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教育関係者だけじゃない!それぞれのまちで、10代の子どもたちの居場所の担い手が歩んできた道

vol.269Report

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category #活動レポート

writer 編集部

2023年新設予定の「こども家庭庁」が「こどもの居場所づくり指針」の策定を掲げるなど、国全体で子どもたちの居場所の必要性が認識され始めています。カタリバは今まで10代の意欲と創造性を育む居場所「ユースセンター」の運営を全国で行ってきました。

カタリバでは昨年、全国で10代の子どもたちのための居場所づくりや学習支援を行う人々の事業の立ち上げを支援する「ユースセンター起業塾」を立ち上げました。現在、1期生である14団体が全国で活動を行っており、2期生の公募も開始しています。

今回の記事では、前回に引き続き1期生である2つの団体へインタビューし、ユースセンターの運営を始めたきっかけや活動に込めた想い、目指している姿などをお伝えします。

▼前回の記事はこちら
子どもたちの新しい居場所を全国に!ユースセンターってどんな場所?

地域おこし協力隊を経て
「中高生が優先される」居場所をつくる

左から井上さん、守谷さん

岡山県備前市で活動する「f.saloon」の守谷克文さん(以下、守谷さん)と井上なほ子さん(以下、井上さん)は、共に地域おこし協力隊としてまちづくりに関わってきました。

協力隊としての任期を終えた守谷さんがNPO法人f.saloonを設立。小学生を対象とした体験活動から始まり、今回、中高生向けの居場所「INBase」を立ち上げました。現在は、井上さんがINBaseの館長を務めています。

――INBaseを立ち上げるまではどのような活動をしていましたか?

守谷さん:はじめはワークショップ形式での体験活動の提供が中心でした。子どもたちが多種多様な世界に触れ、自分が本気で取り組めるものを見つけ出し、どんなものでも否定されることなく突き詰めていける経験をしてほしいという想いがあったからです。もともと対象を絞っていたわけではないのですが、自然と参加者の多くは小学生という状況でした。

――活動を続けていくなかで、中高生向けの居場所を立ち上げることになった経緯についてお聞かせください。

守谷さん:中学校でキャリア教育のイベントを実施した際に、「大人ともっと話したい」「自分にはもっとやれることがあると思えた」という感想をアンケートに書いた生徒がいて。でもイベントは単発で、終了後はその生徒たちに関わることができない。

多様な人と話したり、やりたいことを実現できたりするような場所が、日常的にあると良いと思ったんですよね。

とはいえ、地域に目を向けてみると中高生が全然外にいないんです。たまれる場所がなければ、接点をもつことも難しい。そこで、中高生が優先されるような居場所を町に新しくつくろうと思ったんです。やりたいと思ったことが次の日にはできるような、そういう自由度の高さは、居場所づくりでも大事にしていることの一つです。

小学生と中高生、
子どもと大人が触れ合うことで生まれる相乗効果

INBaseで子どもたちと触れ合う様子

――中高生向けの居場所INBaseでの活動は、小学生向けの体験活動など、他の活動にも何か影響を与えていますか?

守谷さん:体験活動からINBaseに来るようになった子どももいれば、逆もいます。小学生が集まる場に中高生が遊びに行くようなこともあり、小学生にとっては将来のイメージを膨らませる機会にもなっているかもしれません。

井上さん:人と話したり、新たな経験をしたりするきっかけが複数あるのは良いなと思います。小学生のときにスタッフと顔見知りになると、中学生になったときにINBaseにも来やすくなるということがあったりして。

――カタリバが運営するユースセンター起業塾に参加してみていかがですか?

守谷さん:「誰かに見てもらえている」という感覚もありますし、他地域で同じスタートラインに立っている仲間の存在が目に見えることで、「頑張ろう」という気持ちになります。

井上さん:私自身、INBaseでの活動を開始した当初は、教育支援について右も左もわからない状況でした。でも、カタリバが運営するユースセンターのひとつである「b-lab(ビーラボ)」を実際に見て、こういうきっかけや仕掛けをつくれば良いんだというイメージが生まれて。

他団体の活動からも多様なアプローチ方法を学ばせていただいています。INBase実行委員をつくって、イベントの運営に子どもたち自身が関わる仕組みをつくるという取り組みは、同じ1期の団体であるWeDさんから学ばせていただきました。

INBaseの理想の形を、「何かしたい子どもと大人が出会うハブ」と表現する守谷さん。「中高生たちの活躍している姿を見せることが、地域の活力にもつながるはず。INBaseを通して地域の人も子どももいろんな体験をするうちに、地域の魅力は自然と増すのではないかと思います」とインタビューを締めくくりました。

多様な子どもたちがいるのなら、
多様な居場所があって良いはず

左から青山さん、伊藤さん(右下)、高野さん(右上)

広島県尾道市向島地区では、各地域で活動する団体が協力して運営する「複数拠点型ユースセンター」の立ち上げを目指しています。活動の中核を担う「むかいしまseeds」の青山修也さん(以下、青山さん)、高野哲成さん(以下、高野さん)をはじめ、共に活動を行う瀬戸房子さん(以下、瀬戸さん)、伊藤浩さん(以下、伊藤さん)、田中芙実枝さん(以下、田中さん)の5名にお話を伺いました。

――みなさんが協働してユースセンターを運営することになった背景を教えてください。

高野さん:尾道って、パラレルワールドなんですよ。移住者中心に多様な団体が居場所に関わる活動に取り組んでいて、少なからずお互いの活動に影響を与え合っている。私もその一人で、すでに居場所づくりを始めていた瀬戸さんや伊藤さんとの出会いをきっかけに、一緒に取り組もうということになりました。

瀬戸さん:私自身は不登校支援をする中で、保護者同士でのつながりがなければ支援が必要な子どもに届かないという問題に突き当たっていました。情報共有について学校に連携を求めましたが、「特定の団体だけを紹介することはできない」と断られてしまったんです。

「ならば自分たちで居場所の情報を見える化しよう」と、居場所づくりに取り組む団体をマップにまとめました。一つひとつの居場所がそれぞれではなく一緒にという発想は、そういった経験から生まれてきたものでもあります。

高野さん:私はもともとは一つの居場所をつくるというアイディアしかなかったのですが、「地方都市は車社会だから、駅の近くだけに居場所をつくっても届かない」という地域の方の言葉にハッとさせられました。それなら一つのユースセンターをみんなでつくって、複数拠点で展開しようという気持ちが芽生えたんです。

それに、居場所がない子どもたちにはいろんな理由があるし、キャラクターもさまざまじゃないですか。だったらユースセンターを一箇所にとどめるのではなく、複数拠点で展開するのが良いと思ったんです。多様な場所で、多様な人が、多様なスタイルの居場所をつくって、多様な子どもたちの中のひとりにでも刺されば良いなと感じています。

意外と少ない10代の居場所。
気軽に立ち寄り、多様な人生に触れられたら

――そもそもみなさんそれぞれが居場所づくりをはじめたきっかけはなんだったのでしょうか?

高野さん:いち保護者として幼児向けの野外活動団体に参加していたときに、周りの保護者から「子どもが学校に合わない」とか「学校へ行っていてもつまらなさそう、行くのが辛そうだ」という声がありました。

一方で尾道自由大学では、立派な学歴をもっているのに社会人になって迷っている人との出会いがありました。子どもたちが早い段階で多様な人生に触れ、自分のことを自分で決める機会を得られたら、人生はもっと豊かになるのではないか、という思いがわきあがってきて、子どもたちのための新たな居場所をつくろうと決めました。

青山さん:私には今まさに10代を過ごしている娘が2人います。まちの中で10代が気軽に集まるような場所が少なくなってきていますよね。尾道にはファーストフード店やフードコートもほとんどない。(感染症の影響で)図書館すら締め出されてしまっています。10代が気軽に立ち寄れて、息抜きしたり大人と話せたりする場所ができたらと思いました。

瀬戸さん:私は娘が不登校だったときに、昼間や放課後に子どもを受け入れてくれる場所がないことに気づき、子どもが一人でも行けて無料で使える私設図書館「さんさん舎」をつくることにしました。

高野さんが言うように、固まっている価値観が、多様な人生に触れることで「人生いろいろだ」とか「学校へ行ってなくても良いんだ」といった具合に変わればと思います。子どもはみんなもっと弱くて良いし、支え合うことが大事なんです。そんな想いが伝わって、しんどい思いをする子が減ったら良いなと。

伊藤さん:私は月1で開いている子ども食堂を始めて4年になります。取り組みのきっかけは西日本豪雨。尾道も被災をして、2週間ほど断水がありました。もともと料理人だったこともあって、子どもたち向けの0円食堂を開いてみたところ、いつの間にか毎回40〜50人くらいが集まる居場所になったんです。

私のように居場所をつくりたい人は、実は世の中にたくさんいるんじゃないかと思います。私としては、学歴はなくても楽しそうにやっている「じじい」がここにいるんだぞということが伝わればそれだけで十分なのですが(笑)

毎月開催されている0円食堂の様子

――居場所運営をする中で大事にしていることはありますか?

高野さん:もともと信頼関係のある仲間同士で進めているので、大きく方向性がずれるということはないんです。ただ、「10代との関わり方」を規約としてまとめようとしたときに議論が起きて。結果的には「この5つだけはすべての団体で守ろう」という行動規範が生まれました。今後も前向きに話し合い、納得できるまで対話をし続ける姿勢は大事にしたいと思っています。

青山さん:地域にとって一番大事なことは、子どもが元気に伸び伸びと育つこと。地域のみんなが心のなかにもっている子どもへの想いを少しずつ出していけば、地域はより良くなる。無理してやると続かないので、たくさんの人が自分のできる範囲でやるのがポイントだと思います。

各団体の強みを活かしながらも、集合体としての強さを生み出そうと対話を続けているむかいしまseedsと協力団体のみなさん。こういった姿勢は、より多くの子どもたちの活動への浸透だけでなく、よりよい地域・社会のあり方にまでつながっていく可能性を秘めているのかもしれません。

自分のまちでも子どもの居場所を立ち上げたい方へ!
現在2期生を募集中

今回も、ユースセンター起業塾で活躍する2団体のインタビューをお届けしました。保護者や元地域おこし協力隊など、さまざまな担い手がユースセンターづくりに関わってくださっています。

自分のまちでも10代の子どもたちの居場所を立ち上げたいと思われた方は、居場所づくりを行う団体を支援するユースセンター起業塾の「事業創造コース」へぜひご応募ください!

▼ユースセンター起業塾「事業創造コース」について
https://www.katariba-kigyojuku.com/course-1

▼公募期間
2022年11月21日(月)〜2023年1月16日(月)15:00

▼ユースセンター起業塾「事業創造コース」1期生について
https://www.katariba-kigyojuku.com/organization


 

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