生活困窮世帯を対象にした居場所事業「アダチベース」と、学校の中に新たな子どもの居場所を設置する「リビングルームプロジェクト」、学校内外2つの居場所事業によって、足立区で社会的包摂力の向上を目指す「学校協働」推進担当を募集しています。
この職種で働くスタッフ
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前林 正洋
1991年生まれ、埼玉県川越市出身。大学時代にカタリバでボランティアを行い、社会課題に真摯に楽しくアプローチすることを魅力に思う。大学卒業後は株式会社LITALICOに入社し、発達が気になる子どもと家族の支援に従事。教室長として店舗の管理や人材育成なども行う。結婚して子どもが生まれて一年間育児休暇をいただき、復職のタイミングでカタリバへの転職を決意。現在はアダチベース両拠点の高校生支援を統括している。また足立区の区立中学校との連携プロジェクトを推進中。
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有田 いず美
1993年、東京の下町生まれ。慶應義塾大学SFCを卒業後、広告会社の営業として働く。カタリバとの出会いは2011年。当時高校2年生で、通っていた都立高校のグラウンドがひび割れ、行事や部活がなくなったときに父親に連れられてカタリバの事務所へ。現在はアダチベースで「自律学習」や「集団的な学び」、「経験学習プログラム」の開発をしている。
どのような課題を捉えているか
未だ解決の糸口がつかめない、
「子どもの相対的貧困」という課題
今日の日本には、「家庭の経済的困窮」という自分自身の力ではどうすることもできない事情で、健やかな成長発達に必要な生活環境や教育、体験の機会が確保できない子どもたちがたくさんいます。厚生労働省の調査によると、日本における子どもの貧困率は 13.5%、ひとり親家庭では 48.1% にも上り、先進国の中でも最悪の水準とされています。
この課題に対して、カタリバは2016年から東京都足立区で、生活困窮世帯を対象にした居場所事業「アダチベース」を受託し、6年にわたって運営してきました。それでもまだ、就学援助率の数値を見ると、足立区では本来支援が必要な子どもに対して、リーチできている子どもは約1割程度だと推察されます。いちプレイヤーとしてのカタリバが残せるインパクトには限りがあるなかで、どのように貧困の連鎖を食い止めるか、さらなる事業開発の必要があります。
深刻化する教員不足と負担増加
学校だけではなく社会全体で子どもを育むには
近年、教員の離職や産休・育休取得者の増加、特別支援学級の増加などを背景とした「教員不足」が問題になっています。文部科学省『「教師不足」に関する実態調査 』では、2558人の教員不足が明らかになりました。教員の残業時間の多さなども指摘されているなかで、教員不足によってさらに負担が増加する可能性が取り上げられています。
そうした課題に対して、文部科学省『学校現場における業務改善のためのガイドライン』では、「地域との協働の推進による学校を応援・支援する体制づくり」の項目において、子どもたちを学校だけで見守ることは難しく、社会全体で子どもを取り巻く環境を整備していく必要があることが示されました。
事業の概要
アダチベース
アダチベースは、カタリバが東京都足立区から受託して運営している、生活困窮世帯を対象にした居場所事業です。同区が、貧困対策として全国に先駆けて策定した「未来へつなぐあだちプロジェクト(足立区子どもの貧困対策実施計画)」に基づき、2016年に開設しました。居場所・学習・体験・食事を地域と連携しながら子どもたちに届け、文化資本や社会関係資本を育み、貧困の連鎖を断ち切ることに寄与しています。
活動紹介
https://www.katariba.or.jp/activity/project/a-base/
リビングルームプロジェクト
2022年に、アダチベースから生まれた新規事業です。足立区立花保中学校と協働して、学校の中に「新たな子どもの居場所」を設置しました。リビングルームプロジェクトでは、学校の中に子どものための新たな居場所をつくり、学校と協働した「面での支援」を目指していきます。今後、すべての子どもを包摂する地域社会を実現するために、足立区内の中学・高校内へと展開・モデル化していく計画です。
どのように課題を解決するか
困難を抱えた子どもの課題に対して
本質的な解を見つけ出す事業の「深化」
・福祉と教育を横断した卓越した伴走者の育成フレームの構築
・中高6年間での「社会的自立」を目指す一貫したプログラムの設計
・拠点「内」に留まらない、「外」への挑戦機会の後押し
・成果指標と信頼性高いエビデンスに基づくプログラム評価とブラッシュアップ
地域の社会的包摂力を高めて
重層的なセーフティーネットをつくる事業の「探索」
・学校|学校内への居場所設置の拡大、子ども支援の関係人口の増加
・拠点|アダチベース事業の開発・推進、他団体インキュベーションの促進
・行政|貧困対策の政策実現・シナリオ反映に向けたロビイング
・地域|地域団体のマザーツリーとしてのコーディネーション
募集ポジションのミッションと仕事内容
まずは前項記載のソリューションのうち、
・学校|学校内への居場所設置の拡大
をメインミッションとしながら、
・拠点|アダチベース事業の開発・運営
の業務も並行して担当します。
(1)学校内への居場所設置の拡大、子ども支援の関係人口の増加
2022年7月に花保中学校内で開設した放課後教室の運営、同校との協働活動と、今後、足立区内での横展開に向けた事業推進を担当します。
● 花保中学校内での放課後教室の運営、協働活動
― 週1回の現場運営
― 自習教室での学習伴走
― リビングルーム「ochanoma」での生徒コミュニケーション
― 学生スタッフのマネジメント(採用・育成含む)
― 報告書・提案資料の作成
― 花保中学校の管理職や学校運営協議会の方々との打ち合わせ 等
● 足立区内での横展開に向けた事業推進
― 足立区内の公立中学校・高校における放課後教室のニーズ調査
― 連携候補校との打ち合わせ資料の作成
― 連携候補校の管理職や学校運営協議会、行政職員の方々との打ち合わせ
― 放課後教室の開設に向けた各所との折衝・調整 等
花保中学校に放課後教室を開設する際には、生徒・教員・地域住民で「どんな居場所にするかワークショップ」を開催するなど、関係者みんなで居場所をつくっていくプロセスを大切にしています。
(2)アダチベース事業の開発・推進
2016年より東京都足立区内で運営する、困難を抱える子どもたちに向けた居場所事業「アダチベース」の居場所づくり、各種プログラムの企画・運営を担当します。
― 中高生とのコミュニケーション
― 学習プログラムの企画・運営(学習クラス、自習室など)
― 中高生向け文化・スポーツのイベントや体験プログラムの企画/運営
― ボランティアスタッフ、インターンの採用・育成・マネジメント
― 施設運営事務全般 など
また、経験や意欲に応じて、
・行政|貧困対策の政策実現・シナリオ反映に向けたロビイング
の領域にミッションが発展していく想定です。
仕事のやりがい
4半期に1度、アダチベースの全員で終日対話・議論を行う(Adachi Base Camp)
現場での直接的な中高生との接点と、学校・自治体との協働、事業開発・推進と、ゼロ距離で往復しながら仮説検証を繰り返していける環境です。ミッションに応じた決裁権を持って、メンバー/プロジェクトマネジメントや予算管理の経験を積めるチャンスが多くあります。また、リビングルームプロジェクトのように、スピンアウトして新たに事業化されるものもあります。
アダチベース及びリビングルームプロジェクトは、足立区において目の前の子どもたち一人ひとりと向き合う事業であると同時に、日本全国でまだ支援が届かず孤立している何万人もの子どもたちと向き合う事業でもあります。足立区での活動を通じて代表性のある課題や問いを見出し解決することで、他自治体においても再現性のある「地域の社会的包摂力の向上のモデルケース」を確立していきましょう!
〈スタッフインタビュー〉
― 佐渡 加奈子(元・児童館職員)
― 野倉 優紀(元・外資系コンサル)
― 柳本 千種(元・Web広告代理店/大学受験予備校)
― 前林 正洋(元・株式会社LITALICO)
― 有田 いず美(元・大手広告代理店)
スタッフの1日
アダチベースメンバーの集合写真(2022年4月)
東京都足立区にあるアダチベース、及び、花保中学校内の放課後教室での勤務となります。勤務中は、子どもたちと直接関わりながら運営に携わる時間と、自身のミッション遂行のため企画業務にあたる時間があります。1日のスケジュールは変動的ですが、一例(平日)をご紹介します。
〈ある日のスタッフの1日〉
― 13:00 企画開発ミーティング・学校に移動
― 14:00 学校到着・現場設営とスタッフと事前打ち合わせ
― 15:00 生徒受け入れ プログラムスタート
― 16:00 校内居場所・学習支援プログラム
― 17:00 プログラム終了・スタッフ振り返り・撤収
― 18:00 学校先生方への情報共有・引き継ぎ
― 19:00 移動・休憩
― 20:00 当日運営振り返りミーティング
― 21:00 学校関係者への報告用資料作成、翌週準備等
― 22:00 終業
求める人物像
- 「地域の社会的包摂力の向上によって子どもの貧困を解消する」という事業の想いに共感する方
- 「子どもの貧困」「サードプレイス/ユースセンター」「教育・機会格差」「社会的インパクト」「福祉と教育の横断」などのキーワードに関心がある方
- 目の前の子どものための支援と、日本中の子どものための事業開発と、どちらも追求したい方
- これからの「ユースソーシャルワーク」のキーパーソンとして成長したい方
- すでにある仕事をこなすだけではなく、自分の仕事をつくっていくことを楽しめる方
求めるスキル・経験
- 中高生の状況・個性に応じて意図を持って関われるコミュニケーション能力
- 自律的に課題発見・仮説検証のサイクルをまわしていける主体性
- 学校や行政など社外ステークホルダーとのプロジェクトを推進するための調整・協働力
- 詳細は募集要項をご確認ください
募集要項
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雇用形態
正職員
業務委託・非常勤職員などのご希望があれば応相談 -
募集職種
「学校協働」推進担当
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配属部署
アダチベース
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配属部署
拠点長の佐渡・野倉、学校協働推進リーダーの前林のもと、約20名の職員、約15名のインターン、約20名のボランティアスタッフで運営しています。教育業界だけでなく様々なバックグラウンドを持った職員が所属しています(前述の「仕事のやりがい」内、スタッフインタビューを参照)。
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勤務地
東京都足立区 スカイツリーライン沿線
※事業特性上、住所は非公開としております -
勤務時間
開館時間(9:00〜21:00)に合わせてのシフト制です。
子どもたちが多く来館する放課後 17:00 以降の時間がコアタイムのため、
*13:00~22:00(平日・土曜)
*12:00~21:00(日曜)
でのシフトがメインとなります。また、月に数日、在宅勤務日や日中(9~18時)の時間帯での業務日を設けています。
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給与
想定年収 350~500万円(手当込み)
※ただし、当社規定により経験・能力を考慮し、面接・面談後に決定月給 25万円~
(45時間分の時間外手当として6.4万円~を含む/超過分は別途追加支給) -
待遇・福利厚生
・賞与は業績に応じ年1回支給
(過去3年、給与の2ヶ月分以上を支給/初年度は勤務月数により変動)
・昇給は半年に1回、人事考課により決定
・社会保険完備(雇用、労災、健康、厚生年金)
・産育休制度
・通勤手当(上限3万円)
・帰省にかかる費用の一部補助(地方拠点のみ対象)
・セミナー、研修参加サポート
・先進事例視察研修
・健康診断、インフルエンザの予防接種
・専門家によるオンラインカウンセリング
・屋内禁煙
・副業も可能です(内容に応じて要相談) -
働く環境・職場の雰囲気
・服装は自由です
・役職は付けずお互いにあだ名で呼び合うなどフラットな社風です -
休日休暇
週休2日(休館日の月曜+1日の休み)
*夏期休暇(3日)、年末年始休暇(5日)
*慶弔休暇、産休・育休、看護・介護休暇
*有給休暇、新規入職者に対する特別休暇 -
契約期間
有期雇用(3年)
※3年後の面談で双方問題なければ無期雇用に転換または延長いたします -
応募資格
<必須>
*中高生の状況・個性に応じて意図を持って関われるコミュニケーション能力
*自律的に課題発見・仮説検証のサイクルをまわしていける主体性
*学校や行政など社外ステークホルダーとのプロジェクトを推進するための調整・協働力<歓迎>
*教育現場(学校、学習塾、NPOなど)での活動経験
*toB の顧客折衝経験(業界・職種は不問)
*ピープルマネジメント経験(アルバイトやボランティアも含む)
*成果に向かって計画的にプロジェクトを管理・推進した経験(規模は不問) -
採用予定人数
若干名
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選考プロセス
▼書類選考
▼一次面接(採用チーム)
▼二次面接(事業責任者など)+Web適性検査
▼現地面接(アダチベースの見学を兼ねて実施)
▼最終面接(代表理事・事務局長)
▼内定※平均3~4回の面接を経て内定となります
※基本的にはオンライン面接ですが、選考プロセスのなかで一度、配属予定の拠点にお越しいただくことが多いです
※選考期間は概ね2〜4週間程度です。候補者の状況によって、最短2日にまとめて実施するなど希望に沿ったアレンジも可能ですのでご相談ください