)には長野県長野市で「子どもの居場所」づくりを行うことを決定。宮城県丸森町では学校再開日が迫る中、ボランティアを集めて復旧のお手伝いをすることが決まりました。

長野市で地域の皆さんとともにつくる
子どもの居場所
「コラボ・スクールながの」を開設

長野県長野市では、市教育委員会の協力を得て、16日(水)夜、被災家庭に対して「子どもの居場所利用ニーズアンケート調査」を実施したところ、数時間で約70名の申込みが届きました。学校が再開しない中で、「復旧作業にかかりきりで子どもに手がかけられない」「感染症の不安もあるが、作業中に子どもだけが避難所にいる状態も不安」など、『子どもを預かってくれる場所がほしい』という声が多く集まり、その日のうちに19日(土)・20日(日)の週末にお子さんを預かる居場所づくりを行うことを決定しました。

長野市教育委員会との打合せ

大急ぎで場所を探し、長野市立柳原小学校の体育館をお借りして「コラボ・スクールながの」を開設することが決定。多くの子どもたちが集まれるように、子どもの見守りや遊び支援の経験のある長野市近隣にお住まいのボランティアの方も募集しました。

16日夜に居場所づくりを行うことを決めてから、準備期間2日という非常にタイトなスケジュールの中、長野県須坂市の満龍寺コミュニティの皆さん、初動調査から一緒に動いてきたウィルグループさん、軽井沢からワクワーク・イングリッシュさん、上田市からバリューブックスさんのブックバスも駆けつけてくれ、保育士や先生や看護師など地域の方々もボランティアとしてご参加いただき、たくさんのご協力を得て無事に開催することができました。

体育館が子どもたちの遊び場に

駆けつけてくれたバリューブックスさんのブックバス

保護者の方からは「子どもたちの精神面を心配していたけれど、思い切り遊んで、ストレスを発散させたかったのでこういう場所があると本当に助かる」という声をいただき、安心からか涙を流すお母さんもいらっしゃいました。参加した子どもたちは「久しぶりにいっぱい笑って、いっぱい遊べて楽しかった!」と笑顔で話してくれました。

22日(火・祝)にも長野市立柳原小学校の体育館で「コラボ・スクールながの」を開設し、3日間で80名以上の子どもたちが集まりました。11月4日までの土日祝は同じ場所で開催することが決定し、10月29日〜11月8日までの平日は長野市東部文化ホールでの開催が決まっています。(10月28日時点の決定スケジュール)

さらに、23日(水)からはもう1つの「コラボ・スクールながの」がスタート。まだ学校再開の見込みがたっていない子どもたちをバスで近くまで迎えに行って親御さんからお預かりし、長野県須坂市にある満龍寺さんで、子どもたちが思いおもいに過ごせる、平日の居場所づくりも始めました。

この動画は、満龍寺さんでの「コラボ・スクールながの」の様子を知っていただけたらと、親御さんの許可をいただき撮影したものです。たくさんのボランティアの方々のご協力のおかげで、子どもたちの笑顔あふれる居場所をつくることができています。

初動調査から現地にいるカタリバ代表の今村に、今回の支援活動への想いを聞きました。

今村:「泥かきの現場は危険も大きく、子連れでは作業できませんが、子どもを放置することはできません。避難所は所狭しと多くの人が過ごしていて、自由に遊ぶスペースはなく、子どもたちのストレスもたまりがちです。今回そんな被災した子どもたちのための居場所づくりを一緒にやりませんか?と呼びかけたところ、地元の保育士さん、退職した先生、遊びのプロのユースワーカーさんなど、様々な方に参画いただいて、子どもたちの居場所をつくることができています。満龍寺(須坂市)というお寺での開催も始まりました。

これまで、地元を中心にボランティアとして参加いただいた方の数は約50名。参加いただいた方からは『同じ長野で生活しているのに、自分が誰の役にも立っていないという意識になって、辛い気持ちになる人が増えてる。泥かきができないお母さんやお年寄りは、できることが少ない。例えば自分の子どもを連れて他の家庭のお子さんの見守りに参加できるボランティアは、それ自体が癒しになると思う』という声もいただいています。

私たち支援チームのメンバーは、緊急支援段階を終えれば立ち去る風の人たちです。できるだけ事務局としての動きに徹しながら、多くの地元の方々に場作りに参加いただくことで、もしかすると、今後も続く関係性ができるかもしれない。社会教育の力を改めて引き出すきっかけにもなったらいいなと感じています」

長野に一時的に常駐し支援活動に取り組んでいた今村

今村:「2つ目の『コラボ・スクールながの』となっている満龍寺という素敵なお寺は、若い二人の息子さんが副住職として、新しいお寺の形を模索して、この2年間、デザインや人との関係性を再構築してきたところだそうです。お寺という、若い人たちからは縁遠いかもしれない場所が、復旧復興してからも、第三の居場所として子どもたちの人生を彩るつながりとなったらいいな。そんなことも、この取り組みを通じた復興後への願いとして、感じています。

遠くに住みながら応援いただける皆様。ぜひとも子どもたちとその家族を応援する気持ちを託す、ご寄付のご検討をお願いできたらと思っています」

sonaeru民間アライアンスパートナー
ウィルグループと初の協働支援活動

長野県長野市の支援活動では、「災害時子ども支援アライアンスsonaeru」の初めての民間パートナーである株式会社ウィルグループさんと、調査段階からともに活動しています。これがアライアンス締結後、初めての活動となります。ウィルグループさんは長野支店やその車両を支援活動で使うために提供してくださり、社員の方々も常時3名体制で運営メンバーとして参加いただいています。

15日(火)の調査からともに活動を続けているウィルグループの吉野さんに話を聞きました。

初動調査からともに活動しているウィルグループの吉野さん

吉野:「長野駅周辺はまったく被災している様子がありませんでしたが、車で10分くらい走ったら景色が全く変わり、被災現場を初めて目の当たりにして、衝撃を受けました。

カタリバのスピード感もすごいなと驚きました。当初、現地調査をしたらそこで得た情報を持ち帰り検討をすると思っていたが、そのまますぐに県に行き、市を紹介してもらい・・すごいスピードでやることが決まっていきました。物事を整理して前に進めていくところは、仕事も同じところがありますが、キャパが試される、自分にとってプラスになる経験にすでになっています。

ウィルグループには『子どもたちのわくわくを育てる』という教育支援に強い想いがあって、カタリバの理念に強く共感して支援をしてきました。カタリバとはこれまでの十分な関係性もあり、今回のことでさらに距離が縮まって、いいチームワークで活動することができていると感じています。

子どもたちの居場所づくりが始まって、まずは純粋に嬉しいです。昨日一緒に遊んだ子が、今日また笑顔で走り寄って来てくれる。子どもたちが笑顔になれる環境をつくれたのかなと思います。0-1ができたので、それを3や10にしていきながら、地元の人たちに繋げていけたらと考えています」

子どもたちの笑顔が溢れた

吉野:「今後についても、災害が起こらないのが1番ですが、全力でお手伝いしたいです。この支援活動に常駐で参加している社員もいますが、こういう経験は本当に社員の成長につながります」

私たちカタリバにとっても、ウィルグループの皆さんをチームメンバーとして迎えて活動できたことで、これまで以上にスピーディに支援を始めることができました。人材だけでなく支店や車両なども惜しみなく協力をしていただき、私たちだけで動こうとしていたこれまでとは違った支援のあり方を実現することができています。

宮城県丸森町では17日(木)・18日(金)に小学校の再建のお手伝いをさせていただき、現在は、週末の子どもの居場所づくりなどで何かできることがないか、検討を進めています。

NPOカタリバは、引き続き台風19号で被災した子どもたちの支援に取り組んでいきます。

NPOカタリバでは、台風19号支援へのご寄付を受け付けております。
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*「コラボ・スクールながの」の取り組みは中日新聞でも取り上げていただきました。
 記事はこちら

*災害時子ども支援アライアンスsonaeruに関心のある方はこちらもご覧ください
活動紹介ページ
・初の民間パートナーウィルグループさんとのアライアンス契約プレスリリース
・初の行政パートナーとなる三重県及び全国学習塾協会とのアライアンス契約プレスリリース

 

Writer

青柳 望美 編集部

1983年生まれ。群馬県前橋市出身。大学時代は英語ができないバックパッカー。人材系企業数社で営業・営業企画・Webマーケティング・Webデザインを担当。非営利セクターで働いてみたいと考え2014年4月にカタリバに転職。全国高校生マイプロジェクトの全国展開・雲南市プロジェクト・アダチベースなどの立上げを担当。現在は新規プロジェクトの企画や団体のブランディングなどを担当。カタリバmagazine編集長。

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