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学童保育の拡充に向けて「こども家庭庁」がすべきこと[代表のつぶやき]

vol.299Voice
プール活動を実施している学童保育で、6割超が安全対策マニュアル「未整備」であるというニュース。これを見て、こども家庭庁は「マニュアルの整備や訓練の実施を現場にお願いする」のみではなく、こども家庭庁の“責務として”確実に子どもたちの命を守る政策を推進した方が良いのではないかと感じた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/19c49a97f38333acdaa80dd3c9098cb6aeec2fd3

もちろん、現場の怠慢で命を落とすようなことは絶対にあってはならないし、今回小さな子が、プールで本当に辛かっただろうな苦しかっただろうなと思うと、考えるだけでも震える。

だけど、このまま現場にのみ努力を求めたとしても、マニュアル整備するのも大変だし、救急救命に明るいスタッフもいないし、その他余裕もないしで、「プール遊びのみならず、少しリスクを取った外遊びも全部やめて、屋内と園庭の中だけで子どもを管理しましょう」という判断をする現場が増えるのではないか。

お金が払える家庭は、高額な民間学童やサマースクールに子どもを預けられるけど、それが無理な場合は子どもはずっと家にいることになる。小さな子がずっといると親は働けないから、学童はとても大切な社会インフラとしての役割を果たしている。そして学童は、少子化対策そのもの。「子どもひとりでもこんなに大変」と思う家庭にとって、二人目、三人目とは考えられないと思う。

学童は学校と違って、この場所に来る来ないに義務付けがないから、全体での避難訓練も難しいし、保護者とのやり取りもアナログなケースも多い。そしてリスク管理はプール事故だけではなく、激甚災害への備え、交通事故、スタッフによる非モラルな事件、熱中症対応、いじめ、希死念慮があったら?親が怒鳴り込んできたら?LGBTQのお子さんに対する配慮は?など……考えるだけでも多数あり、どれも優先順位が高い。それらを考えるには組織に余裕が必要で、備えを企画する人も、準備の時間も、スタッフへの周知も必要。

マニュアル・訓練もそうだけど、現実に照らしたスタッフ体制の充実もあわせて、こども家庭庁主導で、次年度予算取りを頑張って欲しい。

いま、競争入札やプロポーザル型の公設民営学童も増えてるけど、公務員の人たちが直接運営していたときよりも予算が減って、新設学童は遊ぶ場所も小さくなってるというケースも聞く。いいプレイヤーが参入したいと思える仕事にしないと、引き受けてくれるところが見つからない、もしくは劣化した現場が増えてしまう、そんなことにならなければいいなと願う。

Writer

今村 久美 代表理事

79年生まれ。岐阜県出身。慶應義塾大学卒。NPOカタリバ代表理事。ここではゆるくつぶやいていきます。

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