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全国から8校が参加!小規模校がオンラインでつながり生徒と先生の学びを広げる「学校横断型探究プロジェクト」

vol.253Report

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category #活動レポート

writer 編集部

2022年4月から全公立高校の新学習指導要領において、「総合的な探究の時間」が本格的にスタート探究の時間では、生徒一人ひとり興味関心と深く結びついたテーマを立て、主体的・対話的に探究学習に取り組む姿勢が求められています。

生徒の多様な興味関心に応じて探究学習を進めるためには、それぞれの探究テーマについて深め合える生徒や先生の存在が重要です。 “好き” が重なる生徒同士での対話や、その領域にあかるい先生からの助言が探究学習を深める力になります。

しかし、そのような機会にめぐりあえるかどうかは地域や学校規模によって差があります。そこでカタリバでは2020年度より、探究学習の個別最適化について課題が大きい小規模校を対象に、学校同士が連携して学びのサポートを行う「学校横断型探究プロジェクト」を実施しています。

今回は、本プロジェクトを担当している私、起塚が、今年度のスケジュールや新たな取り組み、またそこから見えてきた気づきについてレポートします。

「教員不足」「生徒数の減少」という
小規模校特有の課題をオンラインで解決

今年度の学校横断型探究プロジェクトでは、年間4回のオンライン合同授業と放課後の交流プログラムを通じて、生徒の興味関心に基づいた探究学習をサポートします。

コンセプトは「教育資源の共有」。生徒数や教員数が少ない小規模校では、生徒の興味関心に応じて担当できる教員がいない、教員が専門性をもつ分野に生徒が集まらないといった問題が生まれがちなため、学校を越えて先生や生徒、外部の専門家同士でつながれるネットワークを作ります。

今年度は秋にかけて学校横断ゼミ授業を実施予定。学校を越えて興味関心ごとグループをつくり、各グループには専門知識を最大限に活用できそうな先生を配置。小規模校同士を連携させることで、より多くの先生の専門性や生徒の興味関心を活かしたシナジーを生むことを目指しています。

今年度の学校横断型探究プロジェクトの流れ。①②は実施済み。

2022年度は8校から総勢約250名が参加!
全国から多種多様な生徒たちが集まる

学校横断型探究プロジェクトは2021年度から参加校の公募を開始し、年々参加校が増加しています。

今年度は全国から8校が参加。全日制高校だけでなく、広域通信制高校(※1)など複数の学校種から多様な学校が名を連ねています。

2022年度参加校(※参加生徒数は概数)
・岩手県立大槌高校 (2020年度〜) 参加生徒数:60名
・山形県立小国高校 (2020年度〜) 参加生徒数:20名
・熊本県立小国高校 (2020年度〜) 参加生徒数:40名
・茨城県立小瀬高校 (2021年度〜) 参加生徒数:40名
・宮崎県立高千穂高校(2021年度〜) 参加生徒数:50名
・第一学院高校横浜キャンパス(2021年度〜) 参加生徒数:30名
・島根県立吉賀高校(2022年度〜) 参加生徒数:30名
・栃木県立足利特別支援学校(2022年度〜) 参加生徒数:3名

2021年度から参加している第一学院高校横浜キャンパスは、参加校で唯一、広域通信制かつ首都圏に立地する学校です。学校で授業を受ける機会が少ない通信制では多様な他者との出会いが難しいという課題から、本連携に参加をしています。

また、今年度から加わった栃木県立足利特別支援学校(以下、足利特支)でも、生徒数の少なさや学校種の特徴により、多様な出会いの機会を作りづらいという深刻な課題を抱えていました。

「人数が少なくても他の生徒とつながり、外の世界つながることで、社会に参加していると実感できる機会を作りたい」との想いから、本連携へ応募。校内で検討を重ね、今年度の参加が決まりました。

学校種が異なっても、課題は共通しているというのは、新たな発見でした地方の小規模高校メインで始まった本取り組みは、共通する課題のもと、首都圏に立地する学校や特別支援学校が参加するなど裾野が広がりつつあります。

【脚注】
※1 広域通信制高校 通信制高校には「広域」と「狭域」の2つがあり、広域通信制高校は3つ以上の都道府県から生徒を募集できる。対して狭域通信制高校は、学校のある県+隣接する1都道府県からのみ生徒を募集できる。

オンラインで多様な学校とのつながりが生まれ、
生徒の挑戦と成長を促す

2022年6月には、第1回目のオンライン合同授業が行われました。オンライン授業は上記8校が4校ずつ2つのグループに分かれて実施第1回目の授業で、司会やファシリテーションの役割を生徒が担い、各校からの学校紹介や地域の思い出の場所紹介などがありました。

第1回オンライン合同授業の様子

今回、総合司会を務めたのは、岩手県立大槌高校茨城県立小瀬高校の生徒たち。100名以上が参加する中での緊張を乗り越えて、明るく安心感のある場づくりを行う姿が光りました。

参加した生徒からは、「緊張したけれど他校の人があたたかく聞いてくれて安心した。次はもっと上手く話せるようにしたい」という前向きな声や、「他校の人が紹介してくれた場所に、いつか行ってみたい。同じように、他の学校の人も私の地域に来たいと思ってくれたらいいなとも思いました」と他の地域に対する関心の高まりが見えました。

また、各校の先生方はオンライン授業の実施にあたって打ち合わせを行い「緊張を乗り越えて挑戦する機会にしたい」「生徒が安心して活動できるような意識づけを大切にしたい」など、それぞれの学校がどのような関わり合いを大切にしたいかを確認したうえオンライン授業にのぞみました。

今年度、初参加となる足利特支の先生からは、「子どもたちは他の学校の子と同様に、卒業後は進学したり、就労したりしていくので、『同世代の高校生』として対等な立場で関わってもらえたら」との声がありました。

先生方の事前打ち合わせの様子

同校からは、オンライン授業に3名の生徒が参加。当日は他地域の生徒へ積極的に質問したり、地域の好きな場所について生き生きとったりする姿が印象的でした。

最後の感想共有の場は、100人以上の前で自ら手を挙げて想いを語る生徒の姿が各校から見られました。足利特支の代表生徒からは、こんな嬉しい声も。

「普段学校に通っていると、同世代と交流できる機会が本当に少ないので、今日はこんなに大勢と話すことができてとても楽しかったです。」

オンラインを活用すると距離の壁を越えられるだけではなく、これまでになかった新しいつながりが生まれることで、挑戦と成長の機会になっていくのかもしれません。

今年度の新たな取り組み「放課後交流会」。
合同授業で話しきれないことを対話する場面も

2022年7月、IT系や観光など、生徒たちが興味関心のある分野からゲストをお呼びして、8すべてが集って第2回オンライン合同授業を実施「マイプロジェクトをもつ面白さを知る」をテーマに、自分の興味関心を人生につなげている先輩からお話がありました。

ゲストからのお話を聞く授業

また今年度から、オンライン合同授業に加えて放課後にも定期的な交流会を設けています。第1回放課後交流会へ参加した生徒からは、「授業では話しきれないので、放課後にこうやって集まれるのは嬉しい」との声がありました。

さらに今年度は秋から冬にかけて、探究活動を進路につなげる方法」について話し合う交流会や、生徒発信交流会なども企画中。今後も授業と放課後の両面で、興味関心のあるテーマについて語り合える機会を作るチャレンジを行っていきます。

放課後の交流会の様子


 

学校横断型探究プロジェクトは、2023年度から参加する高校を募集しているので、本連携にご関心のある教育関係者の方は、以下のフォームよりご登録いただければ本プロジェクトに関する情報をメールにて配信します

<配信内容>
・学校横断型探究プロジェクト 参加説明会のお知らせ
・公開イベントおよび体験プログラムのお知らせ
・2022年度参加校での合同授業実施のお知らせ(事前申込による見学が可能です)

 

本取り組みにご興味がある方は、
以下参加申し込みフォームよりお問い合わせください。

参加申し込みフォーム

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編集部 編集部

KATARIBAMagazine編集部が担当した記事です。

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