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熊本豪雨、被災から1ヶ月が過ぎて。学校が再開する中での課題と希望

vol.162Report

date

category #活動レポート

writer 編集部

熊本県南部を中心に甚大な被害をもたらした豪雨の発生から1カ月半が経ちました。

被害が最も大きかったのは、人口約3800人の球磨村。”日本で最も美しい村連合”にも加盟しており、山林の中に石積みの棚田が広がる美しい村です。

1ヶ月半経ってもなお、被害の大きさを物語る

カタリバは発災の翌日には緊急調査チームを立ち上げ、5日後には避難所内に子どもの居場所を開設。現在も3カ所の避難所で居場所の運営を続けています。緊急支援期が過ぎようとしている中、子どもたちはどんな様子なのでしょうか?

球磨村で現地スタッフとして活動している濱田真梨子がレポートします。

1ヶ月ぶりの登校
再会を喜ぶ子どもたち

発災直後から休校が続いていた球磨村の小中学校は、8月3日に再開の日を迎えました。浸水被害で校舎が使えない渡小学校の児童は、高台にある一勝地小の運動場に立てたプレハブ校舎等を利用する形で渡小学校、一勝地小学校と球磨中学校の児童・生徒の学校生活が再スタートしました。

朝、人吉一中の避難所を出発する子どもたちをたくさんの人が「いってらっしゃーい!」と見送りました。女の子の弾む赤いランドセルに「かわいらしいランドセルねえ。久しぶりに見たわね」と目を細めた、60代ほどの女性の優しいまなざしが印象的でした。

がれきで通れなくなったままの通学路

約1か月ぶりの学校生活に、朝から期待と不安が入り混じった表情を浮かべていた子どもたち。気を張り続けた一日に疲れた様子も見えましたが、久しぶりに会うことができた友達や先生と喜びを分かち合い「みんな命があって本当に良かった」「友達の顔を見て涙が出た」と笑顔を見せる姿に、こちらもとても嬉しくなりました。

先生方も「わいわいと楽しそうにしているのを見ると涙が出そうです」「子どもが戻ってきて学校に命が吹き込まれました」と再開に一安心。球磨村が日常の生活を取り戻してゆく確かな足掛かりをつかんだ様子を感じました。

被災エリアを通る通学に
ショックを受ける子も

一方で、これから向かい合っていく子どもたちの課題も見えました。

まず、渡小の児童が使用する教室について。多くの人の支援で一勝地小の運動場にプレハブの校舎を設置し、この日の学校再開が実現しましたが、やはり使い慣れた校舎とは違いが。無機質な印象はどうしてもぬぐえず、さっそく授業を受けた子どもたちからは「落ち着かなかった」と不安げな声が聞かれました。

また低学年や支援学級の児童は一勝地小校舎内の間仕切りをしたランチルームや音楽室で学習。”間借り感”は否めず、登校時に「入っていいのかな?」と入室に戸惑う児童がいたという話を先生から伺いました。1日でも早く、子どもたちが自分たちの居場所として落ち着ける空間になることを願います。

毎日子どもたちの様子や体調を聞き取る、現地スタッフ

つぎに子どもたちの通学について。居住地域によって異なりますが、もっとも学校から遠い多良木町の避難所で生活してる子どもたちは片道約1時間のバスに乗って通学することとなります。乗車時間が長いことに加え、深刻な被害を受けた被災エリアも通学路に含まれることも心配事項に。

再開初日のこの日に初めて被災エリアに入った子どもが多数おり、バス内で「久しぶりに来たなあ」という声がどこからと上がると、横転した家、傾いた電柱、えぐられた川の堤防と無残な状況が続く光景に「うわあ、ぐちゃぐちゃだ」「怖いな・・」「空襲で爆撃されたみたい」と漏れ出る声が聞こえてきました。中には気分が悪くなり、バスの中で嘔吐してしまう子どももいました。

土砂にまみれたままの、渡小の職員室

バスは現在使用不可となった渡小の前も通過。変わり果てた自分たちの学校の姿に、息をのんだ様子で見入ってました。これが子どもたちがこれから利用する通学路。心に負荷のかかる光景を日々自然と目にしてしまうことになります。何らかの心のケアが急がれることが浮かび上がってきました。

また、勉強の遅れへの不安が深刻な中学3年生。受験を前に焦りがあります。教科書を失った生徒も多数おり、一刻も早く勉強に集中できる学習環境を整える必要があります。

子どもの笑顔を守り続ける
中長期的な支援へ向けて

ここまで課題を述べましたが、球磨村が前進しているのは確かな事実。

地域のボランティアの方にも協力いただき、開催した避難所内のイベント

カタリバでは、発災直後から子どもの居場所の運営を実施してきました。あわせて、通学できなくなった高校生にパソコンを無償で貸し出して学校のオンライン授業に家から参加できるようにしたり、受験を控えた中学3年生に向けてオンラインでの学習支援を行いました。

だんだんと家屋の片付けも進み、緊急支援期はいったん終わってきたものの、中長期的な支援がこれから必要とされていきます。ストレスが高まっていた子どもたちの様子も少し落ち着いてきたように見えますが、2016年の熊本地震でも時間が経ってからPTSDなどを発症しており、まだ安心はできません。

県外からのボランティアが入ることが難しい中、地域の方の協力で成り立っている

8月12日~14日には、子どもたちに少しでも楽しんでもらおうと、射的やヨーヨー釣りなどを避難所で開催。感染リスクをあげないように配慮しながらも、浴衣を貸し出すなど、夏祭りらしい雰囲気をつくりました。地域でのお祭りが開けなかった子どもたちにも笑顔が見られ、スタッフも嬉しくなりました。

被災地の方に一日も早く平穏な生活が訪れるよう、より良い支援を行っていきたい、そう改めて決意を固めています。


 

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編集部 編集部

KATARIBAMagazine編集部が担当した記事です。

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